2012年05月23日

宇宙兄弟

監督 森義隆
出演 小栗旬 岡田将生 ほか

 原作の漫画はたぶんとてもいい話なんだろうなあと推察されるのですが(未読)、映画はイントロがあって本文がなくて、エンディング、みたいな、あらすじ映画みたいな…ともかく「膝カックン」みたいな映画でした(笑)。
 UFOを目撃して宇宙飛行士になろうとした兄弟、兄弟もののセオリーとでもいうのか、弟の方がソツなく優秀で、兄は大きな潜在能力を秘めていながら開花していず、弟の方が先に宇宙飛行士になる。
 でも、兄弟(というか兄)の葛藤がさらっとしか描写されてないのも浅い感じだし、宇宙飛行士試験を延々やるというのは、何かまちがっているのでは…先にいっていた弟はたぶん事故で大きなトラウマを抱えることになり(というのがドラマの王道なので、そうなると思うのですが…)、それを克服し、試験を通った兄は本当に宇宙飛行士になろうと邁進する、そして二人一緒に宇宙に旅立つという、この映画のエンディングちょっと前から後が、本当はドマラツルギーに満ちている部分なんじゃないでしょうか?それがいきなり二人で月にいっているので、すごい拍子抜け…。
 それから、劇伴(歌が入っていないもの)が、うるさすぎると感じました。全体的に映画の画面に力がないというか、テレビを大画面に映してるみたいな密度のなさなのに、音楽だけがすごく大仰。プライマル・スクリームやコールドプレイは嫌いじゃありませんが、映画の内容からいっても、日本人アーティストの曲じゃだめだったのかな…(といっても、最近よくある、やたらと感情的な女性ボーカルの曲とかはちがうと思いますが…)。
 俳優陣は魅力的ですが、脚本といい演出といい画面といい音楽といい、残念なところの多すぎる映画でした。


Posted by saecalcite at 23:25  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月20日

バトルシップ

監督 ピーター・バーグ
出演 テイラー・キッチュ リーアム・ニーソン ほか

 私は娯楽映画に対するハードルはそんなに高くない方だと思うのですが、この作品には、久々に外れクジをひいたな、と思ってしまいました。大バカ映画にもわりと甘い方だと思うんですけどね…というか、大バカ映画なら、わりと好きなはずなんですが、大バカな上にダメダメで、笑おうにもツッコミどころがありすぎて、観ていて気恥ずかしかったです…。
 ラブコメで、エイリアンもので、船同士の戦闘があって(これがやりたかったのは、よくわかりました)、友情や成長、不利な者たちが力をあわせて最後は勝利、途中からはアメリカ万歳、海軍万歳、退役軍人万歳的な空気も…と、これでもかとまでてんこ盛り、なんでもぶちこんどけ、って感じなのですが、どれもこれも中途半端な上に、テンポというか、タイミングが悪すぎると思います。だから、間延びして、バカバカしさというか、ありえなささがいっそう浮き彫りに…バカ映画なら、たたみかけるようなテンポでやらないと!
 でも、主演のT・キッチュはがんばっていたと思うし、浅野さんも大活躍だと思います…だからこそ残念すぎ…


Posted by saecalcite at 22:11  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月13日

別離

監督 アスガー・ファルハディ
出演 ペイマン・モアディ レイラ・ハタミ ほか

 ある一つのできごとから、雪だるま式に事態が膨らんで悪い方へ進んでいく、という脚本がとにかく巧み。登場人物は誰も本質的に悪人ではないはず(でも、みんなものすごく自己主張が激しい…人の話は聞かない…)なのに、互いにどんどん攻撃的になり、収拾がつかない方向へ転がっていく。「実はこうだった…」と、事態の裏側がどんどん明らかになってくるのも、見事に収束します。でも、最後は、白黒つけるような結末ではない終わり方。監督の前作、「彼女が消えた浜辺」もどんどん混乱して収拾がつかなくなる展開でしたが、それがもっと洗練された感じです。
 脚本も演出も巧みで、よくできた映画だと思うけど、この映画ばかりが映画賞を総なめするほどかな…?というと、微妙(「The Artist」もそうだけど)。でも、アカデミー外国語映画賞の「瞳の奥の秘密」がハリウッドでリメイクされるように、この映画もリメイクされるんじゃないかな、という気がします。宗教上の問題がらみの部分は難しいですが、他の部分はどこの国にも移植できそうな話なので…(でもアメリカだったら、夫婦はあんなにモメないで離婚しそうだけど…笑)。


