February 10, 2010
ラブリーボーン/この木なんの木あの世行き

オフィシャルサイト
帰りの電車で15分ほど読んだ「増大派に告ぐ」の数ページにあっさり追いやられてしまうような強度の映画であって既にいろいろと曖昧である。はっきり言ってしまえばスージーがフワフワといる世界の描写がなくても彼女のモノローグで十分に物語は成立してしまうのと、デミ・ムーアとパトリック・スウェイジのアレがチラとでも浮かんだら負けだとピーター・ジャクソンが思ったかどうかしらないけど、徹底してオカルト/ホラーを排して許されたのはスピリチュアルな光だけだったからか、結果として最も有効な妄想たりえたのはシリアル・キラーのそれであったというこれじゃスージーも浮かばれまいという完全なディレクションのエラー。ただまあ、ピーター・ジャクソンがなまくらになったかと言えば、ラストで崖から転落するスタンリー・トゥイッチの勇姿とか、どす黒いサスペンスになると俄然筆が進む様子からしてそれが杞憂なのは明らかだからあまり心配はしてない。とは言っても今日のところは冒頭でもあげた「増大派に告ぐ」に胸ワクワクなせいでがっかりしたり腹を立てたりするのを忘れちゃってるせいもあるから、一応義務として観たよ、そしてやはり義務でしかなかったよくらいは言っておくのが親切かなとは思う。「サロゲート」とこれだったらやっぱり「サロゲート」薦めちゃうし。
February 08, 2010
CAT WOMAN Statue / Cover Girls of the DC UNIVERSE
February 05, 2010
買ったCDとか買いたい本とか
![]() | Rattlesnakes Lloyd Cole Polydor 2009-12-08 by G-Tools |
![]() | Growing Up Absurd/What's in a Word Brilliant Corners Cherry Red UK 2009-11-16 by G-Tools |
![]() | Blue Skies & Free Rides: The Best of 1986-1989 The Weather Prophets Cherry Red 2004-06-08 by G-Tools |
落ち穂拾いとか言うにはいまだヴィヴィッドなコンピレーション3枚。
この人は当時から書生くささがあまり感じられなくて、英国の若者にしてはボヘミアンというかビートニクな香りもしていたのだけど、Disc2に収められたテレヴィジョンのカヴァーを聴いて納得したというか、やはり大西洋の彼方を見ていたわけね。Martin Stephensonの1stと並んで80年代英国SSWの傑作デビューアルバムなのは言うまでもないにしても、四半世紀も前のずぶずぶでぐだぐだな日々まで想い出してちょっとため息が出たりもする。ちっとも音楽のせいじゃあないけども/これはCHERRY REDのいい仕事。もっとトロトロなバンドのイメージがあったけど、思いのほか苦みもあって意外と猫背な感じがいい。実際のジャケはGROWING UP ABSURDイメージなのでご安心を/最近はわざわざ「メイフラワー」を引っ張り出して聴くこともあまりないから、こんな風にあちこちから寄せ集めてくれたのをだらりと流しているのはそれはそれで愉しい。Peter Astor絶頂期のバンドだからこれに聴き入るのは当たり前なので、できればこれ以降のソロ期のお仕事集もお願いしたい。そんなに陽はあたらなかったけど、自分から輝いてはみせた人だからね。
