February 08, 2010

花を待つ朝

鹿児島らしく寒さの弛んだ朝。
お隣の大島紬店の主が、垣根の落葉を掃く清々しい竹箒の音に混じる、盛る野良猫の奇声。
昨夜、テレビで見たボクシングの選手のように、朝から睨み合っている。
庭木の白木蓮は、その猫の足のような蕾を整え、道には登校する子供たち。
このあたりも、最近はマンションが増え、その窓に当たる朝日が、ミラーボールの光のように乱反射する。
ラジオからは馴染みのアナウンサーの生真面目な声。
月曜日である。
 
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February 07, 2010

タイスの瞑想曲



途中、デジカメを掏られたので写真がないのは残念だが、太陽に嫌われたパリを脱出し、南仏へ向かったのは2006年2月のことである。
暁のパリ・オルリー空港からニースへ飛び、エズ、モナコ、マントン、そしてヴェンティミーリアと、コートダジュール沿いの街を鉄道やバスを乗り継いでイタリアへ向かい、また、ニースへ戻るという2泊の旅程だった。
パリからの旅人にとって、アフリカからの暖かい風に霞む地中海の光景は、凍える夜のシチューのような馳走だった。

心癒される旅も終わり、パリへのフライトを待つコート・ダジュール空港(ニース)にて、東京の友人で、フランス人のアンドレさんにばったり出くわしたのには驚いた。1995年に私が東京で興したサッカーチームのメンバーでもあったアンドレさんは、ニースの知己を訪ねての帰路だったとのことだが、ニース出身でもなく、普段は日本に住んでいる彼の、2回目のニース訪問と重なったのだから、その遭遇は天文学的な確率だ。

かようなリヴィェラでの様々なエピソードを思い出させたのは、YouTubeで見つけたマスネ作曲の『タイスの瞑想曲』の映像である。

パリ・オペラ座を設計したシャルル・ガルニエによる、モンテカルロ国営カジノが壮麗だ。
 
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January 21, 2010

一足早き梅日和

一昨日は南国鹿児島らしい陽光に心躍った。
昨日も、引き続き20℃を超えた。
春は人の心の神様を目覚めさせる。
だから、例え冬の気まぐれでも、かような日和に、人はやさしい。

雨上がりながら春の空気が子犬のようにまとわりつく朝、野暮用を足早に済ませ、甘く入れたお茶で喉を潤した。
明日から、また寒くなるようだが、既に梅もほころんでいる。
人の心からやさしさが消えぬと良い。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=201001/21/03/d0130303_1252927.jpg#
 
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January 16, 2010

自転車坂

キュロキュロキュロキュロキュロとタイヤが軋むのは、ブレーキに手をかけ坂道を下っているからである。
そのキュロキュロキュロの音階が、ワグナーの楽劇『タンホイザー』のフィナレーのメロディーと似ているので、譲っていただいたばかりの自転車にタンホイザー号と名付けた。

自転車がワグナーを口ずさむキュロキュロキュロの坂道は、2005年の渡仏まで居を構えた、東京都渋谷区富ヶ谷の井の頭通りと山手通りを結ぶ、車が一台通り抜けるのがやっとの裏道でもあった。

坂の頂きからは新宿の高層ビル群が見渡せ、人知れぬ夜景ポイントだった。
キュロキュロキュロとタンホイザー号で下ると、そのキュロキュロキュロに垣根からゴールデンレトリバーが顔を覗かせる家と、玄関前に寝そべっていた野良猫が散らばる家があった。小雪がちらつく日もあった。桜吹雪が切ない季節もあった。頬に風が心地よい夜もあった。

ガレージに眠るタンホイザー号のタイヤに空気を入れた。
キュロキュロキュロと走った。
 
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January 14, 2010

January 11, 2010

2010年いぶすき菜の花マラソン応援団

鹿児島の日の出は7時を過ぎるので、午前9時のスタート時点でも、陽の昇りが遅く曇天の空は寝ぼけているかのようである。
が、ものものしい警察の交通整理と、そして何より選手の緊張が伝播し、天気とは裏腹に街は祭り独特の高揚感に包まれていく。
気温は13℃。記録を狙うランナーにはやや高く、マイペースのランナーには程よいことだろう。

