2011年01月08日

移転のお知らせ

 ずっとこのLOVELOGという場所でやってきた「山下ゆの新書ランキング Blogスタイル」ですが、諸処の事情により下記のサイトに移転しようと考えています。 

 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
 http://blog.livedoor.jp/yamasitayu/

 とりあえず過去の記事は移転させました。
 しばらくはこちらも更新しつつ、問題がないようであればこちらを閉鎖して向こうに完全に移転しようと思います。
 どうぞよろしくお願いします。


 
Posted by morningrain at 22:39  |Comments(5)TrackBack(0) | その他

2010年12月29日

2010年の新書

 今年は77冊新書を読みました。
 ただ、仕事の関係で新刊だけでなく歴史関係を中心に過去の新書をけっこう読んだような気がします。
 今谷明『室町の王権』とか熊野純彦『西洋哲学史―古代から中世へ』とか読み落とした傑作が読めたのはよかったのですが、そのせいか新刊に対する点数はやや辛かったかもしれません。
 そんな中でもベスト5を。

父として考える (生活人新書)
東 浩紀 宮台 真司

4140883243
日本放送出版協会 2010-07-10
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 対談本ですし、学問的な厳密さはないのですが、今年もっとも刺激を受けた新書がこれ。今まで何度か行われてきた東浩紀・宮台真司の対談の中でもベストの出来で、宮台真司の剥き出しのエリート主義に東浩紀がヘタレ的な立場からうまく疑問を差し挟んでいます。


さよならニッポン農業(生活人新書321)
神門 善久

4140883219
日本放送出版協会 2010-06-10
売り上げランキング : 9808

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 「農地転用」の問題に焦点をあて、日本農業の問題点をえぐり出した本。 経済学的な見方を維持しながら、たんなる自由化ではない独自のニッポン農業救済策を打ち出しています。


イギリス近代史講義 (講談社現代新書)
川北 稔

4062880709
講談社 2010-10-16
売り上げランキング : 13506

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イギリス近代の家族形態から、都市やスラムの成立、産業革命における消費者の存在など、ミクロ的な事象から、「近代の成立」というマクロ的な社会構造の変化を描いて見せた本。著者の言う「成長パラノイア」に取り憑かれた「近代」そのものを考える上で刺激に満ちた本だと思います。


ウォーホルの芸術 20世紀を映した鏡 (光文社新書)
宮下規久朗

4334035175
光文社 2010-04-16
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 ウォーホル財団の許可が下りなかったためカラーの口絵がないという大きな欠点はあるのですが、それを補って余りある面白さでした。個人的にこの本によって、今まで興味のなかった現代アートに、ポップアートに、そして何よりもアンディ・ウォーホルに興味を持ちましたし、ウォーホルの作品の魅力に気づくことができました。


創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書)
輪島 裕介

4334035906
光文社 2010-10-15
売り上げランキング : 16447

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 「演歌」という「伝統的」と思われているジャンルが、1960年代に成立し、そして70年代から80年代にかけて「日本の心」となっていった過程を丁寧に論じた本。あまりにも多くの要素がありすぎて、もうちょっとすっきりとした見取り図は描けなかったのか?とも思いますが、このあまりにも雑多な要素から「政治性」が見えてくる所が面白かったです。

 これ以外だと、本田良一『ルポ 生活保護』(中公新書)、大竹文雄『競争と公平感』(中公新書)、古市憲寿『希望難民ご一行様』(光文社新書)、明石康『「独裁者」との交渉術』(集英社新書)、山口誠『ニッポンの海外旅行』といったところでしょうか。
 今年目立ったのはNHK生活人新書。どうやら1月からNHK出版新書となって、今年から目立ってきた教養新書路線を強化するみたいです。
 

 あと、細かい変更ですが美川圭『院政』(中公新書)を6点から7点に変更します。 
 記述がわかりにくいというのはあるのですが、平安時代後期の政治史のネタを提供する本として非常に役に立ちました。