それにしても本が読めてない。会社立ち上げてから丸2年経つけど今までにない忙しさで、何だかずっと脳みそが暖まったままのような感じで文章を頭に練り込めないのと、そもそも本屋をぶらつく時間がない。新刊はなるべく本屋で買いたいからなあと思ってたらこの始末なので、今日は無理だけど週末には必ず本屋に寄って、少なくとも以下は購入しよう。
![]() | 奇界遺産 古平 正義 エクスナレッジ 2010-01-20 by G-Tools |
![]() | 増大派に告ぐ 小田 雅久仁 新潮社 2009-11-20 by G-Tools |
![]() | 映画は遊んでくれる 芝山 幹郎 清流出版 2009-12 by G-Tools |
February 03, 2010
サロゲート/君よカフカ銃で撃て

オフィシャルサイト
ディストピアの憂鬱というそれなりの大きさの風呂敷にもかかわらず映画はそこでまみれるプライベート・ヘルといった程度の小さな語り口にとどめ、暗い目をしたブルース・ウィリスによるささやかな奪還を目指す闘争に終始して一発ネタのテンションで逃げ切ろうとした画策は、90年代にピーター・ウェラーあたりが主演で撮られたディメンションの映画みたいな雑味の懐かしさも手伝ってこれはこれでけっこう愉しい。序盤のシミュラクラ風味から中盤でのターミネーター戦、そして最後はもちろんダイ・ハードで締めということでもろもろの不具合不徹底不手際を差し引いても7勝8敗くらいには落ち着くんじゃないかなあと。何だ負け越しじゃねえかと思われるだろうけど、映画なんてもともとが負け戦なんだし、色川武大いうところの“9勝6敗”を達成すればそれは傑作レベルだと思ってるから(だからワタシの評価は一般的には甘いかもしれない)8つの負けよりも7つも勝ったと思えればそれで十分。で、その勝ちに含まれるサロゲートシステムのガジェットというかインチキのケレンが思ったよりも有効で映画を観てる間は心地よく麻痺してられたから、もう少し(あと20分くらいは)ディテールを太らせてもよかったかなと思ったくらい。例えば欲望の代行品としてのサロゲートなのだとしたら、感覚情報のインプットとしての食欲の処理とか、あるいはFBI捜査官用のサロゲートは特殊なチューンナップが施されてるみたいだから(跳躍にしろ何にしろ修羅場での動きはまるで人外のそれだったし)オリジナル(人間)がそれを使いこなすためのトレーニングシステムであるとかそれなりに妄想はふくらんだりもする。ただこれもブルース・ウィリスが主演だから公開されたようなもんで、最近耳にする日本公開作の激減のあおりはあちこちを直撃してるような気がして、「ハングオーバー」の件(祝公開決定)だとか「インフォーマント」と混同してたコレ
January 30, 2010
BIOSHOCK2 : BIG DADDY / NECA





このPLAYER SELECTのラインに関するNECAのプロダクションはかなりのクオリティで、このBIG DADDYもご覧のように重機のような鈍色の存在感が素晴らしいしドリルや複眼などのガジェット丸出しなデザインも大きなお子さんの心にかなりグッとくる。でもね、このBIG DADDY、とか、しれっと言ってるけどもBIO SHOCK2なるゲームは全くプレイしたことはないのです。かなり傑出した世界観を持つゲームらしいのだけど、今の毎日でゲームに突っ込む時間はどのポケット裏返しても見つからないからちょっと無理だしなあ、くやしいけど。
ところでLOVELOGさんはファイル容量の上限が100MB(!)という、倹約を美徳とする方針を掲げてるもんだから今までいろいろやりくりしながら続けてきたんだけど、どうにももう限界なので今回からFlickrに置いてみることにした。サムネイルのサイズが3カラムには少々大きすぎるから書き換えなきゃならないとかはあるけども、とりあえずはこれで試してみようかなと。こういう時はみなさんどうしてるんでしょ?
