2010年02月09日

ハイタウン910

考えなしに正面から突き進むマサハルは、振り上げた拳を警官に突き出したところで目の前が真っ赤に染まった。
警官の振り上げた警棒がマサハルの額目がけて振り下ろされたからだ。
真っ赤な鮮血が飛び出し、マサハルはたった一撃で地面に倒れた。
 
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2010年02月08日

ハイタウン909

「うりゃああ!」
雄叫びを上げて迫ってくるマサハルを見て警官はどう思ったろうか。
もともと切れ長の細い目をさらに細めた警官は、笑うのを止めると、すっくと姿勢よく立ってマサハルに対峙した。
そして、ゆっくりと慣れた手つきで腰から警棒を抜くと、滑らかな軌道を描いて振り上げられた。
 
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2010年02月07日

ハイタウン908

マサハルの頭に血が上り、身体中に熱い血液が駆け巡るのが分かった。
声を出すよりも先に体が動き出していた。
マサハルは拳をぎゅうっと固めると、警官目指して一直線、勢い良く掛け出した。
 
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2010年02月06日

ハイタウン907

「傑作だ。こいつら、おもしれえ。まじウケる!」
遠くで警官の高らかに笑う声が響いて聞こえた。
マサハルが顔を向けると、警官が体をよじって笑っている姿が見えた。
 
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2010年02月05日

ハイタウン906

もちろん携帯電話はまったく反応を示さない。
ひび割れた画面は黒いまま、バッテリーカバーは外れ、バッテリー電池が飛び出してぶらさがっている。
それでもマサハルはしばらくの間、携帯電話を手放すことなく何度もボタンを押してその場に立っていた。
 
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2010年02月04日

ハイタウン905

クラクションが鳴らされて自動車はしかたなくマサハルを迂回して通り過ぎて行く。
「なんで?なんで?なんで?」
マサハルはひび割れた画面を見つめながら、儚い期待を込めて電源ボタンを何度も押した。
 
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2010年02月03日

ハイタウン904

「ちくしょう! どういうことだよ、これ!」 
目の前でもう一台の自動車に踏みつけられた後、携帯電話を拾い上げたマサハルは絶叫した。
道路の真ん中に立ち、自動車が来ようとそこから動かなかった。
 
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2010年02月02日

ハイタウン903

グシャっと携帯電話の潰れる音が聞こえた。
マサハルは棒立ちのまま口を開けてただ眺めていた。
トラックに続いてバスが再び携帯電話の上を通過していき、ガシャリと音をたてた。
マサハルは、そこでようやく走って携帯電話を拾いに向かった。
 
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2010年02月01日

ハイタウン902

「ああ、確かに面白いな。傑作だった。」
警官はそう言って軽々と携帯電話を放り投げた。
携帯電話はマサハルの頭上を飛び越え、車道に落下した。
コーンと高らかな音を響かせて一度弾むと、丁度走ってきたトラックに踏まれた。
 
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2010年01月31日

ハイタウン901

「な、面白いだろ? ハラちゃんの手を踏むところなんか、お巡りさん最高だよ。」
マサハルが隣で覗き込む携帯画面を警官は鼻でせせら笑うようにして閉じた。
それから携帯電話をぎゅっと握りしめると、マサハルにまた微笑みかけた。
 
Posted by 小説小店 at 20:35  |Comments(0)TrackBack(0) | ハイタウン

2010年01月30日

ハイタウン900

「こいつの泣き面、面白いぜ。ムービー観るか?」
マサハルはまだ笑いながら、警官に携帯電話を突き出した。
警官は携帯電話を奪うように受け取ると再生画面を目を細めて眺めた。
 
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2010年01月29日

ハイタウン899

「そうだな。変なこと言っちまった。笑っちまうな。」
警官は踏みつけていたハラちゃんの手の上から足をどかして、マサハルのそばまで歩いていった。
それから手を差し出してマサハルに微笑みかけた。
「なあ、携帯で何撮ってるの?」
 
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2010年01月28日

ハイタウン898

「友達? 友達ってなんだ? 恥ずかしくなっちゃうようなこと言わないでくれよ。」
マサハルは噴き出すと、膝を叩いてゲラゲラ笑った。
初めは呆気に取られていた警官も暫くするとクツクツと愉快そうに笑った。
 
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2010年01月27日

ハイタウン897

「おい。お前の友達だろ? 友達が助けを呼んでるぜ? 助けてやれよ?」
警官は半ば笑いながら、呆れた口調でマサハルに声を掛けた。
マサハルは二人から少し離れた場所にしゃがみ込んで、携帯電話のカメラでハラちゃんの苦しんでいる顔を撮影していた。
 
Posted by 小説小店 at 20:34  |Comments(0)TrackBack(0) | ハイタウン

2010年01月26日

ハイタウン896

「お友達に頼んだらいいだろう? 俺に触れるな。煩わしい。」
警官はハラちゃんの手のひらを容赦なくぐりぐりと踏みつけた。
優しさなどは微塵もない行為だった。
その代わり、憎しみや怒りなどの感情も感じられなかった。
ごく当然といった風情だ。
 
Posted by 小説小店 at 22:34  |Comments(0)TrackBack(0) | ハイタウン

2010年01月25日

ハイタウン895

「救急車を頼む。救急車…」
ハラちゃんは警官の足首を掴もうと手を伸ばした。
手探りする手が宙を泳いだ。
ハラちゃんは、その手を警官が容赦なく踏みつけるとは夢にも思わなかった。
 
Posted by 小説小店 at 20:24  |Comments(0)TrackBack(0) | ハイタウン

2010年01月24日

ハイタウン894

警官の白い歯が眩しく感じられた。
ハラちゃんを見下ろして笑っているらしかった。
ハラちゃんは気が遠くなるような気分だった。
全てのものが遠く感じられた。
 
Posted by 小説小店 at 17:11  |Comments(0)TrackBack(0) | ハイタウン

2010年01月23日

ハイタウン893

「救急車を呼んでくれないか? どうも足の骨が折れてるみたいなんだ。」
ハラちゃんは媚びるような笑みを浮かべたまま警官に話しかけた。
痛みに表情は強ばり、脂汗が頬を伝った。
汗が目にしみて涙でにじむと、視界が急にぼやけて見えた。
 
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2010年01月22日

ハイタウン892

ハラちゃんは訝しそうに警官の姿を凝視した。
警官はにやにや笑うと無線機を肩の留め金に戻してハラちゃんを見下ろした。
その顔にはあざけりの表情が浮かんでいた。
ハラちゃんは不安そうに眉を寄せ、警官に微笑んだ。
 
Posted by 小説小店 at 18:01  |Comments(0)TrackBack(0) | ハイタウン

2010年01月21日

ハイタウン891

警官の綺麗に剃り上げた細い眉が片方つり上がった。
いやらしそうに唇を舐めると、唖然としたハラちゃんを無視して無線機に話しかけた。
「赤いスクーターにノーヘルで乗ってる女が国道を海岸線に向かって走行中。見つけたら引き止めておいてくれ。いいか、俺が確保するから勝手に手を出すなよ。俺の獲物だからな。」
 
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