2005年10月11日

間違いだらけの耐震補強工事

今週号の週刊朝日に上記標題の記事が掲載された。やはり、問題はあるようだ。



この世の中、問題にならないことの方が少ないというおかしな世の中だが、今回の記事では、その耐震補強工事費用の価格差と、何をもって耐震性能の良し悪しをいい、どんな工事をすることが耐震補強というのか、という点にスポットがあてられていた。

記事に出てきた耐震補強工事の事業者(事業団体)は、公共団体を含めて、8団体。各々にそれぞれの主張があるのだから、消費者側としては迷うことだろう。

いくつかの団体の担当者が答えていたが、まず手始めには、地方公共団体(市町村)が実施している無料耐震診断を受けるのが望ましいとされる。しかし、記事にも書かれていたとおり、税金を投入して検査を実施するのには、自ずと限界がある。

わが市でも、市役所が独自の『木造住宅簡易耐震診断マニュアル』を作成して、先月より市職員による耐震診断を実施しているが、1ヶ月あまりの診断数で約1/4強の住宅に倒壊の恐れがあると判定されたそうである。

また、聞き捨てならなかったのは、市職員が、本人の希望によって訪問しているにもかかわらず、身分証明書の提示を求められるお宅が少なくなかったという点だ。これは、住まいの耐震について、気にはしているが、悪徳業者やリフォーム詐欺に引っかかる恐れを心配していることの裏返しである。

さて、記事で面白かったのは、耐震補強工事の平均工事費の比較。神奈川県の横浜市では、自治体による補助もあり、500万円強であったのに対し、東海沖地震が心配される静岡県では、約170万円。さらに、注目したのは木耐協の約120万円という価格。

記事にもかかれているのだが、安かろう悪かろうということではなく、耐震の基準がはっきりしないため、どんな耐震補強工事をすることが本当に効果があるのかがわからない。そのために、一概に比較ができないのがまた、わけをわからなくさせる。

そんななかで、あるNPO法人の理事が言っている、『補強の基本は壁を強くする(筋違を入れる、など)ことであるにもかかわらず、床下や天井裏に金物を取り付けるだけとか、オリジナルの補強金物を勧める業者などは要注意』というコメントに注目した。

これはまさに私が、先日来書いている、木耐協の行っている行為そのものではないか。しかも傑作なことに、この文章が、当の木耐協事務局の『耐震補強の市場はまだ未成熟。そこに悪徳リフォームが入る余地がある』とのコメントの次に掲載されているところが笑える。記者がそこをわかっていてこういう体裁にしたのだとしたら、これは『表彰もの』である。

木耐協の耐震補強工事では、壁を強くするということは基本的に念頭になく、柱の引抜力を担保するために、オリジナル金物を通し柱や隅柱に取り付けることを推奨している。その取り付けは、既存建物基礎と柱の外壁上からの留めつけによって行われている。

私がかつて質問したように、基礎耐力(築年数が経過すれば、コンクリートの中性化がすすみ、コンクリート強度が出ないにもかかわらず)を計測することなく、そのオリジナル金物が引き抜き耐力7tあるということのみをうたって工事をしている点もかなりあやしい。

こんな工事でさえ(建物の出隅の数を考えると、だいたい1棟あたり5〜6ヶ所くらいであろう)、120万円ほどの費用がかかる。これが安いのか高いのかは、地震があってのお楽しみというわけだ。これではバクチと同じである。

結局は、お施主様の『心構え』ひとつということなのだが、『住宅を長く使う』という発想の転換も必要だと記事ではまとめている。

興味のある方はぜひ、御一読を勧めるが、我々業者は、耐震補強に対してお施主様にきちんとわかるように説明ができること、住宅を造りっぱなしにせずきちんとアフターフォローすること(本来はお施主様が自主的に行わなければならないメンテナンスについても、逐次、案内を差し上げるなど)が望まれていると、改めて強く思った。





Posted by szmnnsusan2 at 23:59  |Comments(2)TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
私は木耐協で工事をしていますが、木耐協も壁補強を最優先に謳っていますよ。
Posted by 耐震マニア at 2005年10月12日 18:32
耐震マニアさん

こんばんは。
それは大変失礼しました。

私の知り合いにも木耐協で仕事をしているものがいますが、その方は、金物補強がメインだといっていました。

展示会などでよく木耐協会員の方とも話をする機会がありますが、金物補強の話しかしてもらえません。もちろん『ウリ』はオリジナル金物のようなので当たり前なのかもしれませんが・・。

木耐協の会員にも、さまざまな方がいらっしゃるということなのだと思いますが、記事に出ているように、工事金額が平均して120万円くらいということから想像すると、多くの物件で金物補強に頼っているということではないでしょうか。

Posted by すーさん at 2005年10月12日 23:48
 
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