2010年08月11日

2010年長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会報告とメッセージ


buroguカクさん記帳IMG_2393.JPG 8月9日早朝7時半、長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼集会が、爆心地公園にある追悼碑前で開催されました。

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 今年は、元韓国原爆被害者協会会長の郭貴勲さんや、新しく朝鮮総連長崎県本部の委員長になられた金鐘九(キムジョング)さんによる挨拶に加え、李太宰さんの笛の演奏、韓国からは、作家の韓水山さん(『軍艦島』の著者)から、温かいお言葉をいただきました。

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 また、今年初めて、メッセージのハングル版も登場し、受付では英語やハングル、日本語などでの挨拶が交わされていました。

 参加者も約300名ほど、韓国をはじめ海外からの団体も複数あり、先の国連事務総長来訪献花もあわせて、追悼碑とこの追悼集会は、より国際的な広がりをもって人々のなかに浸透してきているようです。
長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会メッセージ

 この長崎の街に原子爆弾が投下されて65年目の今日、私たちは朝鮮人原爆犠牲者追悼碑の前に集いました。半世紀を超える歳月が流れたとはいえ、朝鮮人原爆犠牲者の無念に思いを馳せずにはいられないからであります。絶対悪である核兵器を使用した米国の責任は人類史上永遠に追及されなければなりません。駐日大使が広島の平和記念式典に参加したとはいえ、法的責任も道義的責任さえも認めず、ただ大量殺戮兵器としての脅威にのみ着目している現状は言語道断であります。しかしながら、原爆の投下責任を糺し、原爆の悲惨さと核兵器廃絶を訴えるだけで核時代を生きる私たちの使命は果たせるといえるでしょうか。私はそこにもエゴイスティックな思考が隠されていると思えてなりません。なぜならば、朝鮮人原爆犠牲者は核兵器の犠牲者であるばかりではなく、日本の朝鮮侵略とアジア侵略戦争の犠牲者でもあるからです。日本国民は自国のこの加害責任を深く心に刻み、反省と謝罪と賠償を怠ってはなりません。

 日本が朝鮮を侵略しなければ、朝鮮人が原爆の犠牲になることもありえませんでした。韓国強制併合から100年、「保護条約」から105年の今年、日本国民はこれらの「条約」がいかに暴力的な威圧と欺瞞に満ちた不法なものであったかをどれほど認識しているでしょうか。「併合条約」の第1条と第2条をみるだけでもその欺瞞は明らかであるにもかかわらず、日本政府をはじめ多くの国民も「合法的に交わされた有効な条約」と信じ込んでいる現実があります。第1条「韓国皇帝陛下は韓国に関する一切の統治権を完全かつ永久に日本国皇帝陛下に譲与す」。第2条「日本国皇帝陛下は前条にかかげる譲与を承諾しかつ全然韓国を日本帝国に併合することを受諾す」。韓国皇帝が統治権を譲与すると申し出たから承諾して併合するのだという。欺瞞であるのみか、これほど他国を侮辱した「条約」がありうるでしょうか。当初から不法・無効であることは明らかです。

 また、私はこの不法な「併合条約」のもとで断行された無数の暴虐に目を向けるのみならず、侵略を賛美し推進した思想的背景にも着目しなければ、原爆犠牲者の無念も暴虐の犠牲者の無念も決して癒されることはないと思います。「取り易き朝鮮・満州・支那を切り随え・・・」と弟子たちに説いた吉田松陰や、「朝鮮は腐儒の巣窟、上に磊落果断の士人なくして、国民は奴隷の境遇・・・斯かる軟弱無廉恥の国民・・・脅迫と決したる上は国務の実権を我手に握り、韓人等は単に事の執行に当たらしむるのみにして、・・・喙を容れしめず・・・」と、偏見をほしいままにして脅迫による支配までも鼓吹した福沢諭吉の侵略思想はどれほど認識され、反省されているでしょうか。福沢諭吉が最高紙幣の肖像であるところにも、反省はおろか、偉人として崇拝している現実があるといわざるをえません。侵略思想の大罪を告発し、二度とその轍は踏まないと誓うことこそ、犠牲者を追悼する私たちの責務であると信じます。