※Safariだと問題ないけどIEだとサムネイルが少しギザつくかな。
January 28, 2010
最近買ったCD
![]() | Chimeric Radian Thrill Jockey 2009-11-10 by G-Tools |
![]() | Big Sexy Noise (Dig) Lydia Lunch Satorial 2010-01-12 by G-Tools |
![]() | White Lunar Nick Cave & Warren Ellis Mute 2009-09-10 by G-Tools |
「Jaxtaposition」以来4年ぶりの新譜。もう解散したのかと思ってたらリセットとかリビルドとか言ってもいいくらいの変貌でちょっと驚いた。押さえ込みと野放しの偏執的なバランスにうっとりとした過去作からするとまずはそのコントロールを解くとこから始めようという宣言のような音がたれ込めて、乱暴に言ってしまえばGOFの「SOLID GOLD」を原型をとどめずにREMIXしたような感じ。果たしてこのフォームが続いていくのかどうかは微妙なところだけどまずは祝再始動/リディア・ランチの突発的なユニットは地下人脈で固めたかなりストレートでアッパーかつNO WAVEなガレージ。といっても昔の名前で出ています的なやっつけ感はなくきちんとアップデートされた音になってて、前線のタイム感を失わない嗅覚はさすがリディア姐さんといったところ。ライヴ映えしまくりだろうな/ジャケの極悪コンビが手がけたサウンドトラックのコンピレーション。静謐と言ってもいい押し殺したメランコリーはこのコンビの周辺で言うとDIRTY THREEあたりが好きな人にはお愉しみ。ところでGRINDERMANは2ndが既に完成してるようで今年中にはリリース予定らしく、ウォーレン・エリスによれば "It’s kind of like stoner rock meets Sly Stone via Amon Duul” ということで1stとは印象がガラッと変わりそうだけど、異物感が一層増してるのは間違いなさそうなのでめちゃくちゃ楽しみ。それよりもライブ見たくて仕方がなくて、ATPのDVDで見ることの出来るステージは、グラントン大尉率いる討伐隊(viaブラッド・メリディアン)にしか見えない禍々しさで、このステージを見られない人生に意味などないとすら思えるくらいだよ。
![]() | ALL TOMORROW'S PARTIES [DVD] by G-Tools |
January 25, 2010
Dr.パルナサスの鏡/明鏡止水にゃまだ早い

オフィシャルサイト
「ブラザーズ・グリム」に比べれば重心は低いし手癖にあふれたガジェットも満載だしで、おまけにトム・ウェイツまでキャスティングしてるというのにこの行儀の良さというかよそよそしさというか、少し物わかりが良すぎない?ギリアムも映画も。もう幻視のヴィジョンがフィルムの内と外で拮抗していくスリルを求めても仕方ないということなのかなあ。仮にあの不幸な事件がないとすればトニー(ヒース・レジャー)が鏡の向こうで悪魔(トム・ウェイツ)と丁々発止することで生まれたかもしれない酩酊がもう少し映画をふらつかせたかもしれないにしても、パルナサス博士と悪魔の馴れ合いにしろ誰も彼もがどこへもはみ出すことがなくて、こういう風な現状肯定は初めての気がする。それと気になるのはギリアムの身の丈が縮んじゃったような気がすることで、風呂敷の広げ方がおっかなびっくりというか、律儀なくらいたたみ方に気を遣ってることもあってか「バロン」の暴走すらすでに懐かしく感じるくらい。ただ、「ブラザーズ・グリム」と並行するように撮った「ローズ・イン・タイドランド」があれだけの強度を持ってたことを考えれば、メジャースタジオの仕事については猫をかぶって手堅く結果を出すことに専念してコントロールフリークを封印しているようにも思えるので、となればすべては次作として構想される因縁の「ドン・キホーテを殺した男」に向けての雌伏とも考えられるし、そう思えばそれだけの余裕をかましつつこれを撮った地肩にはまだまだ期待して大丈夫な気もするから、鮮やかにあっかんべ〜と舌を出してくれるその日を心待ちにしようとは思う。寓話の入り込む余地などない切実で自由な魂のファンタジーを、この人のエゴはそれを描くためにあるんだと思ってるから、映画界はある種の義務としてそれを野放しにしないといけないと思うよ、ホントに。それで誰かがどれだけひどい目に遭うにしても。
January 23, 2010
SUPER MIXTURE MODEL / MARVEL VS. ROCKIN' JELLY BEAN Vol.1: INVISIBLE WOMAN by 豆魚雷
January 19, 2010
かいじゅうたちのいるところ/ジャッカス完結篇