まず、スタートから2キロ程の田口田(たぐちだ)という、国道と農免道路(いなかでは珍しくない)の交差点で待ち構える。5分もすればテレビ局の中継車など先導車両に続くトップの選手の姿が現れたが、あっという間に駆け抜けた。本格的なユニフォームだなと暢気な感想を持つのがやっとだ。

だが、その後は2万人のランナーが、後から後から雲霞の如く路上を埋め尽くすのだから壮観だ。
それでも、いとも簡単に知己を見つけ出してしまった。人の目というのは意外と精密だ。それぞれ写真撮影に応じてもらうなど、まだ余裕綽々、体温も上がり、皆、笑顔である。
選手全員が通過した頃には、もう1時間が経過していた。

その更に1時間後、そうめん流しで有名な唐船峡手前の菜の花畑が連なる10キロ地点に移動し、応援を再開。
一山超えた選手の多くはペースが鈍り、額に汗が光っている。
ここで、ランナー達の喉を潤すのは、ボランティアの方々が用意したおいしい緑茶である。鹿児島は上質な緑茶の産地としても名高いが、私のように走らぬ人は、その甘露な味わいを想像するしかないのが残念だ。

田口田交差点では後続だったスーパーマリオに扮した付け髭の選手が、涼しい顔をして順位を上げてきた。他にも女装や赤レンジャーなど奇抜な衣装のランナーは、存外早い人たちで、誰もが余裕の表情で過ぎ去ってゆく。バットマンのランナーも、マスクの下は笑顔だったことだろう。

菜の花をバックに写真を撮ってくれと破顔一笑なのは、関西弁のマダム3人組だ。
「ハイ、チーズ」
と、デジカメのシャッターを押すと
「きれいに撮ってくれたぁ?」
「皺取って、写してくれた〜」
と、速射砲のようである。
「はい、お美しいですよ」
と、応じる私。
「おおきに」
「ほんま、おおきに」
旅人とのやり取りも、かような催しの醍醐味であろう。

それにしても、足取り軽快なランナーの歩調をより軽くし、苦しい選手には励みになっているのは、この一帯の明媚な風光である。
女性的な稜線が穏やかな開聞岳の山麓には、もう春の匂いが立ち込めていた。

菜の花と言えば、3月のフランス・ノルマンディー地方南部の、羊が放牧される山間に、サッカー場程の菜の花畑が、まさに黄色い絨毯の如く広がっていたことを思い出す。
指宿も沿道だけではなく、もっと広範囲に菜の花が咲き乱れ、その黄色が遠く近くに映えた方が、春の光景として参加者の脳裏に深く刻まれると思う。関係者は検討してみてもいい。

さて、最後の応援はスタートから5時間経過した午後2時、指宿港近くの40キロ地点である。ゴールまで後少しだが、風が徐々に冷たくなるのを感じる。
大勢のランナーが疲労困憊の表情で戻ってくるが、朝、田口田交差点で送り出した友人達はなかなか現れない。
リタイヤした方々を連れ帰るバスが、ゴールを目指すランナーを何だか無神経に追い越して行く。
1時間後、ようやく同級生のK君の赤い上下のウェアが縦に伸びる列の中に見えてきた。

医師である彼は、長くこの大会の救護班の一員であったが、思うことがあって今年で2回目の激走だ。
「もう、走れんから」
と、歩いてはいたが、腕を元気に振りながら、満足そうな笑みがこぼれていた。

レース後に聞いたが、沿道の知人の顔は、ことのほか励みになるんだそうである。

夜になり、友人知人の結果が続々と報告されてくる。
この大会の常連なので、もはや驚かないが、一番の快速は、4時間かからずに戻ってきた地元指宿の居酒屋の女将さん、63歳である。その夜、彼女の居酒屋は通常通りの営業で、マラソン参加者を労っていた。

6歳年下の後輩も、体育教師らしくハイペースで駆け抜けたし、仕事上頻繁にお目にかかる、お忙しいはずの取引先の50代の方も、午後2時には40キロ地点でどうもどうもとご挨拶した。
その出場を隠していたのか、昨年、細君を亡くしたばかりの友人が、はにかみながら手を振って走り去ったのは、その30分後だ。
初マラソンだから無理をせずにと、自分なりの目標をクリアしたところで、勇気あるリタイアを決断した友人もいた。
とにかく、走った人は、皆、輝いていた。

