2007年08月27日
九州大学仏教青年会 百周年記念行事
2007年08月22日
サルム・ブロイ
関連記事
http://blogs.dion.ne.jp/sanskrit/archives/5428740.html
シュタットホイリガー
ウィーンのアカデミー

引越しをしたウィーンのアカデミー,アジア文化思想史研究所の所長はシュタインケルナー教授からクラッサー博士にかわりました.
また,同じフロアにはイラン学,文化人類学も同居.
廊下を占める雑誌群は,イラン学のもの.
ウィーン大学・南アジア研究科
ウィーン大学・インド学研究所の図書館

インド学専門の図書館員がいるので,きっちりと分類されており,実に使い勝手のよい図書館です.
フラウワルナーの蔵書もこちらに収められています.
近々,仏教学の図書館の蔵書も,こちら側に統合するとのこと.
ミーマーンサーやヴェーダーンタのあった棚がすっかりきれいに片づけられ,新規移動図書のためにスペースが空けられていました.
コピー機,マイクロリーダーも完備してあり,実に便利です.
オーストリア科学アカデミー アジア文化・思想史研究所の引越し
2007年08月18日
『理趣経』サンスクリット写本について
真言宗の読誦聖典として,毎日,全国の真言寺院で用いられている『理趣経』.
原題はAdhyardhasatika-prajna-paramita『百五十頌般若経』です.
そのサンスクリット原典の貴重な写本が,苫米地等流博士により確認されたとのこと.
写本は,その奥書によれば,紀元後1077年頃のものと報告されています.
ハンブルク大学の密教学センター(Center for Tantric Studies)のウェブに苫米地博士による講演記事が掲載されています.
苫米地等流博士は,現在,オーストリア科学アカデミー・アジア文化思想史研究所(OeAW, IKGA)所属の研究員.
報告によると,写本は現在,中国チベット自治区に存在するもの.
そのコピーが中国蔵学研究中心,CTRC (China Tibetology Research Center)に保管されているものです.
真言宗で用いられているのは不空訳.
五種の漢訳があります.
また諸版のチベット訳が存在します.
そのほか,Leumannが1912年に校訂したサンスクリット語・コータン語のバイリンガル写本(St.ペテルスブルクとオックスフォードに分蔵)があります.
以上が,これまでの『理趣経』研究のメイン資料だったものです.
今回,苫米地博士の確認したサンスクリット写本は,Leumannのものよりも遥かに完全なものとのことです.(残念ながら一葉欠損!)
また,これまでに見られないマントラ(真言)も含まれているそうです.
今回確認されたサンスクリット・テクストは,諸訳の中でもチベット訳と不空訳によく対応するとのこと.
いずれ,研究所で進行中のプロジェクトである「西蔵自治区梵文文本系列叢書」(Sanskrit Texts from the Tibetan Autonomous Region)から校訂出版予定とのことです.
長い歴史を持つ『理趣経』研究も,ほぼ完全なサンスクリット原典を手に入れたことで,全く新たな局面に入ることが期待されます.
********後記*********
ウィーンのアカデミーを訪ね,苫米地博士の話を直接に伺ってきました.
新たに確認されていく数多くのサンスクリット古写本群.
仏教文献学の重要性は,ますます高まりつつあります.
逆に言えば,何が出てくるか分からないという状況の中にいるのです.
論文を書く身としては「こわくて,おいそれと研究できない」ような状況ともいえます.
これまでチベット語でしか残っていなかったようなテクストが,サンスクリットで読める(かもしれない)時代なのです.
梵蔵漢を駆使し,世界的な業績を残すという方向性は,日本において意識的に「印哲」の戦略として方向付けられてきたといえます.
宇井の業績しかり,そして,荻原雲来や山口益といった偉大な先人達です.
日本のインド学・仏教学は,たしかにドイツ,フランスから古典文献学を輸入しました.
しかし,村上専精や宇井伯寿を見ても分かるように,伝統教学の強い流れがあったことを見落とすことはできません.(Cf. 末木文美士「日本における近代仏教学の展開と問題点」)
単純にインド学・仏教学を「輸入の学問」と見ることはできないのです.
様々な方向性が可能であったなかで,いままで,有効なディシプリンとして自然淘汰された結果,日本での近代的な「インド学・仏教学」開始から100年を経て,「実証的な文献学」が主流を占めつつあります.(「自分の身に引き受けた主体的な仏教学」という方向性も散見されましたが,それらは大学というシステムの中で決して「伝統」を形作ってきませんでした.)
その重要性は,今後も変わることはないでしょう.(Cf. 後藤敏文「インド学の未来像」)
梵蔵漢をマスターして,文献を読みこなすこと.
その基本的な印哲のディシプリンは,今後も変わるべきではないのです.
新刊紹介:ダルマキールティ著『量決択』第1章,第2章のサンスクリット原典
E. シュタインケルナー教授によるダルマキールティ著『プラマーナ・ヴィニシュチャヤ』第一章(知覚pratyaksa)・第二章(自己のための推論svarthanumana)のサンスクリット校訂本が出版されました.
新刊紹介:ヴァンサン・エルチンガー(Vincent Eltschinger)氏の博士論文出版:『聖典権威考』

Vincent Eltschinger
2007
Penser l'autorite des Ecritures. La polemique de Dharmakirti contre la notion brahmanique orthodoxe d'un Veda sans auteur. Autour de Pramanavarttika I.213--268 et Svavrtti.
Wien: Verlag der Osterreichischen Akademie der Wissenschaften.






































