帯にある「(赤線は)焼け跡闇市の延長だったんでしょうかね。」という吉行淳之介の発言のように、赤線が占領軍相手のRAA(特殊慰安施設協会)などから成立したという認識が漠然とあるようですが、著者は敗戦後1、2年で全国各地に一気に集団売春街が成立したことに疑問を持ち、東京、岐阜、沖縄の三つの地域おける赤線の成立を調べて行きます。
そこで、浮かび上がってくるのが戦中との政策との連続性。
戦時下において、営業を自粛に追い込まれたり施設の提供を余儀なくされた遊郭などの風俗街は、一方で軍需工場の近くや、郊外などに移転して行きます。そして、そこには軍の意向などが絡んでいるケースもあります。
戦前の遊郭→敗戦後の米兵相手の施設→赤線という変遷は、政府などの規制当局と風俗産業の共同作業と言えるものでもあるのです。
あと、この本で特に興味深いのは沖縄のケース。
沖縄の那覇では辻町という戦前からの遊郭がありましたが、その土地がアメリカによって押さえられてしまったため、栄町という郊外に歓楽街が出現します。
この栄町の盛衰については本書を読んでほしいのですが、個人的に気になったのが、この沖縄の歓楽街が本土復帰による売春防止法の施行によって変化を余儀なくされたという点。
当たり前ですが、本土復帰前は日本の法律は施行されず、売春の規制もなかった(あるいは日本とは違った)のですね。
このあたりのアメリカの政策についても述べてほしかった気はしますが、全体を通して、なかなか面白い本だと思います。
敗戦と赤線 (光文社新書)
