2010年04月17日

公開講座

国立能楽堂にて。
講師、中司由起子氏による、
国立能楽堂五月定例公演、六月公演、七月公演からそれぞれ一曲ずつ解説。
「采女(うねめ)」
采女とは天皇に仕える女官。
春日社に参詣した僧(ワキ)は夜更けに木を植える女(前シテ)に出会う。猿沢の池に僧を導いた女は、入水した采女の故事を語り、自分はその霊だと告げて池に姿を消す。(中入り)
池のほとりで僧が読経していると池から再び采女の霊後シテ)が現れ喜びを伝え舞を踊り(序の舞)池へと帰っていく。

この曲はかなり長いのだそうです。
植樹のいわれや故事など語りも多いからでしょう。
素材は謡曲集「春日神社の草木縁起」「采女の物語」
「大和物語」
五月の能楽堂では宝生流ですが、観世流ではまた演出が違うそうです。
こういう違いがわかるようになればまた面白みも増すのでしょうね。

二曲目は六月の公演「玄象(げんじょう)」(観世流以外の流派は「絃上(けんじょう)」
琵琶の名手藤原師長が入唐を思い立ち、須磨の浦で宿を借りた老夫婦の前で琵琶を弾く。
折りしも雨が屋根を叩き、夫婦は屋根に苫を葺き琵琶と雨の音の調子を合わせる。感心した師長は夫婦に一曲所望し、その演奏の素晴らしさに自身の未熟さに気づいて入唐をやめて帰ろうとした。
すると夫婦は自分たちは師長の入唐を思いとどまらせるために現れた村上天皇と女御だと言い、姿を消す。
中入りの後、再び現れる村上天皇。竜神に命じて海底に沈められた獅子丸と呼ばれる琵琶を持ってこさせて師長に授け共に秘曲を奏し、別れる。

藤原師長は平安後期の公卿で、琵琶と箏の奥義を究めた。「今昔物語」「平家物語」よりの「琵琶説話」
この曲が演じられた最古の記録は観阿弥十七歳の時のもの。
それぞれに三本の琵琶の由来や演奏される場面などが描かれている。


三曲目は七月の公演「蟻通」
和歌の道を究めようと玉津島明神参詣を思い立った紀貫之(ワキ)は、とある里で大雨に合い、馬が倒れてしまう。
途方に暮れた貫之の前に宮守が現れる。持った松明の灯りでそこに蟻通の明神があることに気づく。宮守(シテ)は下馬をしなかった貫之が礼を欠いたゆえの神の怒りだと言い、献歌を勧める。
歌を手向けると馬は立ち上がり、貫之の頼みで宮守が祝詞をあげれば明神が宮守に憑き、歌に寄せる志に感じたと言って消える。貫之は再び旅路につく。

作者は世阿弥
能では珍しいワキに重点が置かれた曲。また舞は天地人の拍子で袂を掲げて踊る特殊演出だそうです。

今回の講座ではこの三曲の解説を二時間かけて素材をどこに求めたかなど興味深い話とともにわかりやすく話して頂きました。
若い(前回の表先生がご高齢だったので)女性で言葉づかいも明晰でとても聴きやすかった。
次回はいよいよ(期待、大!)「能と囃子」の講座です。楽しみ。

いつも言っていますが、私自身の覚書なので味気なくて申し訳ないです。


東京は異常な寒さで、夜半(明け方?)には一部で雪に変わったみたい。
今日も寒い一日となりましたが、
午後は世田谷パブリックシアターで
二兎社の「かたりの椅子」を観てきました。
可笑しいやら哀しいやら……。
すごく面白かったです。
芝居通の方のお薦めで観てきました〜
詳しくはまた明日。

この記事へのコメント
こんばんは

采女伝説・・とは・

わが街に伝わるお話
夏には大きなお祭りがあります

最近は諸説が出てきて
静御前やら小野小町やらの話と共に大いに盛り上がりを見せております(笑)

すみません〜高尚なお話に水を差しに来ちゃいましたね!!
Posted by vasenoir at 2010年04月18日 01:01
こんにちは!少々ご無沙汰でした。
能の講座、いいですね。
国立能楽堂でってところも羨ましいです。
今はちょっと時間がなくて舞台を観る機会が減っているのですが
余裕が出来たら一度、ゆっくり能も鑑賞してみたいと思っています。
Posted by NIJO at 2010年04月18日 16:21
vasenoirさんへ
水を差すなんてとんでもない。
素材の「采女の物語」には葛城の王が陸奥の国へ行く途中の采女との絡みが謡われているんです。
観世元章の小書では安積山のエピソードが省かれていて入水した采女に焦点を絞っているらしいですが、
安積山と出てきてちょっと驚いたのです。
猿沢の池の話ですもの。
昔の話は色んな所から少しずつ寄せ集め、そこから今の形になったようで、面白いですよね〜


NIJOさんへ
能楽堂のレクチャーホールなので、ホール自体はどってことないのですが、能楽堂に馴染む気がしていいですよね。
無料でこんな講座を定期的に開いてくれるのはホント有り難いです。
解説を聴けば観てみたいとも思いますしね〜
私はまだ雰囲気を楽しんでいるだけ。
能は色んな意味で刺激を受けるかもしれませんね!
Posted by strauss at 2010年04月18日 18:15


 
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