2010年09月19日
災園
三津田信三による書き下ろしホラー「家」シリーズの第三作。
『禍家』『凶宅』と続くシリーズ、一応、三作の接点は確保されているようであるが、とりあえずは作品の舞台と主要人物は全て異なっているので、全く独立したストーリーとして読んでも差支えはない。
不慮の事故に逝った父親に続き、母親をも何者かに殺害された6歳の少女・根津奈津江。
孤児となった彼女の養育を申し出たのは、資産家・祭家の一人娘である深咲だった。
なんのかかわりも無い赤の他人が何故?幼いながらに不審を覚える奈津江に、深咲は驚くべき秘密を打ち明ける。
──奈津江ちゃんと私は姉妹なの。
13歳も年齢の離れた姉に連れられて、奈津江が向かったのは祭家が営む特殊な施設「祭園」。資産家の子女に限定される候補者が、さらに祭家の当主と養子縁組を結ぶことで入園資格を与えられるこの奇妙な「家庭」には、深咲たち祭一族に加え、すでに5人の養子となった子供たちが暮らしていた……。
なんと言うかちょっとゴシックホラー風味な設定である。
しかし、これを現代の日本でやられると、どうも私の硬直した頭では、すいと入っていくことが難しい。
違和感はここばかりではなく、6歳という、あまりに幼さ過ぎる主人公の年齢や、相変わらず見取り図がなくてはその構造を思い描きにくい怪建築物の登場など、まあそれこそが三津田作品だ、と言われればその通りなのだが、率直なところ作品世界への距離を感じさせられてしまいそうなところもいくつか無いではない。
もっとも、これらはラストに至ればそういうことか、というしっかりとした理由付けが明かされることで、読後の満足感は保証されているし、その覆される感覚が、三津田作品の魅力の重要な部分であることも間違いない。ただ、こういった不自然とも思われそうな設定は、この作家への信頼が確立している読み手、あるいはこのジャンルの読み上手には、その当初からある種のメタな謎として機能しそうなのだが、そうでもない私水準の読者にとっては、ま、少々微妙であったりもしたわけである(苦笑)
黄昏に支配された空間で「這うもの」に追われる恐怖、狐憑き、飯綱遣い、といった民俗的な闇についての描写など、同じ作者の諸作品に共通する魅力は本作でも健在。また、巻末の解説を読んで、ああ、そういうふうに読み取るべきなのだな、と蒙を啓かれたところもあって、この作家の凝った趣向にはあらためて感服させられた。ただし、もう少し知的資質に恵まれない読み手にも優しい作品であれば嬉しかったか、という恨みはやはりあるのだが(笑)★2つ。
『禍家』『凶宅』と続くシリーズ、一応、三作の接点は確保されているようであるが、とりあえずは作品の舞台と主要人物は全て異なっているので、全く独立したストーリーとして読んでも差支えはない。
不慮の事故に逝った父親に続き、母親をも何者かに殺害された6歳の少女・根津奈津江。
孤児となった彼女の養育を申し出たのは、資産家・祭家の一人娘である深咲だった。
なんのかかわりも無い赤の他人が何故?幼いながらに不審を覚える奈津江に、深咲は驚くべき秘密を打ち明ける。
──奈津江ちゃんと私は姉妹なの。
13歳も年齢の離れた姉に連れられて、奈津江が向かったのは祭家が営む特殊な施設「祭園」。資産家の子女に限定される候補者が、さらに祭家の当主と養子縁組を結ぶことで入園資格を与えられるこの奇妙な「家庭」には、深咲たち祭一族に加え、すでに5人の養子となった子供たちが暮らしていた……。
なんと言うかちょっとゴシックホラー風味な設定である。
しかし、これを現代の日本でやられると、どうも私の硬直した頭では、すいと入っていくことが難しい。
違和感はここばかりではなく、6歳という、あまりに幼さ過ぎる主人公の年齢や、相変わらず見取り図がなくてはその構造を思い描きにくい怪建築物の登場など、まあそれこそが三津田作品だ、と言われればその通りなのだが、率直なところ作品世界への距離を感じさせられてしまいそうなところもいくつか無いではない。
もっとも、これらはラストに至ればそういうことか、というしっかりとした理由付けが明かされることで、読後の満足感は保証されているし、その覆される感覚が、三津田作品の魅力の重要な部分であることも間違いない。ただ、こういった不自然とも思われそうな設定は、この作家への信頼が確立している読み手、あるいはこのジャンルの読み上手には、その当初からある種のメタな謎として機能しそうなのだが、そうでもない私水準の読者にとっては、ま、少々微妙であったりもしたわけである(苦笑)
黄昏に支配された空間で「這うもの」に追われる恐怖、狐憑き、飯綱遣い、といった民俗的な闇についての描写など、同じ作者の諸作品に共通する魅力は本作でも健在。また、巻末の解説を読んで、ああ、そういうふうに読み取るべきなのだな、と蒙を啓かれたところもあって、この作家の凝った趣向にはあらためて感服させられた。ただし、もう少し知的資質に恵まれない読み手にも優しい作品であれば嬉しかったか、という恨みはやはりあるのだが(笑)★2つ。
【小説:ホラー、サスペンスの最新記事】
この記事へのトラックバックURL
http://blogs.dion.ne.jp/paper_screen/tb.cgi/9707687
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※半角英数字のみのトラックバックは受信されません。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
「禍家」、「凶宅」に続く、三津田信三の「家」シリーズの最終章「災園」(光文社)。
主人公の奈津江は6歳の少女である。近くの森で変質者に襲われたが、お稲荷さまの祠から出て来た何かに..
災園【本の宇宙(そら) [風と雲の郷 貴賓館]】 at 2010年10月02日 15:02