そして、最後に田口田の交差点以降、一度も見かけることがなかった同級生のO君から、次のようなメールが届いた。
「沿道で振る舞われていた、バナナ、ふかし芋、ぜんざい、豚汁、全て完食して完走しました。応援、有り難うございました」

来年の出場には、まだ踏ん切りがつかないが、一つだけ知った。マイペースでいいんだと。

http://ameblo.jp/site-tate-tale/entry-10431822501.html
 
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January 09, 2010

マラソン大会を控える菜の花の街

春を待つ庭木の桜で巫山戯るのはメジロである。
遥か蒼天にトンビが舞い、見下ろす街中の菜の花は満開で、潮風に揺れながら旅人を迎え入れる。

鹿児島県薩摩半島南端の温泉町指宿では、明日、マラソン大会が開かれる。
今年29回目を迎える、その名も『いぶすき菜の花マラソン』だ。
2万人の参加者が次々と到着し、活気づくこの街で、メジロよろしく私も羽を伸ばしている。
明日も温かいはずだ。街も人も。

http://ameblo.jp/site-tate-tale/entry-10430367722.html
 
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January 02, 2010

望月の正月

星空を見上げたこともあれば、夜景に見とれる街もあった。
嘗て、時差ボケで目覚めた深夜のホテルの静寂を、貴重な孤独のひと時と愛した。

テレビに飽き、地図を披くなど遊子らしい手順を了すると、仕事や国や家族といった、こぢんまりとした思量から離陸し、溟濛たる異境の空に心は放たれる。
すると、そこが非日常であることを助けに、実際の宇宙か思考の宇宙か、(夢に惑わされていた、若しくは酔っていたと解釈されても構わない)窈然たる暗い空間に浮かぶ、星屑のような己を見いだすことが常であった。

時差ボケのホテルでのように、寒さに颤えながら、庭で満月を仰いだ正月の夜。
輪郭の明瞭な月が浮かんでいたのは、実際の宇宙である。
酔いは醒めていた。
 
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January 01, 2010

Bonne année!

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December 31, 2009

“Empire State of Mind”



友人のJordanaさんが、American Music Awardsでご覧になったと、アリシア・キーズ(Alicia Keys)の“Empire State of Mind”のプロモーション・ヴィデオをブログで紹介していた。

テレビは見ないし、聴くのはクラシックがほとんどで、アメリカ音楽には興味がないという偏狭な感性の私だが、アリシア・キーズが、現在、アメリカで最も成功しているアーティストの一人であることくらいは知っている。

ご紹介のプロモーション・ヴィデオの、新しいというわけではないがニューヨークのスケールをよく表現した音楽は爽快で、サビ以外はラップで歌われる極めてアメリカ的な歌詞も、ニューヨークの若者の日常を情緒的に描き、文学的楽しさがある。

そして、何よりそのプロモーション・ヴィデオは、ニューヨークの都会的洗練そのもので、世界中にニューヨークの魅力を伝える、ニューヨークそのもののプロモーション・ヴィデオとしても秀逸であった。

絵になる街に、人々は憧れるものである。
 
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December 30, 2009

百代の過客

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December 29, 2009

December 25, 2009

Je vous souhaite un joyeux noël et une bonne année.

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December 24, 2009

December 20, 2009

食いしん坊

日本列島を覆う寒波に南国鹿児島も巻き込まれ、20℃を超えていた先週までとの寒暖差に身体が慣れない。
だが、縮こまっていては、申し訳ないと思うのは、10℃あれば暖かく感じた、氷点下のパリと比べるからである。

