2004年12月16日

西の魔女が死んだ(梨木果歩)

かなり毛色の違う作品を読んだ。どのくらい違うのかは、本作が受賞している賞の名前を見ればわかるだろうと思う。

日本児童文学者協会新人賞
新美南吉児童文学賞
小学館文学賞

まあ読書のはばは広い方がいいですね。
始まりは、「西の魔女」ことおばあちゃんが倒れた、という一報。ママとまいは急いで駆けつける。
そしてそこから、二年前の回想シーン。
まいはどうしても学校に行けなくなり、どうせ休むなら、とおばあちゃんの家に泊まることになった。「おばあちゃん大好き」と言えば「アイノウ」と答える、英国人の血の混じったおばあちゃん。二人暮しが始まる。
都会から離れた、自然に囲まれた環境。裏山があり、庭があり、庭には畑があり、山では野いちごが採れ、鶏を飼っていて、そうした喧騒や窮屈さの一切ない世界での生活に、次第にまいの心は鎮まっていく。
ある時おばあちゃんはある告白をする。自分の血筋は魔女なのだと。まいはそれを信じる。魔女になるためには訓練が必要であることを知り、その日からまいの魔女訓練が始まる。
規則正しい生活をし、何でも自分で決めること。
まいに与えられた課題はそれだけだった。ただ、それだけのはずの課題は、まいにとってはなかなか難しい。少しずつ努力しながらおばあちゃんとの生活を続けていく。
その生活の中で唯一の邪魔者、ゲンジさん。隣に住むゲンジさんのことをまいは好きになることができない。
そんな平穏でありながら時折心をかき乱される生活の中、まいが成長していく。
そういった感じの話。
この梨木果歩という作家、今なかなか人気で、本作かどうかは知らないけれど、新潮社がネットで行っている「読者が選ぶ文庫」みたいので、この人の作品が一位になっていたりしました。文体は加納朋子や光原百合のように静かで透明でゆったりしていて、心地いい。ミステリーからは大分遠いけど、内容はともかく、文体は結構好きな作家です。
短いしサクっと読めるので、気軽に読んでみてください。

梨木果歩「西の魔女が死んだ」


西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ新潮文庫
 

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この記事へのコメント
こんばんは。梨木さんは、私も昨年当たりから読み始めました。『裏庭』『りかさん』『透明な沼地を抜けて』『からくりからくさ』などのちょっとおどろおどろしい作品は苦手です。余りにも、どろどろした粘りつくような感覚がします。
そいうい意味では、この作品のカラッとした「あっさり感」は好いですね。亡くなるときに水蒸気で曇ったガラスに「脱出成功!」なんて書き遺すおばあちゃん、大好きです。
彼女の作品で他に好きなのは『家守奇譚』です。どろどろ感から距離を置いています。『エンジェル・エンジェル・エンジェル』という短編も好いですよ。感想&お勧め、でした。
Posted by dradonworld at 2006年05月26日 00:07
「西の魔女が死んだ」は、一時期爆発的に文庫が売れました。今思うと、あれはなんだったんだろう?というような売れ行きで、だから知ったと言っても過言ではない作家です。

おどろおどろしい作品は苦手ということですが、僕の中では「裏庭」はかなり最高傑作だと思っています。「裏庭」を読んだ時、これはすごいな、って思いました。「西の魔女が死んだ」もそうだけど、お年よりをうまく描けている作品は、なんとなくですけどいい作品が多いような気がします。

でもとりあえず、今のところ梨木香歩は休息という感じかな。なんか、そこまでビクっとくる作家でもないんですよね…
Posted by 通りすがり at 2006年05月26日 02:29