2010年03月14日

『老荘と仏教』森三樹三郎:著(講談社学術文庫)

この本は1986年に出た本なので、かなり前です。

日本の仏教は中国大陸や朝鮮半島から輸入されたものです。
特に仏教は中国で大きく変わりました。
江戸時代までの日本のインテリは、中国語が読めたので、中国語の仏典の翻訳や仏教研究書をよく読んでいました。

日本の仏教は多種多様です。

これはカレーライスやラーメンが日本で独自に発展したと同じように、日本で独自に発展したということもあります。
でももっと大きな理由は、中国では消えてしまったタイプが日本では消えずに残っているということです。
そういう意味では、日本仏教は生きた博物館なのです。

仏教は北インドで発生しましたが、北インドで滅亡してしまい、長い間不在のままでした。
現在は逆輸入する形で復活しています。

輪廻転生は、古代インド思想を理解するために必要な思想です。

でも釈迦は「輪廻転生は悪循環であり、どうすれば輪廻転生から逃れることができるか?」について悩んでいました。

でも中国だと、「輪廻転生という思想は素晴らしい!」と歓迎されました。
なぜなら、善人が酷い人生をしていて早死にし、悪人が贅沢な暮らしをして長生きしている理由が、儒教では説明できなかったからです。
このことを、前世の因縁と来世の生まれ変わりで説明すれば、論理的に説明できます。

でも前世や来世はどうやって実証するのだろう?と思うんですが・・・。

実は釈迦は意外と実証主義者だったらしいです。
孔子は「怪力乱心語らず」と言いながら、神秘主義者だったのですが、釈迦は現代人としても充分に通じます。

インドの仏教思想家と言うと、ナーガルジュナ(龍樹)が有名ですが、釈迦とはかなり違います。
ナーガルジュナは、近代ヨーロッパのヘーゲルみたいな思想家です。
論理重視なのですが、神秘主義者なのです。
実証を軽視するのです。
禅問答の達人みたいな人です。
でもインドの思想家には多いタイプかもしれません。
例えばノーベル経済学賞を獲ったアマルティア・センさんの本に『議論好きなインド人』というのがあります。
この本では歴史的にインド人の特徴を説明しています。
分厚く、高い本ですけど・・・。

古代ギリシャ人と古代インド人の間では数学が発展しました。
数学者は神秘主義的な傾向がある人の方が、凄い発想をするみたいです。
コンピュータ・ゲームの世界は論理的に整合していても、現実とは違います。

ただ凄い発想が、現実を変えてしまうのは怖いです。
偉大な発明の恩恵で、現代の人間の生活は飛躍的に改善しました。
でも同時に兵器などのレベルも格段に上がりました。
遠くない未来に人類を簡単に全滅させることのできる兵器が発明されるかもしれません。

古代ギリシャ人と古代インド人の神秘主義的な発想が、現代の人間世界を作ったとも言えます。
そういう意味では自然破壊の原因は彼らにあったのかもしれません。

参考

『インド哲学七つの難問』(講談社メチエ)
宮元啓一:著

『キリスト教は邪教です!』(講談社+α新書)
フリードリッヒ・ニーチェ:著
ニーチェの仏教論が書いてある本です。
日本仏教には当てはまらないかもしれません。



 
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