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Karen Oが紡いだサウンドトラックにしろ夕方ちょっと前のような陽差しにしろ、そっと身を潜めるには心地良いマイナーコードにあふれているはずなのにいっかなそうならないのは、これがスパイク・ジョーンズにとってのアレに他ならないからで、ぼくは一人で歩くんだけど、でも今は一緒だよね、と走り出す世界のすり抜け方は子供たちに知らしめるというよりは彼が自分に言い聞かせているとしか思えない切実さがつまっていて、だからここに溢れる切なさはノスタルジーというよりはずっと続く喪失のメランコリーによるもので、ママに「ごめんなさい」と言って片が付くような話などではまったくない痛みが思いのほか沁みてくる。かいじゅうたちにしてもマックスの現実が断片的に投影された存在として描かれているせいでいちいちマックスと一緒になって右往左往してしまうから、いつまでたっても欠落を埋める甘い逃避願望としてのファンタジーにはなり得ないというか、そうなる寸前でわざと壊してしまうのはやはりこれが通過儀礼に他ならないからで、孤独は世界に対する独立宣言のようなものでそれがなされないうちは世界は迎え入れてくれないのだと、孤独の正体に気づいてはやる気持ちで島を出て行くマックスは、そうやって身を切るようにして世界と渡りをつけてきた(いる)スパイク・ジョーンズそのものなのだろうけれど、脱ぎ捨てられた抜け殻となって彼を見送るかいじゅうたち(浜辺のザ・ブルときたら…)もまた取り残されてしまう存在としての彼自身にも思えて、そうやってこの映画はモヤモヤと分裂し続けて落ち着きがない。今まではそういうあちらとこちらをあれこれ煙幕を張って描いてきたからこういう風なむき出し方に少し虚をつかれたのは確かだけど、それを今になってさらけ出した覚悟のようなものに募るのは(共感というには少し烈しい)愛しさだったりもする。でもそれは決して甘やかな感情ではないんだけどもね。
January 15, 2010
Prom Zombie original zombie bust/KESARAN PASARAN
January 12, 2010
アバター 3D字幕版/親善キッスじゃないんかい
オフィシャルサイト
せっかくの肉付け3Dを反映できない無様な人間様のパートをディストピア/ユートピアの対比ついでにそのまま突っ込んで人外オンリーの「ダーク・クリスタル」にしなかったキャメロンは思いのほか冷静。ストーリーはどうでもいいというか、映像をスウィングさせるために必要な設定に過ぎないからアレに似てるだとかまんまだとかそういうところを突っ込んでも意味がない。というかそのあれやこれやをカッティングエッジな映像で目の当たりに出来る幸せを甘受してればそれで十分でしょ。それと時代設定のわりに人間様のメカが流麗でなく無骨一辺倒なのも浮遊が過ぎないようにつなぎ止める重しになってるし、やっぱりキャメロンは重さとかデカさとか、サイズと質量を目一杯に見せるカットやアングル(要するにSFXじゃなく“特撮”)がけた外れに上手いから、仮に同じ技術を投入したところで2012の人がどれだけの奥行きを作れるかというとそれは所詮無理な話で、これに関しちゃやはりキ○ガイが10年かけて自ら研いだ刃物を振り回す見世物の緊張が神経を直撃するのが麗しいわけだから、キャメロンが開けたドアからは当面キャメロンしか入っていけないという点でこれは局地的な突然変異であって媒体としての映画がジャンプした感じじゃない気がする。一番好きだったのはラストでネイティリとジェイクが邂逅するTheかぼちゃワインなシーンでのネイティリのデカさというか人外丸出しな顔のデカさで、ことさらそれを強調するように小さなジェイクの手がその頬をやさしく撫でるのを見た時、ようやくにしてああ何かスゴイもんを観たと思えてちょっとだけグッときた。映画にというよりキャメロンの面白すぎる野心に。
January 10, 2010
MORT OF THE DEAD / SIDESHOW COLLECTIBLES
January 09, 2010
最近聴いているCD BOX
![]() | Plastic Box Public Image Ltd. Emd Int'l 2009-12-22 by G-Tools |
![]() | ベアズヴィル・ボックス・セット ビクターエンタテインメント 2009-12-16 by G-Tools |
どちらもオリジナルはそれなりに高騰気味だったBOXセットのありがたい再発で、外だとiPodで上のヤツ、家の中だと下のヤツ、ということで年末から基本的にはこれしか聴いてない感じ。まずはPIL。Disc1収録のBBC Sessionで聴ける冷熱の再現にはかなりしびれる。グワグワビリビリ鳴るベースなど、総体的にかなり優秀なリマスタリングかと。それと、ワタシにとってのオルタナティヴはやっぱPILから始まってることを再確認。それにしてもこのクオリティとボリュームでこの価格ってちょっと唖然としちゃわない?/ワタシはいきなりPUNKやNWに沈没したからこのあたりは後知恵でしか知りようのない世代で、名前は知ってるけど音源をきちんと聴くのは初めてなタイトルが多くて完全に新譜として愉しんでる感じ。善いポップソングはその切実さゆえに同時に優れた祈りでもあるなあと、ちょっと目を離すとささくれてしまう身の回りにことのほか効く滋養となってくれてありがたい。そしてレーベルが目指した共同体幻想の記憶というか記録というか、あの時、我々はちょっとだけ世界に勝ってたよねという美しい想い出がそこはかと伝わってくるのもいい。高いけどこれは一家に一箱ということで。
