2006年05月26日

塩の街(有川浩)

世界が終わっちゃうとか、やっぱリアルに想像することは難しい。今日と同じような明日が来るはずだし、今年と同じような来年がくるはずだし。僕らはそうやって生きている。まさか、自分が生きているうちに世界が終わっちゃうなんてことはないだろう、と思っている。
でも、もし世界が終わっちゃうとしたら、僕らは一体何を守ろうとするだろうか。
表現は悪いと思うけど、僕らの生きている世界から見て、もう充分に終わってしまっている国、というのも世界にはある。後進国だとか第三国とか呼ばれるような国で、貧しく病気や戦争が蔓延し、人間が生きていくのに満足のいく環境を与えることのできない国だ。
最近読んだ、「LOVE&FREE」という、世界中を巡った旅行者の本の中にも、そうした貧しい国の話が出ていた。路上で倒れている子供、お金や物をねだる子供、病気なのに治療も受けられない人。
そういう人達に対して、自分が無力であるということを痛感した、とその著者は書いていた。
一方でこんなことも書いている。
そうした貧しい国の子供たちは、もらった一枚のビスケットを、半分にしてくれた人にあげる優しさを持っている。どんなに貧しくても、こちらに満面の笑みを浮かべてくれる、と。
本当に失礼な言い方だけど、僕らの生きている豊かな社会と比べれば、そうした貧しい国というのはある意味で終わってしまっていると言っていい。しかし、そういう国にも、いや、そういう国だからこそというべきかもしれないが、人間が優しいのだ。
その本の中では、<愛>と呼んでいた。
少しだけ想像をしてみよう。僕らが今生きている豊かな社会が、ある日突然崩壊するとして。満足に住む家もなく、食料にも制限があり、テレビもパソコンも携帯もなく、街に犯罪が溢れていく…。
今の日本がそんな状態になったとして。
そこに、<愛>は残るだろうか?
僕らは、仕方ないとはいえ、豊かさの前提の上に<愛>を重ねて生きている。まず自分が豊かでいられないと、誰かを愛することも、誰かに愛されることもできない生き物だ。
もしも今、その豊かさの前提が取り払われてしまったとしたら、同時に<愛>も崩れ落ちることだろう。
そうでないと言い切れる人はいるだろうか?
初めの問いに戻ろう。
世界が終わっちゃうとしたら、僕らは何を守ろうとするか。
それは、まず間違いなく豊かさだ。僕らは、どんなに世界が終わると分かっていても、豊かさを手放すことができない。それが、僕らが生まれてきてからこれまで、ずっと生きていく上での前提だったのだから。
ただ、それはすごく虚しい。<愛>を捨てることになっても豊かさにしがみつくような生き方は、虚しい。
世界が終わっちゃうとしたら、僕らは何を守るべきだろうか。
やはり、<愛>だろう。恋愛という意味だけでなく、人を大切にしようとする心全般の<愛>だ。
僕らは、世界が終わっちゃうなんて想像はできない。できないけれども、少しくらい心の準備をしておくべきではないだろうか。せめて、豊かさの上に<愛>を重ねるような生き方を、今のうちから改善すべきではないだろうか…。
そんな風に思いました。
というわけでそろそろ内容に入ろうと思います。
舞台は、終わってしまった日本という国。
『塩害』と名付けられた災害のために。
ある日突然東京湾に『落ちて』きた謎の結晶。その結晶の襲来と同時に、奇妙な現象が、東京を中心に日本全土を襲った。
人間が塩になっていく、という現象。原因不明だが、ある日突然、自分の身体が塩に変わっていってしまうという謎の現象。
そんな『塩害』のために、人口が減り社会が崩壊し、東京は首都としての完全に失った。
人間の住む場所ではなくなった東京という土地に、しかし今でも住み続けている二人の男女。秋庭と真奈。彼らは東京の片隅で、ひっそりと暮らしている。
しかし、ささいなきっかけと無遠慮な発想に彩られることになる二人の人生。気づきたかったことに気づき、知りたくもなかったことを知ることになる。
『塩害』という世界の中で、多くの人が失い置き忘れてしまった<愛>を、真っ向から掴み取ろうとする物語。
そんな感じです。
本作の著者は、少し前に読んだ「空の中」と同じ著者で、そのデビュー作になります。イラスト入りの文庫で、バリバリのライトノベルです。
いやでも、結構面白かったですね、僕的には。
ライトノベルの特徴なんだろうけど、まずはキャラクターがちゃんとしてるっていうか、秋庭と真奈というこの二人が、かなりちゃんと描かれていて(漫画的ではないということ)、いいなぁという感じです。特に、真奈というキャラクターはなかなか面白いもので、敢えて言うなら、ライトノベルらしくないキャラクターだな、という感じです(僕のライトノベルのイメージと比べて、ということですけど)。
また後半で入江というキャラクターが出てくるのだけど、こいつが嫌なやつですね。外堀を埋めるというやり方は僕も結構するけども、入江ほどではないと自分では思っているし、というか入江は無茶苦茶だろうと思いますね。まあ、嫌なやつっていうだけのキャラクターでもないんだけど、でも全面的に好きになるのは難しいキャラクターですね。ストーリー的には、すごく味のあるキャラクターだと思うけど。
物語も、まあ恋愛的な部分も主流だったりするし、最終的にはラブストーリーなんだろうけど、でもそうではない部分もかなり面白くて、ただのラブストーリーに終わっていないな、という感じです。あと、まあ著者の趣味なんだろうけど、戦闘機なんかに関する知識みたいなものもかなり細かく描かれていて、ちゃんと取材とかしてるんだろうな、と思わせました。
ただ、残念な点が2点。
一点目は、結局『塩害』というものが今ひとつ分からなかったということ。後半で結構いろいろ情報が出てくるんだけど、結局『塩害』に関する部分がおざなりになっているような感じは受けました。いや、おざなりという表現はおかしいなぁ…なんていえばいいか。もう少し『塩害』の話を追求して読みたかったな、という感じです。
もう一つは、これは僕の勘違いかもしれないのだけど、同じ文章の中で突然視点が変わった場面が確かあって、あれ?っとか思いました。まあ、あんまりドヤドヤいうことでもないだろうけど。
そんなわけで、割と面白いですね。もちろん、二作目の「空の中」の方が抜群に面白いけど、でもこっちも悪くないです。読んでみるのもいいと思います。

