2004年11月18日

スプートニクの恋人(村上春樹)

今まで読んだ村上作品の中で(といっても本作を含めて三作だけど)一番良かった。
とにかくストーリーは説明しずらいけど、きっと恋愛ものなんだろう。「ぼく」と「すみれ」と「ミュウ」が主な登場人物で、「ぼく」は「すみれ」に好意を抱いていて、「すみれ」は「ミュウ」に激しく恋を抱く、と言う話。ちなみに「すみれ」と「ミュウ」は女性。
これ以外に一体どんな説明が出来るというのだろうか。
とにかく、俺の言葉ではわかりずらいかもしれないけど、どんどん物語が拡散していくようで、なかなかついていくことが難しい。論理的に何かを捕らえることが困難で、論理の扉を開放していても、そこから入ってくるものはほとんどない。どこから入ってきたのかわからない言葉や文章や装飾や何かによってどこかが一杯になって、収拾がつかなくなって、透明度を失って物語の輪郭が奪われてしまうような気がする。
でも、その意味をちゃんと把握できている自信はまるでないけど、ちりばめられた言葉達は結構好き。色んな意味を含んでいるようで多面的で、しかし近付くとぼやけて、うまくつかめない。文章という塊になるともお手上げで、雰囲気しかつかめない。でも、文章という流れから切り離さなければならないのだけど、個々の言葉やフレーズは結構よかったりしたと思う。
突然だけど、俺は割と「ぼく」っぽいかなと思った。表面上どう見えるか、という点は違うかもしれないけど、形作る要素は似ているんではないかと。まあ「すみれ」のような人間にあっている自覚はないけれども。
最後に。まだそんなに読んでいないけど、村上春樹の作品には解説がないのではないかと思う。今まではなかった。作品全体を通して解説のない作家は村上氏を含めて二人しか知らない。もう一人は「歌野晶午」といって、歌野氏は自ら、「自分の作品は解説が必要なほど難しくはない」とよく書いている。それとは逆で、村上氏は人に自分の作品を解説されたり、もっといえば解釈されたりするのが嫌いなのではないか、と邪推してみる。どうかは知らないけど。
俺も内容の半分も理解できているとは思えないけど(そもそも理解するという行為がこの作品に対して正当かどうか不明だけど)、悪くはないと思うので読んでみるのはいいと思います。

村上春樹「スプートニクの恋人」


スプートニクの恋人

スプートニクの恋人講談社文庫
 

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 以前に借りて読んだ『 スプートニクの恋人 』の本をもう一度パラパラと見てみました。  私は、特に 村上春樹 ファンでは無かったのですが、この作品はとても印象に残っています。    
スプートニクの恋人【くるるん日記】 at 2005年12月17日 22:11
この記事へのコメント
はじめまして。
僕も、今迄読んだ村上春樹の作品の中でも『スプートニクの恋人』は相当好きです。すみれの言葉や語り口、「ぼく」の思考感覚が印象的で、今でも時々再読しています。
Posted by みやかど at 2006年04月02日 22:16
はじめまして。これからも見てやってください。

僕は、「ノルウェイの森」を村上作品で初めて読んで全然意味不明だった、というスタートだったけど、今では村上作品で好きな作品の方が多いですね。「スプートニク」もよかった記憶がありますが(読んだ本のことはすぐ忘れてしまうんです。変な女の人がすみれでしたっけ?)、「カフカ」や「ねじまき」や「世界の終わり」なんかが最高に素晴らしい、と今では思っていたりします。

村上春樹がカフカ賞を受賞して、ノーベル文学賞も獲るか、といわれていますよね。とってくれたら素晴らしいなと思います。
Posted by 通りすがり at 2006年04月03日 00:00
私も、この作品は好きです。余り評価が高いとは思えませんが、比較的判りやすい作品だと思います。
永遠に回り続ける人工衛星の中に、取り残された犬の存在が、かすみとぼくの関係を暗示していますね。永久に分かり合えないんだという…。ぼくの味わう寂寥、喪失感は『羊〜』の浜辺のシーンを思い出します。井戸の喩えは『ねじまき〜』でしょうか。
比喩や会話のおもしろさもこの本の魅力だと思いました。長編に劣らず、中編もすてきですよね。
Posted by dradonworld at 2006年06月17日 09:34
返信が遅くなりました。

スプートニクは結構よかったですね。そう、分かりやすい作品だと思います。この作品って、一般的にはそんな評価高くないんですか?

なんというか、「僕が好きな村上作品」の分かりやすい形がこのスプートニクじゃないかな、って気がします。世界観にしっかり馴染めるってことでしょうね。
Posted by 通りすがり at 2006年06月20日 01:20