January 06, 2010
ずっとあなたを愛してる/悲しみを、そのつぎへ、連れて行こう

オフィシャルサイト
独善の罪で自戒/自壊した魂がもう一度“私”を謳うことを許すまでの日々をピアノ線のような緊張と中間色の静謐で描いてみせたこの作品は、作家フィリップ・クローデルの初監督作であり、と同時にそうしたバイアスがどうでもよくなるほどの傑作。「屈託」というタイトルでもつけたくなるくらい完璧なジュリエットのショットから始まって、彼女の素性や過去が次第に明かされるに従い、ワタシ達は彼女の罪(殺人)が額面通りのものでないことに薄々気がついていく。そして物語はそうした観客の予感を裏切ることなく再生の陽が差し込む日々を示唆して幕を閉じ、おそらく彼の小説であればこうした着地はしなかったであろうという(予定とまではいかない)調和を生むのだけれど、ここまでの道行きでみせる冷ややかさと暖かさ、残酷と慈愛、そして喪失と再生といった拡散と凝縮を同時に描き込む手管のあまりの見事さからすれば全く不自然のない据わりで、近頃あまり縁のなかったような美しい映画となっている。そしてこれだけ過去に縛りつけられた話でありながらフラッシュバックの類が一切ないのも映画が綱渡りしていくスリルを白けさせない大きな要因になっていて、少しもぶれることのない口調の確かさと時に昂揚をままにする目筋の自由は、これが処女作とは思えないほどの映画的な手綱で操られているのに心底驚かされる。“刑務所では「不在者」と呼ばれていたわ”とうそぶくジュリエットはまさに失われたすべての体現者で、その空虚に共鳴するかのように個別の空虚を抱えた他人(妹レアの同僚ミシェル、フォレ警部、そしておそらくプチ・リスも)と邂逅することで自分の空虚にこだまする叫びに耳をかたむけることになり、そしてジュリエットに共鳴させられることで自分の空虚に向き合うことになったレアがその叫びを掴まえたことでそれは決壊し、流れる涙のか細い筋がその証として刻まれることになる。そして何より心惹かれるのはここに自己憐憫による傷の舐め合いが一切ないことで、そこに何か過剰な感情があるとすればそれは個であることの哀しみであって、彼や彼女が独りで懸命に佇む姿を励ますように捉える監督の目線こそがこの映画の類い希な美しさになっている気がする。再度、傑作。
January 04, 2010
TALOS : JASON AND THE ARGONAUTS / X-PLUS (2001)





仁王立ちのレギュラーヴァージョンに対し、この起動直後のタロスを捉えたヴァージョンはBEST COMICSのEXCLUSIVEで全高27cm。そもそもが青銅の巨人という設定だけにこうした素材での立体化は素晴らしく映えるし、劇中では右側面からのカットはなかったからそのあたりの独自な補足(4枚目の画像など)もふくめて造型、塗装共に文句のないクオリティ。この頃のX-PLUSは何がそこまで駆り立てるのか!というくらいハリーハウゼンのクリーチャーを立体化することに執念を燃やして、スタチュー、ソフビ2種、チェスピースと4ラインで怒濤のリリースを敢行したものだからこちらはあたふたとかけずり回ってうれしい悲鳴だったことを想い出す。ところでこのタロス(劇中ではテイロスとの発音および字幕)は、ヘラクレスが禁を破って神々の財宝に手をつけたために起動してジェイソンの一行を襲撃するのだけど、最初は正面を向いていた顔を重機が軋むような音と共にカクカクと左に廻らしてヘラクレスらを睨みつけるその人外特有の怪しげな動きは、ハリーハウゼンによれば当時の日本映画の中で見たあるシーンで女性が振り返る時の人間とは思えない動きにインスパイアされたとのこと。となればハリーハウゼンが言う日本映画が何なのか気になるところなので、ご存知の方がいらっしゃったら是非教えていただきたい。ところで今年は「タイタンの戦い」のリメイクが公開予定で、トレーラーを見る限りでは怪獣映画の鈍と重が感じられてなかなか楽しみなので、折にふれてハリーハウゼンのクリーチャーなど紹介して勝手に盛り上がっていくつもり。ちなみにこのタロスが登場する「アルゴ探検隊の大冒険」は、脚本が弱いせいか主人公ジェイソンのキャラクターに魅力が欠けていたりして冒険活劇としては今ひとつ不完全燃焼だけども、タロスを始め秀逸なクリーチャーが満載なので(怪鳥ハーピーに虐められる爺さんがゼウスに逆ギレするくだりとか好き)機会があれば是非一見を。
January 01, 2010
あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
抱負は特にないです。
なくても済むような一年にしたいです。
では、皆様にもワタシにも幸多い一年でありますように!
