2012年02月14日

最後のダンス

ラクロの「危険な関係」読み始めた。
前は、10ページ進んだだけで諦めて図書館に返した。
今度は大丈夫かな。
観劇後なので、モチベーションが高まっている。
それに、読みだすとなかなかおもしろい。

今、サンサーンスの「死の舞踏」を聞いたあとに、
持っている画集から、ムンクの「生の舞踊」をみつめていて。
ヴァルモンと、メルトィユ夫人の最後のダンスを思い起こしている。

  終焉の美学

冬の前に、色鮮やかな秋があるように

果実が腐る前に香りが濃厚になるように

最後の薔薇が、しどけなく開ききって妖艶であるように

白鳥が死ぬ前に、ひと声美しい歌をうたうように

一日の終わりに、夕日が輝くように・・・

彼らの終わりも、哀しくて美しかったに違いない。

この後は、最後の場面について、勝手な私の創作なので、
そういう妄想、苦手な方はこれ以上進まないでくださいね。

* * * * * * * *

「もう、僕もおいとまするよ」と、
ジャン・ピエ−ルは、執事ロベールに言う。

危険を避け、邸宅を早く去ろうと二人をうながすロベールは
ヴァルモンが美しい仮面の陰に、違った顔を持つことに気づいて、
顔を蒼ざめる。

ロベールとヴィクトワール、
貴族と平民の間で、冷静にどちらの世界もみつめられた二人。
時代が変わる波を感じながらも、これからも生きて行くことに
何の疑いも感じない二人。

「あなたたちは、行って。
そして、私たちの分もしあわせになって」と、
今度は、フランソワーズがロベールに言う。

こんな穏やかな顔をした奥様は初めてだ、とロベールは思う。

その言葉に素直に従い、邸宅を出るロベールとヴィクトワール。
彼らは生きる。

もともと、貴族のようなプライドはない。
召使たちのような貪欲な生命力もないが、
田舎に頼れる親戚がいる。何とかなる。
二人でいれば、きっとしあわせになれる。
生きなくては、そして、新しい時代をこの目で見なくては。
主人たちの分も。


取り残された邸宅に、恋人たち。
ジャン・ピエールと、フランソワーズはダンスを踊っている。
心も仮面を剥いで、もう、裸になってもいいんだよ。
こういう世界でしか生きられなかった二人。

ジャン・ピエールはすでに、ダンスニーとの決闘で命を落としていた。
が、フランソワーズを諦めきれない彼の魂は、
メルトィユ邸宅にたどり着いた。美しい仮面をかぶって。
フランソワーズもそれは最初から、わかっている。

最後の乾杯。
ジャンピエールは酒を口に含み、優しくフランソワーズにくちづけする。
毒の入った酒。
踊って行くうちに、だんだん彼女の身体に毒が回っていく。

騒がしく銃撃の音が聞こえるのとは裏腹に。
邸宅内では、静かに音楽が流れ、
仮面と豪華な衣装だけが揺れている。

ずっと、あなたのことが大好きだった。

わたしも・・

これから、私たちは地獄に堕ちて行くのだろう。
やっと、一緒になれたのだ。
もう少しで、この世からおいとまするよ。

最後のダンスが終わるまで、もう少しだけ。

Posted by でるふぃ at 22:19  |Comments(0)TrackBack(0) | 大空祐飛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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