忘年会も続くし、インフルエンザも流行っているが、健康とは有り難いもので、健啖の毎日に感謝しながら、最近いただいた鹿児島の郷土料理をご紹介差し上げたい。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200912/20/03/d0130303_1325053.jpg#
鮮度が命!『キビナゴの刺身』。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200912/20/03/d0130303_133147.jpg#
揚げ立ての『さつま揚げ』は、表面はぱりっとして、中は弾力がある。
甘めの味付けで、鹿児島ではツケアゲと呼ばれる。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200912/20/03/d0130303_1331384.jpg#
豚肉を味噌、黒砂糖、焼酎で柔らかく煮込んだ『豚骨』。
黒豚を使用すると美味しさも増す。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200912/20/03/d0130303_1332426.jpg#
『黒豚のとんかつ』。肉の旨味が違う。
鹿児島にお越しの折は、是非、お召し上がりいただきたい。
 
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December 18, 2009

蜜柑

鉛を飲み込んだような重い心をこらえた時代もあったが、そこまで重篤ではない。
ここ数日、目覚めると、自身の存在そのものに羞恥を覚え、黒い森を彷徨うかの如く、見えない不安に支配されている。

東京時代或はパリでも、日照時間が短いせいか、冬至前後は気分がすぐれなかったり、風邪をひいたりすることがままあった。
温暖な鹿児島では軽症で済んでいるが、センチメンタリズムに落ち込むのは決まってこの季節だ。

今にも雪に変わりそうな冷たい雨が落ちる空は銀色である。
軒下で野良猫が凍えている。
 
Posted by テイト at 23:23  |Comments(0)

December 10, 2009

大根卸

久し振りのプロデュースの仕事に、事務処理などの実際的なこと以外が、思考の船頭となることはなかった。
だから、蜘蛛の巣を伝う朝露、空高く聞こえるはずのとんびの啼き声、そして日没にさえ気付かずにいた。

ところが、今日、昼食に出かけようとして、雨の匂いが鼻腔を占拠し、情緒が五感を支配した。
陰影を濃くした庭では椿が赤々と炎のようで、学生のアパートでは、雨垂れが乗り捨てられた自転車のサドルを打っている。師走の雨に窓が閉められているから、いつもの赤ん坊の泣き声も聞こえない。
定食屋の焼き魚の大根卸が白い。

昼食が済むと、書類の整理や精算などに戻り、俳優の感性は再び眠ってしまった。
 
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December 05, 2009

懐かしのノイシュヴァンシュタイン



ワーグナーの楽劇『タンホイザー』の第3幕のアリア『夕星の歌(ゆうづつのうた)』が美しいので、ご紹介しました。
 
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December 04, 2009

November 25, 2009

終演『平家物語』



皆様のお陰をもちまして、白鳥バレエ60周年記念公演『平家物語』は無事、終了いたしました。
会場へお足をお運び頂いた皆様、準備にご協力頂いた皆様、誠に有り難うございました。

この場を借りて、御礼申し上げます。
 
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November 21, 2009

初日

チケットをお買い求めいただいた方々をはじめ、パンフレットへの広告掲載、ポスターの掲示、その他諸々で皆様には大変お世話になりました。

有り難うございました。

文化不毛の鹿児島の地で、啓蒙に、宣伝に、そして営業に、多用の中、家族を犠牲に東奔西走、私もよく働きました。

お陰様で、白鳥バレエの『平家物語』は今日初日です。
では、会場でお会いしましょう。
 
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November 15, 2009

非思量

鹿児島県薩摩半島南端の海辺の温泉町である指宿に滞在しております。
朝、いくつかの事務処理を済ませると、午後は仕事を忘れ、輝く波間に漁船が浮かぶ港や、対岸の大隅半島に聳える山の稜線を眺めて過ごしました。

読書もしました。タイトルの非思量は、読み終えたばかりの禅の解説書にあった言葉で、心を無にすることだそうです。

今、Webの"Radio Classique"で音楽を聴いています。1988年のフランス映画『カミーユ・クローデル』のテーマ曲が流れていますが、『ベティ・ブルー』で有名なガブリエル・ヤレドさんの作曲でした。

入浴も済ませたので、蛍光灯がカウンターをぼうっと照らす駅前の古びた居酒屋へ行ってきます。
焼酎とおいしい肴が待っています。
 
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November 09, 2009

ご無沙汰しております。

何かと多忙で、ご無沙汰してしまいました。お陰様で元気に過ごしております。
白鳥バレエのブログは更新しておりますので、是非ご覧下さい。
今日は読売新聞の記事をご紹介しております。
 
Posted by テイト at 07:24  |Comments(0)