December 31, 2009
ゆらゆら帝国 LIVE2009FINAL@LIQUIDROOM

今年は無事チケットも確保して余裕をかましてたら、ここのところの寝不足その他のせいかイヤ〜な感じで頭がモヤモヤして我慢が効くかどうか微妙なところだったものだからとりあえず飲んどくかとした頭痛薬のせいか、ヘアスタの時は立ったままぐらんぐらんして半分眠ってたおかげで、ああ今日はバンドなのね、ドラマの圧が結構きつくていいなあ、今日はあんまりピーガーしないノイズだなあくらいしか覚えてなくて、最後のメンバー紹介だけハッと目が醒めたらドラムは姫野女史(にせんねんもんだい)だったらしく、ああもっとちゃんと聴いて見とけばよかったと後悔するも後の祭り。そういえば、メンバーが出揃って始めようとしてるのに客入れの音楽が止まず、中原氏が呪うような声で「音楽止めてもらえますか」と言ってるのにそれが通じないもんだから、イライラした感じでビギャオッ!っと鳴らしたノイズが可愛かったです。すみません、こんなことばっかり覚えてて。で、久しぶりに見る巨人ゆえにデカイ。いやあ、何かスッキリしたというかフォーカス合ってきたというか、情動よりも衝動で揺らす感じが普通にカッコよくなっててちょっと驚いた。ただ、これくらいの箱で演る時はもうちょっと巨人は背を高くしとかないと客はどよめかないよ。それだけもったいなかった。そして今年7回目となるゆらゆら帝国のステージは、これがもう赤くて熱いというか、今年見た中でも屈指のステージ。「針」とか「ボーンズ」とか久しぶりに聞けた曲が愉しかったのはともかくとして、ラストが「つぎの夜へ」だったのが私的絶頂。暗闇に灯った小さいけれど決して消えない明かりに照らされながら喪失と再生を歌うこの歌を聴いていると、今年つき合わざるを得なかったすべてのネガティヴが洗い流されていくような気がして、もしもワタシが泣く人間だったらもう止めどもなかっただろうなあと思いながら体を揺らし、とりあえずワタシもまだもう少しは大丈夫だろうという根拠はないけどそれほど闇雲でもない確信を持って、いつの間にか23時を過ぎた恵比寿を連れと早足で駅に歩いた。
今年も一年間、こんな端処まで足を運んで下さってどうもありがとうございました。皆さんの来年が、明るい月明かりと見晴らしの快晴に恵まれて希望する場所に辿り着けますように。そしてそんな風に祈ることのできる気持の平安がワタシにありますように。では、皆さん善いお年を!