Posted by saecalcite at 22:07  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月07日

スーパー・チューズデー 正義を売った日

監督 ジョージ・クルーニー
出演 ライアン・ゴズリング ジョージ・クルーニーほか

 日本語タイトルはすごい政治ドラマみたいなものになっていますが、これは政治ドラマというより、ライアン・ゴズリング演じる主人公の青年のビルドゥングス・ロマンなんですね。自分は切れ者だという自負がありつつ、理想もあった青年が、罠にはまり破滅させられそうになった末に、狡猾で冷徹な存在へと変貌(成長?)するという…。女性がらみの物語はけっこう俗っぽいのですが、主人公を演じるゴズリングの魅力(この前に観た「ドライヴ」のサソリのスカジャン着た青年とはまったくちがう印象)と、P・S・ホフマンやP・ジアマッティ、J・ライトなんかの手堅いサポートで、まあまあ面白く観られる感じでした。ホフマンとジアマッティが対立する勢力のブレーンを演じてるので、もっと腹黒合戦になるのかと思ったら、そうでもなかったという…(笑)。
 この前に観た「裏切りのサーカス」も中年〜老年の男性ばかりが大挙して出てきたのですが、英国と米国のちがいなのか、ずいぶん印象がちがいます。「サーカス」の寒々しく抑圧されている雰囲気と神経戦ぶりに比べて、カラっとしてるというか、肉食っぽいというか…せっかくクセ者俳優をそろえているのだから、もうちょっとピリピリしてる感じがあってもよかったのになあと思います。

Posted by saecalcite at 22:45  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月01日

裏切りのサーカス

監督 トーマス・アルフレッドソン
出演 ゲイリー・オールドマン コリン・ファース ほか

 小説やマンガなどの原作と、映像化された映画とは別物だと思っていますが、この「裏切りのサーカス」(しかしこの邦題…どうして翻訳小説と同じ「ティンカーテイラーソルジャースパイ」じゃダメだったのか…)は、原作小説を読んでない人にはあまりにも不親切設計というか、読んでいることが前提の映画というか…わたしは小説は先に読んでいて、あの話をよく2時間にまとめたなあと感心したのですが、小説読んでない人には、人間関係も、「もぐら」の正体がわかる衝撃も、なぜジム・プリドーがビル・ヘイドンを殺したのかも、なんだかよくわからないのでは…と思いました。まあこの映画では、疑惑や裏切りや愛憎が渦巻く心理戦を描くのが主眼で、実際に「もぐら」の正体がわかる部分はまあエピローグのようなものなんだろうなと思うのですが…。
 「ぼくのエリ」の監督の画面構成力や、抑制のきいた演出は緊迫感があっていいし、ポール・スミスの衣装や美術や小道具なんかもいい。そして俳優陣は申し分ない…スマイリー役のゲイリー・オールドマンやコントロール役のジョン・ハートなんかのベテランから、ベネディクト・カンバーバッチやトム・ハーディの若手、すっかりハリウッドの悪役商会みたいなマーク・ストロングまで、英国俳優の魅力が存分に味わえる。そういう部分には瑕疵はないのですが…やはり1本の映画としてこれだけ観ると、人物の、特にスパイと疑われる幹部の背景描写がなさすぎて、不完全燃焼な感じがするのではと思います。逆にギラムとかターとかの若い登場人物は映画ならではの描写が増えていたのですが…。

Posted by saecalcite at 23:04  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月24日

ジョン・カーター

監督 アンドリュー・スタントン
出演 テイラー・キッチュ リン・コリンズ ほか

 なぜ、今、「火星のプリンセス」…?という気がしないでもないのですが(劇中、惑星が滅ぶ過程が語られるシーンがあり、その部分は現代にあてはまるので、それでかとも思いましたが…)、わたしはけっこう楽しく観ました。お話は定石通りでソツなく進み(まああたりまえですね、それでこそ古典です)、主人公もヒロインもなかなか魅力的(特にヒロインは、「バロウズ!」って感じでした。かっこいいし〜)、アクションも異世界のデザインも悪くはない…オチもきちっと締まってる。コミカルな部分がかなりあり、懐かしいというか、古きよきB級感で楽しかったです。ですが、後発の映画や小説やドラマに要素やイメージが引用されまくったがゆえに、ほんとは古典でオリジナルなのに、どこかで見た感と手垢つきまくってる感満載なのは、残念です…。しかたないことですが…。
 なんとなく、古典的な秘宝発掘ものをリメイクして成功した、「ハムナプトラ」(1と2)を思い出したりもしたのですが、どうもこの映画は興行的にまずいようで、うーん、残念ですね…。


