May 30, 2010

ローラーガールズ・ダイアリー/エゴなんて餌やって飼っとけばいいのよ


ローラーガールズ・ダイアリー
オフィシャルサイト

延々と堕ちて自分の底に触れてもう一度還ってきた人間に特有のイージーな空気は、身中のデーモンを相対化して見切ることで得られるある種の車幅感覚が機能することにより崖っぷちでさえ表情一つ変えず走り抜けていく時の突き抜けた軽やかさが醸しているような気がして、それは最近だとロバート・ダウニー・Jrにも顕著なのだけれども、「チャーリーズ・エンジェル」あたりからドリュー・バリモアがまとうそれも気になっているものだからそれ以来彼女を観ているのはスリリングで愉しいし、製作者としてリチャード・ケリー(「ドニー・ダーコ」)やファレリー兄弟(「2番目のキス」)を起用する映画の目端と、「ラブソングができるまで」で魅せたキャラ主導によらない絶妙で的確なアンサンブルなど映画人としての彼女に肩入れする理由にしたってたやすく見つけることができる。では監督としてはどうだったかと言えば、ここでは作家性の発揮というよりは匿名性のウェルメイドが勝ったガールズ・ムーヴィーに仕上げていて、俳優の初監督作で言えば「恐怖のメロディ」がそうであったようにエゴを抑え込んで映画のアクションを成立させようと図った感じ。とはいえ監督自身のあれこれは当然作中に投影されているわけだけども、それはブリス(エレン・ペイジ)が体現すると言うよりは時として母親(マーシャ・ゲイ・ハーデン)であったりチームメイト(クリスティン・ウィグ)であったりライバル(ジュリエット・ルイス)であったりしている点でブリスのフォーカスがやや甘くなってしまっていると言えないことはないにしても、やはりすべての女性たちの視線を織り込んだ上で全員一緒にゴールを切るような映画にしたかったのだろうと好意的に解釈することに何ら後ろめたさはないくらい愛すべき映画になっていて、何より成長と変化を促す物語でありながら一切説教口調でないのが気持ちいいし、脇の方で脳天気キャラを嬉々として演じる姿も含めていっそう彼女を信頼できるデビュー作になったと思う。ただ、エレン・ペイジが達者すぎるせいで彼女に関しては最初から筋が通っているように見えてしまうのがやや難点ではあるけれど、他のガールズの面々(ゾーイ・ベル!)が片っ端から魅力的なこともあって彼女一人が浮いてしまうこともなくチームとして転がっているのは監督の力量だし、このまとまりは手堅さの無難というよりはスマートの完成といった方がふさわしい気もしている。今作に限らず彼女のプロデュース作品は選曲のセンスもなかなか秀逸で、ここでもJens Lekmanの使いどころとかちょっと驚いたりもした。というわけでご存知の方もそうでない方も、いつの間にか才女と呼ぶにふさわしい映画人となったドリュー・バリモアと彼女の映画をひとつよろしく劇場で。

 

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