 日本は朝鮮の南北分断をもたらした根源的責任も問われます。日本の侵略がなければ朝鮮の分断はありえないからです。それにもかかわらず、戦後日本は分断を煽り、統一を阻害する政策を一貫して執り続けました。昨年の政権交代によってもこの政策を見直す気配はありません。私は南北融和から再び対立の傾向を濃くしている情況に憂慮の念を禁じえませんが、日本政府が相変わらず対立を助長する政策に終始していることに失望と義憤を覚えます。南北分断の根源的責任の自覚が完全に欠如しているからです。対立に拍車を掛けるこの無責任な態度は内政にも見られ、朝鮮学校の存在と民族教育を露骨に敵視しています。本来無償であるべき初等中等教育から朝鮮学校を排除して国費を一切支給せず、ましてや新たに実施された高校無償化から朝鮮高級学校を排除して平等待遇を拒むとあっては人権侵害に他ならず、世界から指弾されて当然であります。国連機関から差別撤廃を勧告され、韓国の言論界からも強く批判されています。日本政府は一刻も早くこの恥ずべき差別待遇を放棄しなければなりません。

 日本軍「慰安婦」問題と強制連行問題をはじめ、未解決のまま今日に至っている問題も忘れてはなりません。国家間の戦後処理で「解決済み」とすることは許されません。国家といえども個人の損害賠償請求権を奪うことはできないからです。朝鮮人原爆犠牲者の無念の叫びに応えるためにも、私は次の5点を日本政府に強く要求します。皆さんの賛同を得られれば幸いです。

一、 「韓国併合条約」は当初から不法・無効であることを宣言すること
一、 朝鮮民主主義人民共和国在住の被爆者に被爆者援護法適用の道を開くこと
一、 個人の損害賠償請求権を認め、抜本的「戦後補償法」を制定すること
一、 朝鮮高級学校の無償化に加え初級中級学校の国費による無償化を図ること
一、 朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化を実現すること

 最後になりましたが、日本軍「慰安婦」問題や遺骨の返還運動に全力を注ぎ、韓国政府の「日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会」の任務にも日本との懸け橋となってかけがえのない貢献をされた福留範昭氏の急逝に衝撃と哀しみを抑えることができません。同委員会の調査員と共に長崎にも度々来られた氏の面影を偲び、偉大な思想と実践に深く思いをいたしながら、朝鮮人原爆犠牲者追悼碑の前で哀悼の誠を捧げたいと存じます。

2010年8月9日
   長崎在日朝鮮人の人権を守る会代表  高 實 康 稔

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http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2010/kiji.html

韓国人学生ら300人献花 朝鮮人犠牲者追悼早朝集会

 長崎で原爆の犠牲になった朝鮮人を追悼する早朝集会が午前7時半から長崎市の爆心地公園であった。参加者は異国の地で亡くなった犠牲者の冥福を祈り、国を超えて平和な世界の構築に取り組んでいく決意を新たにした。

 主催した長崎在日朝鮮人の人権を守る会(高實康稔代表)によると、強制連行などで長崎にいた朝鮮人2万数千人が被爆、死者数は推定約1万人という。同会は同公園内に追悼碑を建立した1979年から毎年、早朝集会を開いている。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)県本部の金鐘九(キムジョング)委員長はあいさつで、5日の潘基文(バンキムン)国連事務総長の来崎を紹介。「節目の年に事務総長がこの碑に献花し核廃絶のメッセージを発した。胸が詰まる思い。世界が手を携え、平和を構築する運動を」と呼び掛けた。

 日韓併合条約の調印から22日(29日発効)で100年。高實代表は「朝鮮人原爆犠牲者は日本の朝鮮侵略の犠牲者でもある。日本国民は自国の加害責任を深く心に刻まなければならない」と述べ、北朝鮮在住被爆者の援護などを日本政府に求めることに参加者の賛同を求めた。

 集会には市民や韓国の学生ら計約300人が参加し、追悼碑に花を手向けた。

(2010年8月10日付長崎新聞)