Posted by saecalcite at 22:41  |Comments(0)TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月22日

ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜

監督 テイト・テイラー
出演 エマ・ストーン ヴィオラ・デイヴィス オクタヴィア・スペンサー ほか

 1960年代のアメリカ南部の州が舞台ですが、人種差別問題を女性たちの物語に絞って語っている、その切り口がいいと思いました。白人と黒人の間の人種差別だけでなく、白人の間でも、社会階層という理由なのか、何なのか、一方的な理由で差別や疎外が起こる。バカバカしくはあっても、深刻なその状況を、コミカルな要素と、涙を誘う要素をたくみにまじえつつ描いているところが、この映画の美点だなあと思います。
 そして、登場人物を演じる女優陣がみんな魅力的なのも、映画にパワーを与えている感じです。オスカーの助演女優賞をとった女優さんもよかったですが、V・デイヴィスと、J・チャスティンが個人的にはとてもよかったです。この二人、この作品の前に観た映画でも、どちらもよかったんですよね、まったくちがう雰囲気なのに…。そして徹底的な憎まれ役を演じているB・D・ハワードもなんだかすごかった。彼女だって、オスカーにノミネートされてもよかったんじゃないかな、と思います。
 温かさ(というか、ほぼ大団円でこのままハッピーエンド?とちょっと疑った)の中に、最後ほろ苦さが混じる終わり方ですが、観て、気持ちがよくなる映画なことはまちがいなく、140分以上の長さも感じませんでした。

Posted by saecalcite at 23:37  |Comments(1)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月10日

ドライヴ

監督 ニコラス・ウェイティング・レフン
出演 ライアン・ゴズリング キャリー・マリガン ほか

 タイトル文字(ピンクの筆記体)から、監督のこだわりが感じられる本作。きっとこの監督は映画マニアなんだろうなあという、過去のいろんな映画の記憶や場面が呼びおこされることが多い映画。好き嫌いがあると思いますが、美学満載のフィルム・ノワールで、物語の展開も演出も余分な部分がなく、シャープなので、わたしはジャンル映画として楽しめました。
 一匹狼の寡黙な主人公が、愛する女(と子ども)のために一人で戦う、という古典的といっていい物語。香港ノワールや北野武の映画を髣髴とさせる画面の質感、突然の激しい暴力の発露、せりふの少なさで、ちょっと80年代的な悪趣味感と現代の荒涼とした感じが入り混じったような雰囲気です。ロマンスの部分はものすごくロマンティックで、犯罪のシーンとの振り幅は大きいんですが、そこがこの監督の特色なんでしょうか(エレベータの中のシーンはそのいちばん極端な例)。しかも主人公はくわえ爪楊枝で、サソリの柄のスカジャンという(笑)、ある意味ギリギリなセンスですが、演じているのがライアン・ゴズリングなので、なんとなく(?)かっこよくまとまっています。でも血まみれのまま、レストランに入ってきたり、かなり変な人で、ちょっと人間ばなれしてる主人公の造形ですが…。そう、日本でいえば、ちょっと東映チックな感触の映画でした(笑)。確信犯的にそうなんだとは思いますが…。
しかし、「フローズン・リバー」とか「ウィンターズ・ボーン」とか、女性監督が女性を主人公にして撮る犯罪がらみの映画の方が、現実とのリンク感が強くて、ものすごくハードボイルドですね。暴力描写が過激だという意味ではなくて、精神的にハードボイルドというか、タフというか、スタイル重視じゃない切実感があるように感じます。


Posted by saecalcite at 22:19  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月08日

