2005年01月30日

森博嗣 「奥様はネットワーカ」読了


200501303dc11427.jpg英字では,
Wife at Network

あらすじに関しては先日書いたので少し要約しますが,某国立大学工学部で多発する暴行傷害事件のお話で森氏が描くS&MやVシリーズとは全く異質の世界で珍しい作品と言えるでしょう.
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他のシリーズと比較して,この本の珍しさは主にいくつかあります.

まず,主な登場人物6人の人物の視点で物語が進んでいる点.様々な視点から物語が書かれていて,各々の行動のタイムチャートを頭で描く機会は初めてだったので,面白い.ところが,このままだと「読者が求める解答=犯人」がどれくらいたどり着けるかわからない,そのため「X=犯人」の部分を描写したのかな・・・と考えています.そのほか「闇」や「月」などと表現することで,始めは登場人物の内面(もしくは人格)を描いているのかな?後半以降は詩的な文章が多く,ここらが「森博嗣らしさ」がにじみ出ている気がします.

もう一つは「殺人の動機」です.あまり「森博嗣」という人は「動機」はあまり詳しく書かず文章を冗長に書いているシリーズ本が多いのですが,これは対照的に極力無駄を省いたスレンダー的に描かれていて,森博嗣ミステリィとしては珍しいと感じました.

またこの本で書かれていましたが,「妄想」に関して一言.「妄想」は悪く言うと,「自分にとって都合の良い信念・物語を作り出す」を作り出すことではないかと思っています.すなわち「嘘」をつくことによりその場しのぎの安らぎを得られる反面,妄想を重ねると現実とのギャップにストレスを感じることが多い.今作はその発散材料として「自分に邪魔な者を殺す」ことになってしまった・・・のが理由でしょうね.かつて
「不純な理由で人を殺すより,ただ人を殺す方が純粋だ」
と瀬在丸紅子が述べていたが,この本を読んで彼女の意見に少し共感したような気がします.

最後にコジマケンさんが担当したイラストは作品ととてもよくマッチしていて,これと森氏の文章を合わせて一つの作品でしょうね.ラストは独特ですが,なぜか「書き急いだのかな?」という印象を受けました.見事に騙されてみたい人は読んでみてはいかがでしょうか?

次は「ZOKU」を読もうかな〜と思います.
Posted by veniko_sezaimaru at 02:28  |Comments(0)TrackBack(2) | 森博嗣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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奥様はネットワーカ  森博嗣 ノベルス版で読みました。ノベルスには珍しく所々カラーです。豪華!イラストがはいっているし。 それにしても最近のノベルス(に限った話じゃないけど)はオビが派..
奥様はネットワーカ【真っ赤なメガネの言うことには】 at 2005年10月16日 08:38
ストーリーといいますか、話のツクリがとてもユニークです。きっとこれは本と…
奥様はネットワーカ(森 博嗣/著)【活字中毒のブックレビュー】 at 2007年05月29日 17:36
 
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