有川浩「塩の街」


塩の街文庫

塩の街文庫
 

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ワザと腕を密着させようと思って…スリスリとオジサマに擦り寄って行きました(照笑)そしたらオジサマがイヤホンしながら☆音楽を聴いているじゃありませんか(*´д`*)ハァハァ
出勤前にバスを待っていたら【華絵】 at 2006年05月26日 10:30
やっぱママはすごいね。その一言を聞いて、なんか自分が恥ずかしくなっちゃったよ。
なんかいろいろありましたが・・・・【元気になりました!】 at 2006年05月26日 10:31
以外とゲーム好きな私。好きなゲームがあると、一日中やってる時もあるくらい。PS3、早く出ないかな〜って思ってたら値段は62,790円!!((((;゚Д゚))) ナ、ナンヤテ-!!
PS3の値段に吃驚した!!【Rie】 at 2006年05月26日 10:51
博士、ヌレちゃんただいまぁー。加奈ちゃんおかえりー。・・・あ、おかえりです。早速ですが、お二人に問題です。エェー。 えー。 もっと乗り気になりなさいよ(笑)
ゆうさんそうんどう【真田加奈子】 at 2006年05月26日 11:01
あたしは宇宙人。地球の調査目的の為に派遣されたの。地球人の男なんか興味がないわ。え!?何!?一回でいいから試してみろって??
宇宙人【もなみ】 at 2006年05月26日 11:21
Qエッチしたいと思いますか?Aエッチ?エッチって何ですか?何処に何入れるか忘れましたけど何か?
エッチってなんですか?【マキ】 at 2006年05月26日 11:21
この記事へのコメント
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by e-アフィリ at 2006年05月26日 12:35
こんにちは。やっとこの本まで辿り着きました。