テイク・シェルター

監督 ジェフ・ニコルズ
出演 マイケル・シャノン ジェシカ・チャスティン ほか

 悪夢か妄想にとりつかれて、次第に常軌を逸した行動に走る人間、というのは、スリラーとかホラーの古典的な筋立てかとも思いますが、古典的な筋立てこそ、何度でも巧みに蘇らせることのできるもの。この映画も、余分な贅肉なく、ディティールを積み重ねて、息詰まるような緊迫感が最後まで続く作品になってると思います。圧倒されて、観終わったら、口がからからに渇いている感じでした(苦笑)。
 裕福ではないにしても、家族を愛して平凡に暮らす労働者階級の主人公が、巨大な嵐がくるという悪夢にとりつかれて、シェルター作りにのめりこむ。嵐(=天災)は、主人公が意識していなくても感じている不安(生活への不安、仕事への不安、家族を失うことへの不安、精神疾患発病への不安など)の象徴でもあって、だからこそ、自分の、世界の、先行きがわからないと思って暮らしている誰もが、その恐怖感を共有できるところがあるんじゃないでしょうか。
 主人公が、ラスト近く、大勢の人の前で激昂し、「嵐がくるんだ!」と叫ぶシーンがありますが、このあたりには、(世界はいつでもそうなのかもしれませんが)自分たちは混迷の時代に生きているんだ、世界がどんどんよくなるというのはきっと幻想だ、という気持ちをひどく揺さぶられるところがありました。
 むだなく、緻密に主人公の追い詰められていく過程を描く、脚本も演出もよく、主人公と妻役の俳優さんも好演。終わり方もエンディングの曲も終末感を伝えてきて、とてもよかったです。


Posted by saecalcite at 00:38  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月02日

アーティスト

監督 ミシェル・アザナヴィシウス
出演 ジャン・デュジャルダン ベレニス・ペジョ ほか

 古きよきハリウッドのクラシックな映画へのオマージュに満ちた映画。内容とスタイルが完璧にマッチしていて、ただオマージュに満ちているというだけでなくて、あえてこうしたという作り手の意識の高さも感じられます。そして内容はこれまたオーソドックスでロマンティック(「サンセット大通り」みたいな残酷な結末には決してなりません…)。
 とりあえず、モノクロでサイレントでも観ている側が物語や登場人物の気持ちを理解するのに不自由ない、ということにあらためて気づかされるのが新鮮です。それは俳優さんの好演もあったからで、特にジョージ役のJ・デュジャルダンはいかにも古きよきハリウッドのスター的な見た目・雰囲気になっていてぴったり。犬もすごい名演(笑)。
 とてもよくできた映画だなあ、と面白いと思いつつ冷静に観ていたのですが(よくできているが、個人的には心は動かされないし、わたしにとっては何度も観る映画ではないなあと)、最後のアステア&ロジャースへのリスペクトに満ちたシーンでものすごく気分がよくなって、まあこれはこれでいいんだ、という気持ちに非常になりました(笑)。やっぱり終わり方は大事です。


Posted by saecalcite at 22:33  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月26日

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

監督 フィリダ・ロイド
出演 メリル・ストリープ ジム・ブロードベンド ほか

 観ながら、なんとなく明治座とかで上演される女の一代記というか女の一生系の作品みたい(って実は明治座いったことないのですが…なんとなくイメージで)、と思ったのですが、有名な政治家の伝記映画というより、年老いた女性が、認知症で記憶が混濁していく中で、男性社会で戦ってきた過去をふりかえる…という感じなのですね。題材になっている人はメジャーだけど、パーソナルな手触りの映画です。過去の時間より、現在の年老いた状況を描く時間が長いくらい?に思えたし。
 サッチャーさんをこういうふうに描くことには賛否両論あると思う(というか、彼女の評価もきっと賛否両論だと思うので…特に英国国内ではこの映画はあまり好意的に受け止められないんじゃないかなという気がしますが)し、映画として成功してるか、すごく面白いか?は微妙ですが、わたしが個人的に感じたのは、英国で女性に生まれるというもなかなか大変なことだ、ということ。しかも階級社会で流動性が低そうだから、ああいう社会で、アッパークラスかミドル・ミドルクラス以上に生まれなかった女性は、働くことが本当にしんどそうだ(そしてとても閉塞的な気持ちになりそうだ)なあと…男性社会の中の孤立無援さがいろいろ象徴的に映像化されているところが、興味深い映画でした。そしてM・ストリープはまあ、オスカーとるよね、と思いました(笑)
(しかし邦題はすごいですね…)


Posted by saecalcite at 23:09  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月24日

