2010年03月17日

『国家の品格』感想その1:流行から一歩遅れた読書日記

2005年に出たベストセラー『国家の品格』藤原正彦:著を今頃になって読んでいるのですが・・・。
かなり変な主張だらけの本ですね。
支離滅裂だし・・・。
論理的に破綻しています。

話題だった頃は、立ち読みで済ましたのですが、小室直樹さんの本を読んでいて、連想したので、また読んでみました。

藤原正彦さんは小室直樹さんより10歳ほど若いのですが(と言っても今年で67歳になるはず)、理科系出身です。

アマゾンの感想を見ると、628件もありました。
★5つが206件で、★一つが99件です。


『国家の品格』の主張は、明快です。

1 かつての日本は精神的に素晴らしかったけど、今は駄目になった。

かつての素晴らしかった「日本の精神」を「武士道」と呼びます。
間違っても「百姓道」とか「庶民道」ではありません。


2 欧米は野蛮である

3 論理だけでは世界は破綻する


1と2については、戦中の愛国思想みたいな気がするんだけど・・。


藤原さんは数学者ですが、「論理」という言葉をいろんな意味で使っていて、そのことに無自覚なのです。
だから読んでいて混乱します。





以心伝心、あうん呼吸、腹芸、長幼、義理、貸し借り、などがものを言う日本に比べ、論理の応酬だけで物事が決まっていくアメリカ社会が、とても爽快に思えました。





「論理の応酬だけで物事が決まっていく」とは、どんな人でもルールに従えば、対等に議論できるということですね。




世界中の心有る人々が、このような広汎にわたる荒廃を「何とかしなければいけない」と思いながら、いっこうに埒があかない。
文明病という診断を下し眉をくもらせているだけという状況です。
この荒廃の真因はいったい何なのでしょうか。
私の考えでは、これは西欧的な論理、近代的合理精神の破綻に他なりません。





「西欧的な論理」というのは、思想とか主義ですね。
論理的というよりも、「裏付けとなる考え」みたいな意味ですね。




「帝国主義や植民地主義には、きちんとした論理が通っています。
「お前たちは劣等な民族である。劣等な民族は自ら自分の国を治められない。そのままにしておいたら、殺し合いや伝染病がはびこり、飢餓で死ぬ人も出てくるだろう。だから、劣等な民族のために、優等な民族であるイギリス人が統治してあげる」。
本当に親切な論理が通っているのです。



きちんとした論理?
親切な論理?



共産主義だって、「美しい論理が通っている」という点においては、植民地主義や帝国主義と同じです。




美しい論理?





論理だけでは破綻する第二の理由は、人間にとって最も重要なことの多くが、論理的に説明できないということです。
もし、人間にとって最も重要なことが、すべて論理で説明できるならば、論理だけを教えていれば事足りそうです。
ところがそうではない。
論理的には説明出来ないけれども、非常に重要なことというのが山ほどあります。




この場合の「論理」は、理路整然と説明できるという意味ですね。
「人間にとって最も重要なことの多く」が、「論理的に説明できたり、できなかったりする」のが、人生の複雑さだと思うんですけど・・・。
だから論理は万能ではないけど、便利なんだと思うんです。



もし、人間にとって最も重要なことが、すべて論理で説明できるならば、論理だけを教えていれば事足りそうです。
ところがそうではない。





藤原さんは、論理学と論理とごっちゃにしているのでは???
論理学は、論理を研究する学問です。

これは法学と法律の違いと同じです。
法律は誰にも必要ですが、法学はそうではありません。

九九や四則演算は便利で、使えた方がいいですけど、数学を真剣に学ぶ必要がある人はそんなにいません。

論文を書くには論理的思考が必要ですが、論理学の専門知識はいりません。


「人間にとって最も重要なこと」
を調べたり、考えたりするのに、論理はとっても役に立つと思うのです。

「直観で理解したい」とか「とっくにわかっている」という人は別ですけど・・・。




『国家の品格』はツッコミどころ満載なので、感想をまだまだ書くつもり・・・。





 
※半角英数字のみのコメントは投稿できません。