凛は中学三年生。凛に対する周囲の評価は「えらい子」。体の不自由な姉が居て、母親はその世話にかかりっきりになるから、えらい子にならざるを得なかった。ずっとずっと凛はそうしてきた。けれども、かつて淡い想いを寄せていた「神主さん」が四年間離れていたこの町に帰ってきてから、凛の心はかき乱され―――。凛の淡くて儚い夏の物語。
情景描写と心理描写が素晴らしいです。凛の心理状態は同じ立場になったことない私でも、うんうんと頷けます。共感、というのはこういうことを言うのでしょう。
初々しくて、それがまたかつての自分を思い出させるから、そういう意味ではちょっと恥ずかしいかもしれませんが、それ以上に懐かしい気分になりました。コバルトなので、同世代の子たちが読むほうが多いのかもしれませんが、これはむしろ大人が読んだほうがいいような気がします。そして、懐古しましょう。
ちなみに若干違っては居ますが、使い慣れた方言が出てくるところも、ちょっと楽しんで読むことができました。
■沖原朋美/コバルト文庫