シャーロック・ホームズ シャドウゲーム

監督 ガイ・リッチー
出演 ロバート・ダウニーJr. ジュード・ロウ ほか

 1作目を観たときも思ったのですが、格闘シーン(とそれに類するシーン)が長すぎる…アクション活劇をめざしているんだろうと思うので、活劇満載にしたいのはわかるのですが、なんだか物語がうすいので、活劇ばかり(しかもスロー描写満載)に飽きてきてしまうのでした…せっかくの宿敵モリアーティ教授との対決なのに、話の骨格は「キャプテン・アメリカ」とたいしてかわらないし…(苦笑)。
 シャーロックの兄、マイクロフト役のスティーブン・フライがぴったりだったり(でもなぜ全裸…?)、モリアーティ教授のジャレッド・ハリスもよかったし、モラン大佐が出てきたり、ライヘンバッハの滝にちゃんと落ちたり、原作ファンには楽しめるところもいろいろあるのですが、わたしは、まだ1作目の方が楽しかったなあという気持ちがいなめませんでした…。

Posted by saecalcite at 23:04  |Comments(0)TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月20日

ヒューゴの不思議な発明

監督 マーティン・スコセッシ
出演 エイサ・バターフィールド クロエ・グレース・モレッツほか

 3Dではなく2Dで観たので、魔法(…)にかからなかったのかもしれませんが、観終わってどうしてアメリカであんなに評価が高いのかよくわかりませんでした。「ものあり」の感想でも書きましたが、「父ののこしたもの」「鍵」「冒険(探検)」「少年と老人」など、要素がかぶっている映画としては、「ものあり」の方がずっと面白く、心に沁みました。
 この「ヒューゴ」は、どうやら児童文学の小説が原作のようなのですが、子どもの冒険と成長を描く部分(主に前半)も少しもわくわくしない(そして主人公の子どもの造形がなんか嘘っぽい)し、メリエスの人生に物語の重点が移る後半も、数奇な人生を描くにしてはかんたんすぎで、どちらも中途半端な感じがしました。そして両方のプロットが巧みに絡み合っているとも言いがたい…。
 評価が高いのは映画愛が描かれているからなのかなあ…「ものあり」や「マネーボール」よりこの「ヒューゴ」がアメリカで評価が高いのは、ノスタルジックなものを求める傾向のためなんでしょうか。「ディパーテッド」といい「シャッターアイランド」といい「ヒューゴ」といい、最近どうも過剰に高評価と思えてならないです…。

Posted by saecalcite at 22:37  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月19日

戦火の馬

監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 ジェレミー・アーヴィン エミリー・ワトソン ほか

 1頭の馬を狂言まわし?のようにして、馬に巡りあった人たちの人生を戦争をからめて点描していく構成。ソツなくまとまっていて、主人公と馬の友情(?)が軸になっているし、予想より面白かったのですが、1点気になるところが。すごく大事な場面(ジョーイがドイツ軍から逃げて戦場のまっただ中で鉄条網にからめとられて動けなくなる場面)が唐突すぎで、何か編集のミスなのか?と思ってしまったくらいでした。その後の展開のためにも、比喩的な意味でも必要な場面だとは思うのですが、もう少し自然にもっていけなかったものなのかな、と。いきなり興ざめになってしまうんですよね…。
 馬の描写はよくこんなふうに撮れたな、と思えるし、戦争場面の(不必要なまでの)迫力と残酷さはスピルバーグだなあと思うのですが、もう一歩、何か踏み込んだものが足りない感じも残る映画でした。


Posted by saecalcite at 23:49  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月09日