 
Posted by morningrain at 00:03  |Comments(2)TrackBack(0) | その他

2009年12月30日

2009年の新書

 今年は新書を71冊読みました。
 というわけで今年の5冊+1。

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

中央公論新社 2009-11
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 復刊なので番外という感じではあるんですが、今年読んだ新書で一番内容が濃かったのはこの本。
 援助論でもあり、経済学の本でもあり、中央銀行の役割を解説した本でもあり、そして一人の人間の生き方を示した本でもあります。
 

世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)

光文社 2009-12-16
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 「政権交代」がキーワードとなった2009年を総括するにふさわしい本。
 「小泉改革の負の遺産」、「安倍晋三、麻生太郎の国民的な人気」、「若者の右傾化」といった俗説がことごとく退けられ、社会科学の鮮やかな分析の力が示されます。


新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

岩波書店 2009-07
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 ここ最近、クローズアップされ続けている労働問題に明快な見取り図を与えた本。
 「自由化」と「規制強化」が同時に叫ばれる中、問題を歴史的に分析し、過去からのボタンの掛け違いをきちんと説明してくれてます。


使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理 (ちくま新書 807)使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理 (ちくま新書 807)

筑摩書房 2009-10
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 タイトルからするとハウツー本のようですが、経済学の射程、経済学の本質を追究している中身の濃い本です。 
 最近よく出ている「反経済学」みたいのをうたった本より、圧倒的に中身がありますし、そうした俗流本への素晴らしい反論になっています。


皇軍兵士の日常生活 (講談社現代新書)皇軍兵士の日常生活 (講談社現代新書)

講談社 2009-02-19
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 日中戦争から太平洋戦争にかけての時代を中心に徴兵された兵士の生活、食事、戦死、そして銃後の生活などを兵士の残した日記や回想録、家・への手紙などから分析し、日本の軍隊の実情に迫った本。
 いまだに保守派の知識人を中心にプラスのイメージを持って語られ、赤木智弘の「丸山真男をひっぱたきたい」では、その「平等制」がとりあげられた徴兵制というものの「理想と現実」がよくわかります。


2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)

光文社 2009-10-16
売り上げランキング : 22491

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 日本の治安状況、犯罪対策から司法システム、そして刑罰に至る幅広い分野についてデータをもとに、世間で流通している「神話」を否定してみせた本。
 「日本の治安は悪化している」、「日本の刑罰は甘いのではないか?」と考えている人にはぜひ読んでほしい。意外な事実を次々と突きつけられます。


 これ以外だと、宮本太郎『生活保障』(岩波新書)、岩波明『精神障害者をどう裁くか』(光文社新書)、末廣昭『タイ 中進国の模索』(岩波新書)、猪木武徳『戦後世界経済史』(中公新書)なんかが面白かったですね。
 今年よかったのは岩波新書と光文社新書。光文社は経営危機の噂もありますが、社会科学の若手を一番発掘できている新書だと思うのでがんばってほしいですね。
 中公は夏の2000点刊行のフェアで少し息切れしてしまった感じか?
 でも、『ルワンダ中央銀行総裁日記』のような名著の復刊はこれからのしていってほしいですね。

 
Posted by morningrain at 11:58  |Comments(3)TrackBack(0) | その他

2008年12月30日

2008年の新書

 今年は69冊読んだようですね。というわけで良かったものを何冊かあげておきたいと思います。

433403439X強権と不安の超大国・ロシア 旧ソ連諸国から見た「光と影」 (光文社新書)
廣瀬 陽子
光文社 2008-02-15

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4087204529コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A) (集英社新書)
廣瀬 陽子
集英社 2008-07-17

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 「この1冊!」というのではないですが、今年は廣瀬陽子のこの2冊の新書がグルジア紛争を先取りするタイムリーな内容で、なおかつ面白かったと思います。
 読み物として面白い『強権と不安の超大国・ロシア』、教科書的にこの地域について知ることができる『コーカサス国際関係の十字路』、どとらもいい新書です。

