November 03, 2006

アン・スチュアート「黒の微笑」

危険な魅力を放つヒーローを書いたら天下一品のアン・スチュアートの新作になります。あとがきによると、この作品はウェブサイト『オール・アバウト・ロマンス』の読者投票においてベスト・ロマンティックサスペンスに選ばれ、ヒーローのバスチアンも『Most Tortured Hero』に選ばれたそうですが、tortureの意味が拷問で、torturedが苦悩すると意味なので、こんなタイトルの賞をもらうヒーローって微妙…。

アン・スチュアートHP : http://www.anne-stuart.com/
オール・アバウト・ロマンスHP : http://www.likesbooks.com/

黒の微笑
MIRA文庫
「黒の微笑」
アン・スチュアート

アメリカのノースカロライナの医者の一家に産まれた23歳のクロエ・アンダーウッドは、故郷を離れパリに住み、児童書の翻訳をし、刺激のない平凡な生活に物足りなさを感じながらも細々と暮らしていた。そんなクロエはルームメイトに頼まれ、輸入業者のための通訳の仕事のため田舎のシャトーに行くことになった。高額な報酬を約束されたその仕事だったが、豪華なシャトーに着いたクロエは、そこに集まる人々に対して何か得体の知れない不安を感じずにはいられなかった。そして、危険な魅力を放つバスチアン・トゥッサンの存在が、クロエの不安をより大きなものにするのだった。
テロ対策組織の一員としていくつもの名前を使いこなすバスチアンは、武器密輸入カルテルの内部に入り込みその動向を探っていた。バスチアンの属する組織にとって、大きな善のための犠牲はやむを得ないもので、バスチアンにとっても、どこかの組織から送られてきたかわからないスパイであるクロエを抹殺することはいとわないことだった。しかし、今はクロエを生かしておいたほうが訳に立ちそうだと考えたバスチアンは、自分の魅力を活かしクロエに近づいていった。

長年諜報の世界で生きてきて、人を殺すことなど何とも思っていないバスチアンですが、そんな生活に今ではうんざりしています。そして、そんなバスチアンの前に偶然現れ犠牲者となったクロエに対して、バスチアンの胸の奥に眠っていた優しい気持ちが目覚めるのです。まあ、優しいと言っても、今までのバスチアンの生き方から考えるとということで、常識的に見れば結構過酷な状況にクロエを追い込んでいるんですけどね。それにしても、今回のヒロインであるクロエの受けた暴行の数々の凄まじいこと。ここまで犠牲になっているヒロインも珍しいのではないかと言う感じでした。ヒーローももちろん魅力的で、ストーリー的にも悪くはないのに、今回はなぜか話しにのめりこむことが出来ませんでしたね。

さて、元々はシリーズ化をする予定ではなかったようですが、結果的に続編として今年の11月に今回登場したジェンセンを主人公とした『Cold as Ice』(この話もだいぶ物議を醸し出しているようです)が出て、Iceシリーズとしてシリーズ化がされています。そして、シリーズ3作目としては、来年の4月には『Ice Blue』が出る予定となっていて、4作目の『Ice Storm』は現在執筆中だそうです。

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