SHAME-シェイム-

監督 スティーブ・マックイーン
出演 マイケル・ファスベンダー キャリー・マリガンほか

 なんだかセンセーショナルな話題が先行してますが、実はそんなに衝撃的じゃないんじゃないかな?と予想して観たら、けっこうその通りだったという…。
 「アメリカン・サイコ」と比較とかもされてるようですが、NYに住んでるビジネスでも成功してる男の内面が実は…みたいな設定はかぶっているかも。でもベイトマンに比べて、この映画の主人公のブランドンを、映画を観て「クズ」と思う人はいないでしょう(笑)。空虚さは共通しているとしても、妹との間に何かがあって、それが心の傷になっているのか、ともかく何かがあってああいう依存症になっているんだろうなあと、悲劇的な人物だと感じるはず。恋人候補の女性と恋愛(までいかなくても心の関係性)の延長でセックスをしようとしたらできない、彼女との関係はぎこちなく、うまくいかない…というエピソードがあるので、なおさら。
 でも、別にこの依存症という設定で、延々、そういうシーンを撮らなくても、描ける内容なんじゃないのかな〜というのが、まったく身も蓋もないですが、正直な感想です。なんというか、「芸のない映画」だという気がして…依存症の苦しみを描いているのだとしても(ちがうと思うけど)、人間の孤独を描いているとしても、ドラマをあえて作っていない(あえてなの?)のだとしても。だけど俳優への演技のつけ方?が紋切り型なのもちょっとへんな感じ。
 脚本・編集・音楽の使い方が散漫というか、冗長な気がします。ゴールドベルク協奏曲(しかもグールド演奏)がかかったときには、またかと思ってちょっと失笑してしまいました。個人的にはもっとコミカルなシーンというか、滑稽さをだしても、よかったんじゃないかという気がするけど、まあそういう系統の映画ではないですよね。
 そんなわけで、主演のM・ファスベンダーもC・マリガンも潔い脱ぎっぷりで、文字通り身体をはっての熱演ですが、内容がおいついていないので、ちょっと空回り感も…もったいないことです(というか、俳優さんのがんばりでそうとうもってる部分が…)。


Posted by saecalcite at 22:39  |Comments(0)TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月08日

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

監督 スティーブン・ダルドリー
出演 トーマス・ホーン トム・ハンクスほか

 実はこの映画と前後して、「ヒューゴの不思議な発明」も観ていて、「父親の残したものを探し求める息子」「鍵」「冒険(探検)」「老人と少年」など、共通する要素が両方の映画にあったのですが、わたしにはこちらの「ものあり」の方がはるかに、くらべものにならないくらい(笑)よかったです。正直いって、どうして「ヒューゴ」がアメリカであんなに評価が高く、「ものあり」の評価が低いのか、皆目わからない。
 切実さ、子どもへの寄り添い方、傷つけられた人たちが痛みをただ受け止めるしかない苦しみ、それでもなんとか回復し、関係を修復しようとするさまが胸にせまるし(地震で被害を受けた方たちには、つらすぎるくらいかもしれません。激しく言葉をぶつけあうやりとりとか。アメリカで「ヒューゴ」が異様に評価高いのは、辛い現実を映画で見たくなくて、回顧主義というか、ノスタルジーに浸りたいからなんでしょうか)、ちりばめられた要素が、最後収束していくのも見事で、気持ちいい。優しく温かい結末もよかったです。途中、何度も涙がでてきました。
 そして主演の子どもも凄いですが(子どもからあれだけのものをひきだすダルドリー監督もすごい)、まわりをかためる大人キャストもともてよかったです。特にせりふのまったくないマックス・フォン・シドーはすばらしかった。C・プラマーももちろんよかったけど、オスカーは彼でもよかったと思うくらい…重要な役回りででてくるJ・ライトとV・デイヴィスも誠実さと温かみがあってよかったです。


Posted by saecalcite at 23:16  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月29日

キツツキと雨

監督 沖田修一
出演 役所広司 小栗旬 ほか


 「南極料理人」の監督の新作。前作も、味のある俳優陣のアンサンブルで、笑いがありつつじわーっと心が温まる映画でしたが、今回もそう。今回は年の離れた男同士の擬似父子的な関係から、それぞれの、ほんとの父子の関係も、年上のスタッフとの関係も、自分の仕事に対する自信もいい方向へ向かっていく、という話。
 最初、反発しあったり、ダメダメだったりする間柄が、少しずつ近づいて深まり、よくなっていく過程が、じっくり、丁寧に、でも説明過多ではなく描かれていて、気持ちいいです。温泉に入ったときの距離とか、椅子や将棋とか、ご飯食べるとか、そういうエピソードの積み重ねになっているのがいいところだと思います。で、人間関係だけでなく、映画作りが軌道にのっていく感覚もあるから、心地いいカタルシスが最後に向かってある。
 劇中劇のゾンビ映画も微妙に楽しいです(笑)。「ゾンビは走りません!」とか、ゾンビ映画あるある〜的な感覚で笑いを誘います。
 主役二人の俳優さん(特に実直な木こり役の役所さん)もよかったですが、まわりを固める俳優陣もいい感じ(個人的にはカメラマンの嶋田久作さんが嬉しかった〜)。「ハラがこれなんで」の石井監督が女優さんの魅力をひきだす手腕がある監督だとしたら、沖田監督は男優さんを魅力的に撮る監督さんだなと思います。