4062879212モテたい理由 (講談社現代新書)
赤坂 真理
講談社 2007-12-19

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 女性誌のある種ズレてしまった現状を作家の赤坂真理が斬りまくったのがこの本。「彼友クラクラ服!」とか「愛され系お嬢さん」だとかを、赤坂真理がバッサバッサと斬ってくれます。そして、そうした妄想が実はオタクの妄想とほぼ表裏一体であることもあばいてくれます。さらに女性誌分析から最終的には「戦争」、「アメリカ」、「敗戦の記憶」といったものに進んでおり、一種の日本論みたいな感じもあって面白いです。

4004311462アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)
松本 仁一
岩波書店 2008-08

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 「カラシニコフ」の連載などで話題を呼んだ朝日新聞の元記者が長年のアフリカ・ウォッチの成果として書いた本。「日本をはじめとする先進国が悪い」というある種のお約束的な主張を捨て、厳しくアフリカの現実を見据えています。ポール・コリアー『最底辺の10億人』との併読がオススメ。

4087204383日本の刑罰は重いか軽いか (集英社新書)
王 雲海
集英社 2008-04

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 問題点がないわけではないですが、非常に面白く考えさせられる本。今までの司法の国際的な比較というとどうしても欧米と日本を比べ、日本の後進性を指摘するというパターンが多かったのですが、中国という国を比較対象にもってくることで面白みが出ています。死刑に関する議論も面白いですし、日本の司法のある意味で進んだ「精密性」に著者が疑問を呈している部分など、興味深いです。

448006432X「海洋国家」日本の戦後史 (ちくま新書)
宮城 大蔵
筑摩書房 2008-06

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 タイトルからすると単なる日本の戦後外交史を「海」の視点から切り取った本を予想しましたが、これは戦後初めて国際政治に出現した「アジア」という地域と国々、そしてそうした国々と日本の関係を分析した本。
 舞台はスカルノのインドネシア。インドネシアは、ベトナム戦争を戦うアメリカの「冷戦」、影響力を残した上でアジアからの撤退を進めたいイギリスの「脱植民地」、共産主義を輸出しようとする中国の「革命」、そして経済発展によって地域の安定を図ろうとする日本の「開発」がせめぎ合う場所であり、その中でスカルノは影響力を持とう動きます。国際政治のダイナミズムを教えてくれる本ですね。


 これ以外だと、アメリカ大統領選挙とアメリカにおける政治について論じた渡辺将人『見えないアメリカ』(講談社現代新書)、現在の物価の混乱をきちんとした理論で説明してみせた原田泰・神田慶司『物価迷走』(角川ONEテーマ21)、地味ながらも今までの広田弘毅像を塗り替えた服部龍二『広田弘毅』、現在の日本の状況を上手く切り取った海部美知『パラダイス鎖国』(アスキー新書)といったあたりが面白かったです。

 今年は講談社現代新書が復活した印象があります。上記にあげた本以外にも日暮吉延『東京裁判』などがありましたし、一時期の『さおだけ屋〜』をまねてタイトルだけで読ませようとする姿勢から変わってきたように思えます。また背表紙が白になったのもいいですね。これで並べても目に悪くないです!
 相変わらずの新書バブル、各社もうちょっと点数を絞って出版して欲しいものです。


 
Posted by morningrain at 20:31  |Comments(2)TrackBack(0) | その他

2008年06月10日

点数の変更

見直してみて、ちょっと辛く点をつけてると思った部分があったので以下の2冊に関して点数を修正。

堂目卓生『アダム・スミス』(中公新書) 7点→8点


王雲海『日本の刑罰は重いか軽いか』(集英社新書) 8点→9点
 
Posted by morningrain at 22:50  |Comments(0)TrackBack(0) | その他

2007年12月30日

2007年の新書

 ブログを読み直してみると今年は72冊の新書を読んだみたいでして、その中からよかったものを5冊ほど。

老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)
大泉 啓一郎
4121019148


 「21世紀はアジアの世紀」とか考えずに言う前にぜひ読むべき本。アジアの想像を超えた高齢化と、アジアの経済成長を支えた「人口ボーナス」の考えがわかります。


娘たちの性@思春期外来 (生活人新書 226)
家坂 清子
4140882263


 若者の性について「けしからん!」とかいう道徳論ではなしにきちんとデータに基づいて書かれた本。女子に比べて男子への性教育が貧弱であること、十代では学校にも行かず、働いてもいない女子のほうがより出産を望み、「将来に青写真を描けない女の子が、容易にできる唯一の自己表現として、出産と結婚を望んでいる」状況であること、避妊で一番確実なのはピルであることなど、フェミニズム的立場にはとらわれない冷静な指摘がしてある点もいいです。