この作品が有川さんのデビュー作ですか? 電撃文庫と言い、表紙と言い、ちょっと私の世代では持って歩くのが恥ずかしい本でした(笑or泣)。というわけで、ブックカバーで厳重に装備して読みました。

内容は予想に反して(?)、とても良かったです。「塩害」は、あり得ない設定ですので、説明がつかないのは当然でしょう。「空の中」や「海の底」よりリアリティに乏しいと思いますよ。有川さんは極限状況を描きたかったのでしょうね。伊坂さんの「終末のフール」のような設定ですが、こちらの方が緊迫した感じがしました。「終末のフール」は一時期のパニックが収まって小康状態になったからの人々が登場しましたね。あと3年しかないけど、子供を産もうとか、隕石がぶつかる瞬間を愛用の望遠鏡で見届けるぞ!とか、、、そんな話が満載でした。

『塩の街』では、身体が塩の塊と化してしまうのですから、そんな悠長な時間は残されていません。SFと読む方もいるかも知れませんが、やはりラブストーリーという読み方が正解だと思います。秋庭と真奈が段々相手を第一に思う気持ちが読みとれました。最初は真奈の「小さくて、かわいい」という「頼りなさ」が、秋庭の「守りたい」という本能をくすぐったのでしょうが、段々お互いの気持ちが変化して、先に死なれちゃ困る!という相手に発展する辺りが、巧いですよね。私もこの本から先に読んでいれば、有川さんを男性と間違えることもなかったのに…と思いました(笑)。

入江の存在は、秋庭の好さを引き立てているような思いで読みました。クールな理論家ですが、秋庭に生還して欲しいばかりに、真奈を塩の結晶の部屋に軟禁し、自分も一緒に待つ辺りは、冷酷無比とばかりも言えませんね。温かい血が流れている証拠ですよ。

 >同じ文章の中で突然視点が変わった場面が確かあって、あれ?っとか思いました。
そうなんですか?全く気がつきませんでしたが…。余り身を入れずに読んだからかも知れませんね(泣)。

そういえば『愛しの座敷わらし』では、一家が田舎の一軒家に越す所まで話が進みました。奥さんは、まだちょっと不満なのですが、普段とは違い強引な夫の行動力に押し切られた感じです。

笑っていない小西真奈美さんの写真を、映画「天使の卵」の紹介ページで見ました。そうですねぇ。明るいだけではなさそうです。哀ちゃん似かどうかは何とも言えませんが、私の中ではアサヒぐびなまのイメージが強いので、払拭するのが大変です(笑)。

ではこの辺で。佐藤多佳子さんの『神様がくれた指』を読もうと思いっていますが、この話はどうやらスリの物語らしいです。ピアニストなら解りますが、スリになるために「指」をプレゼントされたとなると、どうなのでしょうね。まずは読んでみることにします。
Posted by dradonworld at 2007年03月17日 17:23
こんばんわです。

僕は表紙がどんなのでも全然持ち歩けてしまうので困らないですけどね。確かに、普通の人なら持ち歩くのは抵抗があるかもですね。

内容は、まあさすがに有川浩という感じですね。まあ「海の底」とか「空の中」よりリアリティに欠けるのは仕方ないですよね。塩害なんてのが実際あったら、困りますね、ホント。
確かに、終末のフールと比べると差が分かりますね。終末のフールは、危機まっさかりではなく、割と倦怠している世界観ですもんね。

