2004年11月11日

解体諸因(西澤保彦)

その名の通り、解体された死体を扱った連作短編集だ。
読んでいくと、なかなか面白い趣向の小説だな、と思った。探偵らしき登場人物は決まっていなく、それぞれの章で探偵役が変わっていきます。それぞれの章に出てくる登場人物は相互に関係しているんだけど、それぞれの章の中ではその関係性を登場人物達は知らない、という感じで、さらに章の順番と時系列も一定ではなく、「死体の解体」と「登場人物同士の僅かな繋がり」という以外各章があまり関係性のないつくりになっています。
しかし最終章を読んで、なるほどなと感心してしまう。
各章とも構成的にはいわゆる「アームチェアディテクティブ(安楽椅子探偵)」といった感じで、探偵役は事件そのものには関わらず、なんらかの形で外部から持ち込まれた情報をもとに推理していきます。当然論理的に推論するだけで、それが真実であるかということは明かされません(この点はとても重要なのでした)。
そして一章、戯曲形式の中篇があって、これすらもただの中篇ではないという凝った仕掛けです。
それぞれの物語は、誰が殺したかということよりも、むしろ何故死体を解体したのかという点に焦点が当てられます。それぞれに合理的な理由があって、「人を殺す動機」には納得がいかなくても、「人を解体した理由」には思わず納得してしまうのではないかと思います。
面白かったのは、熊のぬいぐるみの腕がもがれ、さらにそれが血のついたハンカチで再度くっつけられていたという事件「解体守護」と、8階でエレベーターに乗ってから1階に着くまでのわずか16秒で首と左手足が切られ、それらがエレベーター外に放置されていた事件「解体昇降」ですね。論理的に構築された物語を読んでみたい方、どうぞ。

西澤保彦「解体諸因」


解体諸因

解体諸因講談社文庫
 

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