年金問題の正しい考え方―福祉国家は持続可能か (中公新書 1901)
盛山 和夫
4121019016


 さかんに論議されているけど、実は間違った前提の議論が多い年金問題について非常に緻密な分析がなされている本です。


食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む (光文社新書)
宮下 規久朗
4334033873


 「食事」、「食卓」、「食材」をテーマにした西洋絵画に焦点を当てた本なのですが、これがなかなか面白い!パンやワインに象徴的意味をもたせるキリスト教文化の中で、いかに食事が描かれ、そこにいかなる意味がこめられていたのかという解説も面白いですし、そしてなによりもこの本で取り上げている食事風景の絵がどれも魅力的です。


合コンの社会学 (光文社新書 331)
北村 文 阿部 真大
4334034322

 
 ピンと来ない人にはピンと来ないと思いますが、この本の目次にある「よく似たタイプを集める」、「がっつかない、和を保つ」、「盛りあげる、モテなくなる」、「女/男だけの二次会」といった言葉に反応する人には面白いと思います。文章が妙に文学的なのも個人的には○。


 他だと東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』(講談社現代新書)、大沼保昭『「慰安婦」問題とは何だったのか』(中公新書)、北岡伸一『国連の政治力学』(中公新書)、丸川知雄『現代中国の産業』(中公新書)、松永和紀『メディア・バイアス』(光文社新書)といったところでしょうか。

 72冊読んだとはいえ、新刊のペースにはまったく追いつけないほどの「新書バブル」。選択肢が増えたのはいいですけど、どうでもいいような新書も目につきます。
 そうした中で老舗の力を見せたのが中公新書。他の新書より一段レベルの高い新書を数多く出してくれたと思います。
 あと、売れ線を狙いつつ、意外に新しい書き手を発掘しているのが光文社新書。ちくま新書も一時の低迷からすると少しよくなってきたようにも思えますが、中公新書とかに比べるとつくりが少し甘い気がします。講談社現代新書はタイトルを狙いすぎて逆に損をしているものが多いと思う。
 
Posted by morningrain at 14:17  |Comments(0)TrackBack(0) | その他

2006年12月29日

今年の新書

 今年は順調に結構な冊数を読んだ気がするので、その中からよかったのを5冊ほど。

見田宗介『社会学入門―人間と社会の未来』
4004310091

 「ベスト新書」ともいえる『現代社会の理論』ほどではないですが、未開社会から近代、そして現代社会へと非常に大きなスケールで社会の変化、人類の変化を見つめ、なおかつ文学的な視点もあわせて社会の変化を捉えた本。


薬師院 仁志『日本とフランス 二つの民主主義』
4334033652

 日本の左派の基本的な立ち位置の間違いを鋭く指摘した本。日本の政治の対立軸を考える上で非常に参考になる本です。


梅田望夫『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』
4480062858

 けっこううさんくさく思える「web2.0」などという言葉も、この本を読むと、その形や可能性が見えてくる!


橘玲『臆病者のための株入門』
4166605143

 株について書いてある本は山ほどありますが、手軽かつ核心を書いている本としてもっともお薦めできる本。


米本昌平『バイオポリティクス―人体を管理するとはどういうことか』
4121018524

 さすがの議論の深さと言うべき本。単に「インフォームドコンセントを」的な提言にとどまらない、生命倫理問題に置ける深い対立軸を示した本です。


 これ以外だと黒田基樹『百姓から見た戦国大名』、白田秀彰『インターネットの法と慣習』、佐藤卓己『メディア社会』、竹中治堅『首相支配』、末木文美士『仏教vs.倫理』といったところでしょうか。
 今年発売以外のものなら、佐藤卓己『言論統制』ですね。
 
Posted by morningrain at 22:04  |Comments(0)TrackBack(0) | その他