December 29, 2009
2009年ワタシのベストテン/映画

□「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー/Hellboy II : The Golden Army」
□「ストレンジャーズ 戦慄の訪問者/The Strangers」
□「グラン・トリノ/Gran Torino」
□「ザ・レスラー/The Wrestler」
□「ノウイング/Knowing」
□「3時10分、決断のとき/3:10 to Yuma」
□「ドゥームズデイ/Doomsday」
□「スペル/Drag Me To Hell」
□「脳内ニューヨーク/Synecdoche New York」
□「イングロリアス・バスターズ/Inglourious Basters」
観た順。最後にこれを観てから決めようと思ってた「母なる証明」は、変態的に素晴らしいオープニングに円環する手続きを少しキメ過ぎた分だけ自壊しなかったのが悔やまれる。ミステリーでかっちり攻めるんだとしたら終盤のあれはちょっと?だったし。まあ「ノウイング」選んでる人間がどの口で言うかって気もするけどね。とにかく今は「かいじゅうたちのいるところ」が早く観たくてしかたなくて、それはもう夢に見そうなくらい。他に楽しみなのは「バッド・ルーテナント」「タイタンの戦い」「TETSUO THE BULLET MAN」「ゾンビランド」「ラブリーボーン」「コララインとボタンの魔女」あたりかな。見事にスリップストリームばっかですが。
December 27, 2009
2009年ワタシのベストテン/音楽

□ 「Kevin Barker/You & Me」
□ 「bibio/ambivalence avenue」
□ 「NILS FRAHM/The Bells」
□ 「The Horrors/Primary Colours」
□ 「JEB LOY NICHOLS/STRANGE FAITH AND PRACTICE」
□ 「THE THING/BAG IT!」
□ 「Tom Waits/Glitter and Doom Live」
□ 「Wooden Shjips/Dos」
□ 「湯浅湾/港 」
□ 「ZA/Macumba O Muerte」
アルファベット順。リイシューやコンピレーションを除いた2009年リリースという条件は例年通り。サイケとかスワンプとかフォークとかそっち関連のリイシューや旧盤のサルヴェージにうつつを抜かす度合いが年々昂じてるのは相変わらず。だから新譜で手を出すのもそういう匂いがアップデートされたような音楽に偏向してくのも当然と言えば当然だけど、これらはそういう手癖と関係のないところでもよく聴いた10枚。それにしても色気のかけらすらないね。
December 24, 2009
最近読んだ本から
![]() | 第四の手〈上〉 (新潮文庫) John Irving 新潮社 2009-11-28 by G-Tools |
![]() | 第四の手〈下〉 (新潮文庫) John Irving 新潮社 2009-11-28 by G-Tools |
![]() | グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Tom Rob Smith 新潮社 2009-08-28 by G-Tools |
![]() | グラーグ57〈下〉 (新潮文庫) Tom Rob Smith 新潮社 2009-08-28 by G-Tools |
![]() | バッド・モンキーズ Matt Ruff 文藝春秋 2009-10 by G-Tools |
![]() | ソフィー (創元推理文庫) Guy Burt 東京創元社 2009-11-20 by G-Tools |
フニャモラな主人公をスタートラインに立たせるためのウォーミングアップを冒頭のたった3ページで済ませてしまう筆致の見事さはアクロバットに近い。そしてスタートするのは、やはりアーヴィング!としか言いようのないオフビートな滋養に溢れる教養小説で、今作は仕掛けが地味な分だけ次第に話が締まっていく時の手触りが直に伝わってくるのがとても愛しく思える。ワタシの場合パトリックにはヒュー・グラントが完全にフィット/活劇では『犬の力』に譲るとしても、灰鈍色のみ僅かに許した色使いによる地獄巡りの徹底したネガティブでこちらの方が確実に深部まで沈殿する。レオ・デミドフのシリーズは三部作で完結するとのことで、閉じ方によってはハービー・クルーガー三部作なども思い起こす名シリーズになる気がしてる/奇しくも似通った構造(※ちょいネタバレ→対立軸としての姉弟、回想による対話劇、ラストでの裏返し方)を持つことになったこの2冊は相当に面白かった。ミステリを薦める手前あ〜だこ〜だ書けないのがもどかしいけども、キリキリと周到に餌を撒いていく英国人ガイ・バートとドシャメシャにドアをぶち抜きながら引きずり回す米国人マット・ラフといった感じで筆致は対照的ながらも両者ともに采配の妙が冴えまくって読んでいて実に愉しい。黒原訳、横山訳共に最上のリーダビリティで文句ないし、バッド・モンキーズはカヴァー・アートが寺田克也なのでそれも含めて入れ込み気味。そしてようやく読み始めた『ブラッド・メリディアン』が噂にたがわず超強力でマッカーシー史上最強の惹句は嘘偽りなし。既に思索するかのように暴力が歩き出していて息をするのも忘れそうだよ。















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