2012年02月10日

消費税を増税すると税収が減る?

消費税を増税すると景気が悪くなって、消費税収は増えても全体の税収が減少してしまうという考え方があるみたいですね。
というわけで今回は、これが正しいのか検討してみることにしましょう。

まずは、財務省ホームページで「主要税目の税収(一般会計分)の推移」のグラフを見てみましょう。
確かに、平成元年(1989年)の消費税導入、平成9年(1997年)の消費税率引き上げで消費税収は増えていますが、それをはるかに上回る勢いで所得税収・法人税収が落ち込んでいます。
だから、消費税を増税すれば、景気が悪くなって全体の税収が減ってしまうというわけですね。

なるほど! なんか正しいような気がしますね!!
・・・しかし、冷静になって考えてみると、このグラフから「消費税を増税すると税収が減る」とは言えないことがわかります。
まず、平成元年の消費税導入後に所得税収・法人税収が急激に落ち込んでいますが、これは消費税を導入したからでしょうか?・・・そうではありませんよね(汗)
この時期に税収が急激に落ち込んでいるのは、「バブル崩壊が起こったから」です。
平成2年(1990年)にバブルが崩壊して、日本経済は深刻な不況に突入しました。
ですからこの時期に、所得税収・法人税収が急激に落ち込んでいるのです。

次に、平成9年の消費税率引き上げ後にも所得税収・法人税収が急激に落ち込んでいますが、これは消費税率を引き上げたからでしょうか?・・・そうではありませんよね(汗)
この時期に税収が急激に落ち込んでいるのは、「アジア通貨危機が起こったから」です。
平成9年にタイをはじめとするアジア各国で通貨の暴落が起き、その影響で日本でも金融危機が発生して、日本経済は深刻な不況に突入しました。
ですからこの時期に、所得税収・法人税収が急激に落ち込んでいるのです。

さらに、平成20年(2008年)にも所得税収・法人税収が急激に落ち込んでいますが、この時期には消費税率引き上げは行われていませんよね?
もう皆さんお分かりかと思いますが、この時期に税収が急激に落ち込んでいるのは、「リーマン・ショックが起こったから」です。
平成20年にアメリカの「リーマン・ブラザーズ」という投資銀行が破綻したのをきっかけとして、世界同時不況が起き、日本経済は深刻な不況に突入しました。
ですからこの時期に、所得税収・法人税収が急激に落ち込んでいるのです。

「・・・なるほど、消費税をきっかけに所得税収・法人税収が落ち込んでいるのではないことはわかった。では、なぜ不況後に所得税収・法人税収は回復していないのか!」という人もいるかもしれませんね。
これも答えは簡単です。
不況後に所得税収・法人税収が回復していないのは、「所得税・法人税の減税を行ったから」です。
所得税の最高税率は、平成元年に消費税導入に伴い、それまで60%だったのを50%に引き下げています。
さらに、平成11年(1999年)には37%にまで引き下げています(平成19年(2007年)からは40%)。
法人税率は、平成元年に消費税導入に伴い、それまで42.0%だったのを40.0%に引き下げています。
その後も、平成2年(1990年)に37.5%、平成10年(1998年)に34.5%、平成11年には30.0%にまで引き下げています。
所得税の最高税率は消費税導入前の60%から40%に、法人税率は消費税導入前の42%から30%に引き下げられているのですから、所得税・法人税の税収が減っているのは当たり前のことです。

さすがに、ここまで説明されても「消費税増税で全体の税収が減少する!」などと主張し続ける人はいないでしょう。
統計資料を見るときには、「相関関係と因果関係を混同しないこと」が非常に重要であるということですね。
・・・というか、人間ってこんなグラフで簡単にだませるんですね(驚)
私も中小企業診断士の資格を取って、「国債はいくら発行しても破綻しない! 財務省にだまされるな!」みたいな内容の本を書こうかな?
・・・でも、読者のほとんどが2ちゃんねるのネット右翼(ネトウヨ)とか気持ち悪いから、やっぱりやめておきましょう(笑)
Posted by ADlab. at 23:35  |Comments(0)TrackBack(0) | 政治・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする