2007年02月23日

復縁(きっかけ)

彼はたんたんと生きていた。

平日は仕事に終われ、帰宅は平均して九時、夕飯は会社帰りのお店で外食をするか、コンビニ弁当である。
彼女と付き合っているころは、これでは健康に悪いといって、よく彼の部屋で手料理をつくってもらったりしていた。外食好きな女性たちが多い中で彼女はマメに彼のために、料理をつくった。


思えば懐かしい品々が彼の部屋にはいっぱいある。彼女の荷物である。


別れたのだから、彼女に荷物を返すべきか処分すべきなのに、彼はこのままにしている。


彼女はいないけど彼女の荷物とは同居しているのである。


今日は土曜日、彼は人を待っていた。


ご両親である。


東京でご両親の好きなコンサートがあり、ついでに息子の住んでるアパートを尋ねる予定である。


夕刻、彼の部屋にご両親がみえた。


開口一番ちゃきちゃきしたお母さんは、田舎からいっぱいもってきた荷物を広げ、これおいしいわよ、○○はちゃんとしたもの食べているの?と母親とくいの老婆心を披露する。


父親は長旅で少し疲れたのか黙っている。


彼の部屋の台所付近がだいぶ汚れているので母は掃除にとりかかろうとした。


『いいよ、母さんよけいなことしなくて!』


『いいから、母さんに任せておきなさい』父親の一言。


母さんは今日のコンサートの余韻を残しながら鼻歌まじりにルンルン気分で台所をかたずけ始めた。


『どうだ仕事は順調か』

『うんまあまあだね・・』
つまらない男同士の会話が始まる。


台所をかたずけ終わった母が、『そう言えば、○○さん元気?』と彼にふってきた。


『さあ?最近会ってないから分かんない』


『んまあ、ダメねえあんたは、彼女いい子よ、母の日にプレゼントを贈ってきたのよ』


『えっ母の日に・・』


『そうよ、うちの人は誰も母の日に感謝してないのにあの子だけはそれを忘れないで感謝してくれたわ、私もう嬉しくて、うちの息子とあの子を取り替えたいくらいだわ』母は冗談交じりに笑いながら言った♪


そして父親が、
『そういう子はなかなかいないよ、男にとっては有り難い子かもしれないな』


『そうよ、うちの息子にはもったいない子だわ、うちの息子は女心が分からないわ、お父さんに似たのかしら』


『おいおい母さんそれはないよ』 (笑)。


彼も笑っていた。


よほどお母さんは彼女の母の日の心つくしを喜んだのか、テンションが高く彼女を持ち上げた。いい子、いい子と連発して。


夜、ご両親たちは眠りに入った。彼の部屋に一泊して、明日の朝、仙台に帰る。

彼は、今日はいつもの夜と違って久々に彼女のことを思い出した。


『そうか・・あいつ・母の日のプレゼントをね・・』

翌朝、ご両親を東京駅まで送った。

電車に乗り込む前に、母親が言った。


『○○、お盆はどうするの』


『ん、帰るよ』


『じゃ○○さんも一緒に連れてらっしゃい』


『え!』


『いい分かったぁ!私○○さんにまた会えるの楽しみにしているわ、母の日のお礼をしなくちゃあ』


『そうだよ、絶対に連れておいで』父親も援護する。

『ん・・・わかった』


『それまで、彼女と仲良くすることよ、いいじゃあね』


電車は仙台へ向けて出発した。


彼はその電車を見送りながら、彼女と連絡をする決意をした。


続く。

Posted by ゲスト at 13:37  |Comments(2) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は恋愛じゃなく、結婚していて別居しています。
もうすぐ離婚予定ですが、復縁を考えながらここ一年半ほどいろいろと頑張ってきました。
私は、彼のたった一人の母親とすごく仲良しでした。
結婚前から母の日、誕生日と必ず贈り物をしてきて、義母からも頂いてました。
別居してからもかかした事はなく、1人息子で離婚した義母とべったりなのは知ってましたが、将来は義母とだったら一緒に暮らしてもいいとさえ考えてもいたのに…。
でも、再婚だった私と夫は、夫が年下という事と、私の前夫との間にできた子供たちと夫が仲良くできなかったことにより、破綻してしまいました。
…私の包容力がなかったと…夫は思っているようです。
年上だからもっと包んで甘やかして優しくできるはずだったと。
そうできなかったわけは、いろいろあったのですが、長くなるのでここでは割愛しますが。
今は義母と一緒に暮らしている夫には私はもう必要ないのかな。

自分の欲求と思いだけがすべてだった夫。
なぜ私が夫の望むようにできなかったのか?まだ、そこまで考えられるほど成長してなかった夫。
私は、1人になってから、後悔と反省をたくさんしました。
自分を振り返り、あの頃より落ち着いてきたので、夫に対する要求も腹立たしさも、今はなくなり、あんな風に言ってあげたらよかった、あのときこうしておけばよかったと…。
それがわかったので、なお辛いです。
夫の無邪気なところ。一途なところ。優しい面。いろんないいところを私が駄目にしたのかなって。
それを最近彼に伝えましたが、『今更…遅い。きれいごとやな』って言われてしまいました。
夫には、まだまだ伝わらないようです。
自分を省みることは夫にはないのでしょうか。

もっともっと先になり、私の年齢になるまで彼は気づかないのかも。
それにその年になっても気づかないこともあるかもしれない。

年の差ってある意味悲しいことですね…。

Posted by えり at 2007年02月24日 00:33
辛苦なコメントありがとうございます。
えりさんの詳しい状況はこのコメントだけでは判断できませんが、年の差のある夫婦が実際にうまくやっている人もいます。年が離れていてもお互いを尊重できる人間性が一番重要だと私は思っています。
Posted by 沖川 at 2007年02月24日 10:57
 
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