Posted by saecalcite at 23:01  |Comments(0)TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月25日

TIME

監督 アンドリュー・ニコル
出演 ジャスティン・ティンバーレイク アマンダ・セイフライド ほか

 「ロード・オブ・ウォー」以来のA・二コル監督作品。「ガタカ」や「トゥルーマン・ショー」も好きなので、それなりに期待していたのですが…うーん。
 設定はおもしろいし、導入部もすごくわくわくするのに、だんだん、あれ…?という感じになってきて、なんだかストーリーがとっちらかったまま、というか、消化不良なまま終ってしまいました。
 スラム育ちと裕福なお嬢様のロマンスという古典的な設定からボニー&クライドもびっくりな強盗カップルになる、というのは面白くないわけではないのですが、あんまり説得力がないというか、この設定でやりたかったことはそれなの?と疑問が残る展開。キリアン・マーフィー演じる時間管理官と主人公の父親の間の因縁も匂わせながら、特になにもなくここも消化不良…100分切る短さなのに、だんだん弛緩してきてしまうのなら、もっとそれぞれのキャラクターのドラマを絡み合わせてもよかったのでは?と、いろいろ残念な気持ちが残る映画でした。

Posted by saecalcite at 23:49  |Comments(0)TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月21日

アニマル・キングダム

監督 デヴィッド・ミショッド
出演 ベン・メンデルソーン ジョエル・エドガートン ほか

 予告編とここまで印象のちがう映画だとは予想していなかったので、観ていてどんどんあれ?という気持ちに。奇妙な緊張感はありますが、音楽が過剰なほど長くかかる雰囲気暴力映画、みたいなところも(笑)。
 母が死んだ後、主人公が一緒に暮らすことになったのは、犯罪一家だった、という話で、たしかに長男とか悪党(しかも何か欠落しているように行動する悪党)だし、犯罪者じゃないけど母親はそれに輪をかけたある意味凶悪な人間なんですが、犯罪してる描写はなくて、いきなり警察に囲い込まれて不安でぴりぴりしてるところからで、その中にいる主人公の激しい葛藤があるのかというと、実はそうでもない…というか、主人公と彼のガールフレンドが鈍感すぎてイライラしてしまい(苦笑)、青春映画としても楽しめず、どこに主眼をおいて楽しめばいいのか、ちょっとわたしにはわかりにくい映画でした。犯罪一家が警察に追い詰められて死んでいったりするんですが、それがドラマの軸ともいえないような…結末も、いやそれ何の決着にもならないから、という終わり方で、私的にはまったくカタルシスがなく、監督の美学と気持ちがあわないなあと思うしかない映画でした。

Posted by saecalcite at 23:25  |Comments(0)TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月19日

人生はビギナーズ

監督 マイク・ミルズ
出演 ユアン・マクレガー クリストファー・プラマー ほか

 登場人物(犬含め!)も描かれるシーンもなんとも可愛いらしくチャーミングで、胸がきゅーんとなるような映画なのですが、やはり可愛い系映画?の「永遠の僕たち」より、私はこの「ビギナーズ」の方がほろ苦さもあって好み。というのも、確かに可愛いさいっぱいなのですが、劇中のうさぎのエピソードに象徴されているように、これは偽らない自分とはどんな存在なのか、偽らずに生きようとする苦闘と苦痛を扱っている映画だと思うので。そして不確かで、先行きがどうなるかわからなくても、偽らない生き方や愛を求めようと踏み出すことを描いている映画だと思うので。
前作「サムサッカー」で感情の繊細な揺れ動きや、複雑な人間のありようを丁寧に描き出していて、好印象だったマイク・ミルズ監督。今回の新作でも、温かくてやわらかく、かつポップなタッチは変わらず、父と息子の両方のドラマをうまく響きあわせていました。
「ゴーズトライター」から「フィリップ、きみを愛してる」まで、硬軟どちらでもOKのユアン・マクレガーのみごとなまでのシャイな主人公ぶり、軽妙でパワフルな父親役のクリストファー・プラマー、ものすごくキュートなヒロインのメラニー・ロランのアンサンブルもよく、マルモもびっくりな犬のアーサーも楽しく、じわっと沁みこんでくるような温かい気持ちで観終われる映画でした。

Posted by saecalcite at 22:24  |Comments(0)TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする