2009年05月17日
R171、Mercedes-Benz SLK200の印象
12ヶ月点検の代車でウチに来た現行のMercedes-Benz SLKのR171、具体的には排気量1.8リットル、コンプレッサー過給のSLK200なんですが、まあ今点検に出しているR170のSLK230 Kompressorからの一番の買い替え候補と思われるので、そういうつもりで乗り回しました。
ずいぶん電気仕掛けがたくさんつきましたね。質実剛健、見えないところ=基本的なところがこれでもかとしっかりできているけれども、便利な電気仕掛けはまるで遅れている.....そんなMercedes-Benzのイメージを払拭しようというメーカーサイドの思惑が、反動からかちょっと過剰なほどに、ありありと感じられます。
ドアの開け閉めのたびにウィンドウガラスが僅かに下がって開閉しやすくなったり、乗り降りのときにステアリングコラムが跳ね上がったり、車庫入れのときに左の(右ハンドルのとき)ドアミラーが下を向いて左の足もとが見やすくなったり。電動のパワーシートは当たり前だし、当然HDDナビゲーション+地デジテレビもついているし、車を降りてドアをロックするとドアミラーが自動的に倒れるし。他にもいろいろ、もうこれでもかと、電気仕掛けのてんこ盛り。何もここまでしてくれなくても.....と考え方が古臭い私は思ってしまいますが、今はこれがまさに「商品価値をあげる」ということなのでしょう。まるでどこかのクルマみたい。年を経て壊れ始めたりすると厄介だなとは思いつつ、まあ便利ではありますから、時代の流れとして、当然なのでしょう。

運転席に座っていて、ふとフロントガラスの傾斜が大きくなったな、と感じました。フロントガラスが比較的立っているのがヨーロッパ車の特徴で、それが有効に働くほど速度を上げるわけでもないのにやたら寝ている日本車と比べて、雨のときに視界が確保しやすくて、私は合理的な選択だと思っていましたから、それが寝てしまったことに、違和感を感じました。冷静に見ていくと.....屋根が短くなってる。もちろん具体的に測った長さではありません。ボディの大きさに対して、折り畳まってトランクに収納される部分が短く、小さくなっているんです。

R170は、世界で最初に発売された折りたたみ収納式メタルトップのオープンカーであるという自負があったのか、ボディの大きさの割りに屋根の開口部が大きく、ですから屋根とリアウィンドウのディメンジョンとともに、開いた屋根を格納するトランクも、本来のトランクとしての機能もできるだけ確保したいというせめぎあいの中で、ぎりぎりの設計がなされていました。追随した国内・国外問わずのクルマたちの同じような仕組みにいつまでも追い越されなかった巨大な開口部と、トランク内の荷物と格納された屋根を仕切る巻き取り式のカーテンという工夫が、その証です。そこがまた魅力だったんです。

R171のフロントガラスの傾斜がきつくなって寝てしまい、さらにボディのウェッジシェイプがきつくなって、フロントロー・リアハイデッキが強調されたのは、それぞれ屋根の部分の長さを短くし、リアウインドウの長さを短くする、つまり屋根の開閉の際の可動部分を、できるだけ小さくし、かつ高さでトランク容量を稼ぐためなんですね。
まあ外観上けっして破綻しているわけではないし、コストを抑え、トランクを広げている(トランク内の巻き取り式のカーテンも、開閉式の樹脂性のフタのような構造に変更され、操作しやすくなっています)のですから「進歩」なのかもしれませんが.....電動でメタルトップが開け閉めできることを意識させないような、そうでないオープンカーに勝るとも劣らない、開放的な空間を提供するという、おそらく当初の大目標からは遠ざかってしまったような気がするんです。厳しい言い方をすれば、「やすきに走った」のではないかと。下屋(ボディそのものです)に対して上屋(グリーンエリアというか、ガラスエリアというか.....要するに乗員の頭を覆う、ボディの上に出っ張った部分ですね)のボリュームが視覚的にずいぶん小さく見えるのも、そういった詰めの甘さを感じてしまうんです。でもおおかたは、このほうが歓迎されるのでしょうね、きっと。
ただ屋根を閉じきったときの「バタン」という大きな音は、およそ高級なものとは思えません。SLK230 Kompressorも音はしますが、そこまで大きな音はしません。「高級なもの」は、刺激的なところがないものです。

ボディ全体は、ずいぶん大きくなった印象があります。旧くからのメルセデスファンに「安っぽい」と酷評されたR170でしたから、ならばとEクラスベースにして「安っぽくなく」しつらえたんでしょうね。前から言ってますが、そういうのはSLがあるんですから、SLKまでそっちに振らなくていいのに。安っぽいというのは、言い方を換えると「簡素」ということで、無駄がないというか、装飾がないというか、シンプルというか、そのまったく気取らずに、サンダルのように普段着で乗れる雰囲気が、私がR170が好きな理由(つまりメルセデスらしくないから好き、という皮肉な理由です)ですから、メルセデスらしくなってしまったR171は、私の嗜好とは逆の変化です。それはそのとおりであると思いました。

エンジンは、やはりよく回ります。いえ、回さないと走らないのですから、回さざるをえません。それはそうです。1.4トン強を、過給しているとはいえたった1.8リットルの排気量で引っ張っているのですから、ブン回さないわけにいきません。昔乗っていたW202のC240の頃と違って、笑っちゃうくらい簡単にシフトダウンして低いギアを使わせるATのおかげで、速く走れないわけではないのですが、街中で気持ちよく走ろうとすると、トルクコンバーターのすべりを利用して、簡単に3,500rpmくらいは吹け上がってしまうので、なんかとてもせわしなくて、慣れない私は、気持ちよく走っているはずなのに、あまり気持ちよくありません。太いトルクで低い回転から引っ張りあげていくR170のSLK230 Kompressorとは対照的です。まるでどこかのクルマみたい。吹け上がったときの音や振動・排気音も、R170のSLK230 Kompressorほど「らしく」ありません。

ステアリングがボールナット式からラック&ピニオン式に変更されたせいでしょうか、コーナーを曲がったあと加速しつつ、ステアリングホイールを手の中でするすると滑らせて戻していくと、中立付近で戻りきれずに切れたままになってしまい、意図していたより車が内側を向いて、ドキッとします。兄が代車で借りた現行のEクラスも同様でしたから、今回の固体の異常、というわけではありません。慣れの問題で、自分で戻してやればいいのですが、違和感があります。だいいち、面倒くさいです。

首都高速のカーブでも、ロールが大きめ。ほとんどロールしないSLK230 Kompressorとは明らかに違います。そのかわり乗り心地は柔らかめで、たいていの人はこちらのほうが上質に感じるでしょう。でも自分でクルマの状況を把握し、コントロールしている実感は、SLK230 Kompressorのほうがあると思います。どちらがいいと思うかは好みの問題ですが、要するにR171のSLK200は、乗り心地、運転のしかたがセダンとほとんど変わらない、ちょっと変わった形のクルマ、といったしつらえなんでしょう。
ステアリングホイールは、かなり軽く回るようになりました。これもどこかのクルマみたい。だから余計に慎重にハンドルを切らないと、(程度の差こそありますが)グラグラとハンドルを回す速度に応じてロールすることになり、まるでセダンのようだと思ってしまうのです。

バリバリスパルタンなライトウェイトスポーツとまではいかない(そういうのはきっと、今の私には、もう体力的にきつい)、でも大きなセダンの派生機種というだけのクルマでもない、その微妙なバランスがとても気に入っているSLK230 Kompressorなんですが、いつまでも乗れるわけではないので、それでも次のクルマの、最有力候補なんだろうな、と再確認しました。
R171のSLK200にはその上に、私には経済的に到底手が出ないSLK350というのも(さらにその上に、AMGモデルが.....)あるのですが、これはどうなのでしょう。うって変わってスパルタンなスポーツカーを志向している.....なんてことがあるのかなあ。ボディじたいが重いうえに、今度はエンジンも大きくなって鼻が重くなりますから、その手当ても必要となり、フィーリングがずいぶん変わってきそう。それをどうバランスさせるかが、クルマ屋のウデの見せ所ではありますが。

エクステリアやインテリアは、R170のSLK230 Kompressorのどこかポヨーンとしていて、ムキになっていなくて、ちょっと抜けているところもあって、のんびりしていて、気楽、といったイメージに対して、R171のSLK200は、筋骨隆々で、マッシブで、抜け目がなくても、鋭く尖っていて、シャープでクール、という印象があります。でも乗り心地というか操縦性は、むしろ逆。良くも悪くもいわゆる「スポーツカー」に近いのがR170のSLK230 Kompressorで、セダンから乗り換えても違和感が少ないのが、R171のSLK200と言えると思います。「なんちゃってスポーツカー度」は、より高くなりました。

点検完了でもとの私のR170のSLK230 Kompressorに戻り、さらにR171のSLK200への印象がはっきりしました。
運転席に座った印象は、R170のSLK230 Kompressorに比べて(ボディの外寸が大きくなっているにもかかわらず)とても閉鎖的で狭苦しく、センタートンネルも異様に高くかつ幅広く、インテリアにはなぜか威圧感があります。Aピラーが大きく倒れ込んでフロントガラスの上端が頭上に迫っているのも、その印象につながっているでしょう。W202のC240からR170のSLK230 Kompressorに乗り換えたばかりにもずいぶん周囲が見えにくくなって穴蔵に潜り込んで運転している気がしたのですが、その印象がさらに、さらに助長されました。オープンカーで一番大切な屋根を開いたときの開放感も、かなり薄れてしまいました。操縦していてもSLK230 Kompressorの軽快感というか普段着を羽織った、といった感覚ではなく、重厚で、というか重々しく、全身に重い鉄の鎧でも着けたような印象。ボディが大きくガラスエリアが小さいぶん周囲の状況が把握しにくく、特にドアが分厚くなったぶん(でも揺すってみると、ずいぶん軽くなっているんです)、車庫入れ時にサイドのラインが目視しづらい。だから運転席と反対側のドアミラーが、バックギアに入れると下を向く、なんていうギミックに頼らざるを得ません。これがメルセデスファンが求める「高級さ」なんでしょうか。
パワーシートやHDDナビゲーションシステムに代表される電気仕掛けはとても充実しているのですが、それ以外は、残念ながら喉から手が出るほど、には欲しくなりませんでした。まあSLK230 Kompressorが何らかの原因で乗れなくなってしまったら、相変わらず買い換え候補のNo.1であることには間違いないのですが。

さいごに、いわゆる「バリトラ」、バリオルーフのトラブルが、一度だけですが発生しました。開け閉めするルーフ部分の前端面、左右の端には一本ずつ樹脂製のピンがあり、屋根を閉じると、それと突き当たるAピラー側上端の穴に刺さり、さらにフックが掛かって正しい位置に固定される仕組みになっているのですが、その左側のピンだけが穴に刺さらず、穴の周辺部に乗り上げて、屋根が最後まで閉まらなくなってしまいました。一度開いて再度閉じたら解決はしたのですが.....いえトラブルだけなら調整してもらえば解決するのでそんなに問題視することでもないんですが.....問題は閉じきれなかったときその隙間が、ちゃんとピンが刺さった右側は密着し、刺さらなかった左側はピンの長さ、ほぼ2.5cmほどの隙間が残ってしまったんです。つまり平行移動するはずの屋根が傾いて、その瞬間、平行ではなくなってしまったんですね。この柔さ.....こんな剛性が低くては、調整しても調整しきれるのか、心配になってしまったんです。たとえそのときはなんとか調整しても、ふとした要因でまた簡単に閉じなくなってしまうのではないか。バリオルーフ自体の剛性に、かなり疑問を持ちました。
SLK230 Kompressorsと比べて、ずいぶん安作りになってしまったような気がして.....。
屋根が閉じきったときの大きな音は、このへんの調整がずれていたためかもしれません。
せっかく貸してくれたのに「バリトラ」が発生してしまうなんて、セールスの方にとって、とても運の悪いことだったとは、思いましたが。
ずいぶん電気仕掛けがたくさんつきましたね。質実剛健、見えないところ=基本的なところがこれでもかとしっかりできているけれども、便利な電気仕掛けはまるで遅れている.....そんなMercedes-Benzのイメージを払拭しようというメーカーサイドの思惑が、反動からかちょっと過剰なほどに、ありありと感じられます。
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まあ外観上けっして破綻しているわけではないし、コストを抑え、トランクを広げている(トランク内の巻き取り式のカーテンも、開閉式の樹脂性のフタのような構造に変更され、操作しやすくなっています)のですから「進歩」なのかもしれませんが.....電動でメタルトップが開け閉めできることを意識させないような、そうでないオープンカーに勝るとも劣らない、開放的な空間を提供するという、おそらく当初の大目標からは遠ざかってしまったような気がするんです。厳しい言い方をすれば、「やすきに走った」のではないかと。下屋(ボディそのものです)に対して上屋(グリーンエリアというか、ガラスエリアというか.....要するに乗員の頭を覆う、ボディの上に出っ張った部分ですね)のボリュームが視覚的にずいぶん小さく見えるのも、そういった詰めの甘さを感じてしまうんです。でもおおかたは、このほうが歓迎されるのでしょうね、きっと。
ただ屋根を閉じきったときの「バタン」という大きな音は、およそ高級なものとは思えません。SLK230 Kompressorも音はしますが、そこまで大きな音はしません。「高級なもの」は、刺激的なところがないものです。
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ステアリングホイールは、かなり軽く回るようになりました。これもどこかのクルマみたい。だから余計に慎重にハンドルを切らないと、(程度の差こそありますが)グラグラとハンドルを回す速度に応じてロールすることになり、まるでセダンのようだと思ってしまうのです。
R171のSLK200にはその上に、私には経済的に到底手が出ないSLK350というのも(さらにその上に、AMGモデルが.....)あるのですが、これはどうなのでしょう。うって変わってスパルタンなスポーツカーを志向している.....なんてことがあるのかなあ。ボディじたいが重いうえに、今度はエンジンも大きくなって鼻が重くなりますから、その手当ても必要となり、フィーリングがずいぶん変わってきそう。それをどうバランスさせるかが、クルマ屋のウデの見せ所ではありますが。
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運転席に座った印象は、R170のSLK230 Kompressorに比べて(ボディの外寸が大きくなっているにもかかわらず)とても閉鎖的で狭苦しく、センタートンネルも異様に高くかつ幅広く、インテリアにはなぜか威圧感があります。Aピラーが大きく倒れ込んでフロントガラスの上端が頭上に迫っているのも、その印象につながっているでしょう。W202のC240からR170のSLK230 Kompressorに乗り換えたばかりにもずいぶん周囲が見えにくくなって穴蔵に潜り込んで運転している気がしたのですが、その印象がさらに、さらに助長されました。オープンカーで一番大切な屋根を開いたときの開放感も、かなり薄れてしまいました。操縦していてもSLK230 Kompressorの軽快感というか普段着を羽織った、といった感覚ではなく、重厚で、というか重々しく、全身に重い鉄の鎧でも着けたような印象。ボディが大きくガラスエリアが小さいぶん周囲の状況が把握しにくく、特にドアが分厚くなったぶん(でも揺すってみると、ずいぶん軽くなっているんです)、車庫入れ時にサイドのラインが目視しづらい。だから運転席と反対側のドアミラーが、バックギアに入れると下を向く、なんていうギミックに頼らざるを得ません。これがメルセデスファンが求める「高級さ」なんでしょうか。
パワーシートやHDDナビゲーションシステムに代表される電気仕掛けはとても充実しているのですが、それ以外は、残念ながら喉から手が出るほど、には欲しくなりませんでした。まあSLK230 Kompressorが何らかの原因で乗れなくなってしまったら、相変わらず買い換え候補のNo.1であることには間違いないのですが。
SLK230 Kompressorsと比べて、ずいぶん安作りになってしまったような気がして.....。
屋根が閉じきったときの大きな音は、このへんの調整がずれていたためかもしれません。
せっかく貸してくれたのに「バリトラ」が発生してしまうなんて、セールスの方にとって、とても運の悪いことだったとは、思いましたが。
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