話は一人の中学生がマンションの屋上から飛び降りることから始まる。短い遺書が見付かるが、両親ともに自殺であるとは信じられない。父親は事故なのか殺人なのか、あるいは自殺なら動機はなんなのか。それらを調べることを決意する。しかし息子がLSDに手を出していることを警察から知らされ、動揺を隠せない。
その後も同級生が次々と飛び降りていき、そのたびに自殺と処理されていく。父親はその中学生達と息子の死のつながりを見出そうとし、息子と親しかった同級生に接触するのだが、「子供の論理」についていけず戸惑う。彼等が何を考えているのか理解することができない。
そうして日々を過ごしていると、ある日突然脅迫者が現れる。その出現以降事件は急速に展開し、そしてついには自分の息子も含めた子供達の「犯罪」が浮き彫りになっていく・・・
貫井氏の作品は、お世辞にも文章や会話がいいとはいえない。俺は唯一貫井氏のトリッキーな部分を評価していて、それを期待していつも読んでいる。もちろん毎回読者を驚かすトリックを用意できるわけはないし、貫井氏の他のテイストの作品があることも当然だとは思っているけど、やはりこうした、貫井氏にしては驚きの少ない作品にはちょっとがっかりしてしまう。
これからも読んでいく作家だとは思うが、どこまで期待して読むのか、そのレベルは修正することになるだろうな、と思う。
貫井徳郎「天使の屍」
天使の屍
天使の屍角川文庫