2010年08月12日

京都市西京区 洛西用水(1)

久々の探検ネタです。しかも、京都。

2008年3月で京都を離れたので、もう京都を離れて2年と数ヶ月が経ちます。今回記事にするのは、一度さいたまに来てから、2009年5月のGWに研究関係で京都に短く滞在した間に探検した場所です(なので、記事にするのも1年以上間が空いてしまいました)。研究で来たのに探検するなよ、というツッコミはスルーの方向で。

今回の場所は、以前一度記事にしたことがある「桂川用水・西芳寺川 分水立体交差」です。京都市西京区にある、地図で見てもどうなってるのかさっぱり分からない用水路と川の複雑な立体交差点。

GWで観光客たちが京都の定番スポットへ足を運ぶ中、一人、それから外れて水路探検へと赴いた私。山探検ではなく水路探検なので、ゆるーい探検になりますが、さて、洛西の水路はどんな京都の一面を私に見せてくれたのか。

【関連「京都水路系」エントリー】
京都市北白川 疎水導水用付属施設
疎水-白川 逆サイホン交差
疎水-泉川 平面交差
疏水-高野川 立体交差跡
京都市下鴨 泉川
【探検全容】

さて、まず今回の探検場所の全体像を。目的地は、京都の中でも最古級の神社である松尾大社の近く、西京区松室の桂川近くに地図上で確認できる水路の立体交差地点です。

ただ、その立体交差だけを見るのもなんですから、そこを交差する用水路の取水口から、用水路を辿って立体交差地点までを見てみたい。そこで、出発点は、GWで観光客がうよつく京都市右京区嵐山に決定。ここから洛西用水(別名・桂川用水)を歩いて辿っていきます。


(マウスオーバーで用水路を強調。>google mapで場所を確認

目的地となる水路の立体交差らしき場所は、以下のような複雑な構造。一体、現地ではどのような姿を見せるのでしょうか。

大きな地図で見る

【嵐山一の井堰】
katsura_01.jpg
京都でも有数の観光地・嵐山。平安時代以来、貴族たちの別荘地とされ、特に紅葉の名所として有名で、嵐山を西から東へと流れる桂川の水面に浮かぶ紅葉は、錦のようだと歌にもうたわれてきました。そして、その嵐山の背後には、ちょうどお椀をひっくり返したような形をした小倉山があり、これまた、和歌に登場する定番の名所です。そして、その桂川にかかる名橋・渡月橋。写真中央の山が小倉山、左に見えるのが渡月橋です。

katsura_map03.PNG桂川の西側、上流へと遡行すると、保津峡という渓谷があります。保津峡では川下りを楽しむこともでき、ちょうどその終点がこの嵐山になります。

この渡月橋一帯を拡大すると分かるように、桂川はこの付近で分流し、「中之島」と呼ばれる中州を形成しています。この中之島には、常に露店などが出ており、観光客でにぎわっています。

katsura_02.jpg
ここが分流地点。右が桂川本流で、左に細い流れが分かれていきます。(2枚の画像をパノラマ的に結合させています)

とはいえ、ちょっと勘のいい人なら気がつくと思いますが、この分流は、川の流れとしてはやや不自然です。実は、この分流は人工的な水路によるものです。洛西一帯は、古くから農業用にさまざまな用水路や堰が作られてきました。古くは、5世紀の渡来人の秦氏による土木事業に由来しているといわれています。

katsura_03.jpgそしてこの分流も、洛西地域に水を配分するための用水路「洛西用水」(桂川用水)を取水するために作られたものなのです。この分流がいつできたものなのか、ちょっと調べきれなかったのですが、おそらく江戸時代初期、角倉了以による保津峡流路整備によるものではないかと思われます。

この分水地点で、桂川本流には桂川大堰、別名「一の井堰」という長大な堰が置かれています。嵐山の景観には欠かせない堰です。治水に貢献するとともに、この堰からも取水がおこなわれており、幾筋も用水路が展開しています。

katsura_04.jpgさて、ここでは桂川本流を追うことが本題ではないので、分水した支流の側を見ていきましょう。見ての通り、現在ではこの支流は、農業用水の取水という役割よりも、観光用の船の航路としての役割が重要のようです。なお、奥に見えているのが、渡月橋と一続きになって中之島にかかっている中之島橋です。

【洛西用水取水口】

katsura_05.jpg支流を少し下ると、何やら、観光地にはいささかそぐわない、無骨なコンクリ製の土木構造物が見えてきました。これが、観光地・嵐山からひっそりと農業用水を洛西の地へと流すための要となる「洛西用水取水口」です。GWの観光客が誰も見向きもしない構造物に、一人興奮する私。

本当は川の縁に下りて歩いて接近したかったのですが、さすがに観光地、あまりに人目につきます。そこで、川とは反対側の道路から、取水口にアプローチ。

katsura_06.jpg取水口を撮影。取水口が、ちょうど、駐車場というか駐船場のような場所にあったので助かりました。

この駐車場のアスファルトの下を、暗渠になって洛西用水は流れていることになります。さて、ここから取水口を覗きこんでみましょう。

katsura_07.jpgうーん、残念!取水部そのものを直接見ることはできませんでした。対岸からなら見えたんでしょうが。ちょうどここで支流に段差か設けられており、桂川上流から来た船も、ここまでしか来られない構造になっています。つまり、ここで「観光の川」としての終わりを迎えるわけです。

そして、探検する私自身の気分としても、ここでようやく観光地としての京都めぐりから払拭され、「用水路探検の地としての京都」を満喫できることになります。

いざゆかん、肥沃な農地を潤す用水路を辿る(超地味な)洛西探検へ。

>(2)へつづく
 

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この記事へのコメント
昨日、用水の水路交差?のポイントへ行って参りました。
時間がなかったのでここだけだったのが残念です。

つづきを壮大にお待ちしております。
Posted by 葵 at 2010年09月14日 03:06