本作はやっぱラブストーリーですけど、このラブストーリーっぷりがなんとなく恥ずかしいですね、読んでて。ベタっていう感じでもないのに、うーって感じの展開で、読んでてくねくねしそうな感じでした(笑)

ちゃんとは覚えてないけど、入江は酷かった気がします。でもなんだかんだ、有川浩の小説は本当の意味での悪人は出てこないわけで、入江もなんだかんだで善人だった気がします。

視点の話は…もう大分前に読んだんで、どうだったのかちゃんとは覚えてないですね。でも、なんかあれ?ってきっと思ったんだと思います。適当ですね(笑)

「愛しの座敷わらし」毎日読んでるんですね。頑張ってくださいね。なんか、やっと引越しなんですね。やっぱ連載だと進むのがちょっと遅かったりするのかなぁ?わからないですけど。奥さんが不満なところが、あとあといろいろありそうですね。

笑ってない小西真奈美は、写真集の表紙とかでもありますよ。検索してみてくださいね。
ぐびなまのイメージは僕もありますね。ああいうのもいいんですけどね、やっぱクールな感じの方が素敵ですね。

佐藤多佳子の「神様がくれた指」、なるほどスリの話なんですか。タイトルがすごいですね。スリのために与えられた指ですか。ちょっと気になりますね。

ではでは。土曜日のこの時間は、なんだか眠いです。
最近ナンプレを自作しています。バイト先に解いてくれる人がいるので。なかなか面白いですよ。今から新しいナンプレを作ろうと思います。ルールもオリジナルですよ。興味ありますか?(笑)
Posted by 通りすがり at 2007年03月17日 20:21
こんばんは。眠いときは、やはり寝るしかありませんよ。充電してくださいね(笑)。

ナンプレって何のこと?と思い、検索しましたら、分かりました。
私の隣の席の同僚がいつも解いています。老化防止にも良いらしいと私にも勧めてきますが(因みに彼は私と同じ歳です)、私はこういうのはダメなのです。数字にはめっきり弱いんです。オリジナルルールっていうのが、更に怖いです(笑)。クロスワードパズルの方がまだ好いかも知れません(泣)。

目下、息子の英語の勉強に付き合わされています。高専のカリキュラムは何か特別らしく、英語も数学も難しいですね(泣)。まぁ、自分の子の為ですので、何とか頑張ります! 老化阻止を兼ねて…。

『神様のくれた指』では、服役を終えてシャバに戻ったスリが、若造の集団窃盗団にスラれる所まで読みました。えっ??ですよね。
Posted by dradonworld at 2007年03月17日 22:30
眠いのにも関わらず、ナンプレを作り続けたがためにこんな時間です。
しかも、考えていたアイデアを一旦破棄しなくてはいけないことがわかり(それを確認するまでに4時間くらい掛かりました 泣)、しかし完全に破棄するのは哀しいので類似した別案を考案して、また後日挑戦しよう、という感じです。
というわけで死にそうです。いけると思っていたアイデアが不可能だったのがかなり堪えました…(泣)

ナンプレ自体はそんなに好きではないんですけど、新しいパズルを作るのが好きです。今解いてくれる人は、ナンプレならなんでもやる、と言っているので、とりあえずナンプレをひたすら作っています。面白いんですけどね。数字がどうというより、論理の世界ですからね。やってみたら、案外いけるかもしれませんよ。

それにしてもなんというか、息子さんは母親に頼りすぎな気がしますね(笑)まあ、優秀な母親を持った息子さんは幸せだということですね。僕は、勉強を教えてもらえるほど優秀な両親はいなかったので。

スリがスラれるんですか?「神様がくれた指」を持っているはずなのに?なんとなく読みたい気分になる話ですね。dradonworldさんの感想待ちということで。

ではでは。おやすみなさいです。あー、パズル作れなかったのが悔しい!
Posted by 通りすがり at 2007年03月18日 02:32