なので今回は、小説というそのものについて少し適当に書いてみようと思う。
僕にとって小説というのは、少なくとも今の僕にはなくてはならないものだ。
僕の場合、人生は暇つぶしだ、という考え方がある。目標も夢も特にない人間としては、無限にも思える長い長い時間をどう潰すかというところが、まず人生の第一義になる。そういう意味でも、確かに本というのは優れている。僕にとって、格好の暇つぶしである。
しかし、もちろんそれだけのわけがない。僕にとって小説がなくてはならないものであるのは、やはり読んでいて面白いからである。もっと大仰に書こうかと思ったけど、素直に面白いから、という理由でいいかなと思った。
小説というのは、形のない世界を次々に提供してくれる。その世界は、目で見えるわけでも、匂いをかげるわけでも、手で触れることが出来るわけでもない。僕らの頭のなかだけで完全に完結する、実態のないものだ。文字というものによって、人間の想像力だけを頼りに構築される世界だ。
その、形のない世界という距離感が、物語としての役割であると思うし、魅力なのだと思う。
ありとあらゆる人間が、その想像力の限りにおいて、次々と新しい世界を生み出していく。長きに亘り小説は紡がれてきているけども、まだまだ果てることも尽きることもなさそうである。その人間の想像力の無限さにも、僕は素晴らしさを感じる。
しかしこう文章を連ねてみても、何故小説がここまで人を惹き付けるのか、それは言葉にしづらい。人は生まれながらにして物語に惹かれるように出来ている、なんて考えれば楽なのだが、どうだろう。よくわからない。
しかし僕の場合、小説でなくてはいけない、という説明はできると思う。
つまり、映画との比較である。
僕の中で、映画というのは制約の多い物語である、という印象が強い。もちろん、表現的には小説よりも遥かに上級だとは思う。しかし、物語そのものとは関係ない部分で制約が多い。資金・役者の質や事務所のしがらみ・スポンサーとの兼ね合い・宣伝。そうした、物語そのものとは関係ない部分で多くの制約があり、またそうした部分によって集客力が変わってくる。だからこそ、僕は映画は苦手なのである。
もちろん、映画にも傑作はたくさんあると思う。しかし、映画特有の制限がなければ、もっといいものに仕上がったはずなのに、という作品も数多く存在するのではないか、と思う。そういう、誰もが完璧であると思えない作品が溢れている気がして、なかなか手に取る気にならない。
また、もっと実際的な問題もある。映画の場合、映画館に行くか家で見るかなど、場所についての制約がある。本だとそれがない。
とにかく僕は、これまで多くの小説を読んできた。素晴らしい作品にも出会えたし、駄作も数多くあった。しかし何にしても、小説を読むということそのものへの興味は、これからも連続していくだろう、と思う。
小説というものに慣れていくと、段々と感動が薄れていく実感がある。本を読み慣れていない頃に読んだら傑作だと思えただろう作品も、まあ普通かなぐらいになってしまうこともあるだろう。それはまあ仕方がないことだ。それでも僕は日々、心を打ち震わせる傑作に出会えることを期待して、日々小説を読むのである。
今回の文章は、よくわからないですね。ちょっと反省です。もう少しまともな文章を書ければよかったんですけど。
そろそろ内容に入ろうと思います。
さて、ファウストのvol.6のside-Bの方ですね。iside-A同様900ページを超えるという、文芸誌としてはありえない厚さですけど(というか厚くなりすぎたので、side-Aside-Bに分けたというのが真相らしいけど)、分量だけでなく内容的にもまあなかなかボリュームがありました。
というわけで、ざっと内容の紹介と行きましょう。
VOFAN「陰影舞踏曲」:マンガ
前回も巻頭でマンガを書いていたVOFAN。台湾人です。
やまさきもへじ「道成寺」:マンガ
能の集大成と呼ばれる話をマンガにしたみたいですけど、古文のような文章を読む気がしなかったのでパス。
奈須きのこ「DDD HandS」:小説
前作の続き。A異常症感染者を隔離する病棟から退院した久織伸也。そして石杖所在。前作では、何がなんだか、誰がなんだかわけがわからなかった物語が、ようやく意味がわかりました。まあ、全体的な印象としては、普通かな、という感じでしょうか。巻菜はちょっと怖いです。
竜騎士07「怪談と踊ろう、そしてあなたは階段で踊る」:小説
前作の続き。「お骨サマ」の呪いを学校で流行らせた三人だが、ついにその呪いのせいでけが人が出てしまったというところから。今回は、前作の主役だった友宏と、その叔母で刑事の優花が半々で主人公、という感じ。これは、結構面白かった。ちゃんとミステリだったし、何しろ結構怖い。なるほど、男子は腹が立ったら仕返しをして、女子は呪うですか。最近はそうでもないような気はするけど、まあわかりますね。
錦メガネ「コンバージョンブルー」:小説
前作の続き。ブルーコンバージョンという薬の売人である智己と薬の製作者である倖人がガチャガチャやってた続き。
今回は、倖人の物語が中心。読んでて途中から、あれ?って感じになるのだけど、それも最後で解消。しかし、全体的な印象としては、まあまあという感じかな。本作の場合、何が一番いいかって、字体が作品と合っているということですね。
宣政佑「文化のシルクロード」:エッセイ
ファウストは、台湾進出に続き韓国進出も決定したとかで、それを記念して、韓国でサブカルチャーに詳しいという宣さんに寄稿してもらった、らしい。こういうのは苦手なので、読んでない。
村上達朗×太田克史「熟した柿が落ちるとき」:対談
日本で初の著作権エージェントとして活動している村上達朗氏との対談。著作権エージェントというのは、まあ要するに作家の代理人というところで、才能を発掘し出版社に売り込むような人のこと。欧米では主流だが、日本では村上さんが初。滝本竜彦や三浦しをんなどを抱えるボイルドエッグズの代表。元早川書房の編集者だったそうです。
三浦しをん「奇人伝M」:エッセイ
村上達朗氏への特別寄稿。これを読むと、村上達朗という人がいかに変人かがよくわかる。
滝本竜彦「パクリ野郎の『作家になろう大作戦!』その始まりと終わり」:エッセイ
同じく、村上達朗氏への特別寄稿。これを読むと、いかに滝本竜彦のデビューが奇跡的だったかがわかります。
福嶋亮大「小説の環境」:エッセイ?
よくわからない文章なんで読んでません。
浦賀和宏「リゲル」:小説
獣シリーズの最終章らしいんだけど、そもそも獣シリーズを知らないしなぁ、とか思いながら読み始めましたが、途中であまりにもつまらないので挫折。イラストは高河ゆん。
北山猛邦「糸の森の姫君」:小説
屋敷中に糸が張り巡らされている、そんな家に住んでいるという少女。そんな噂を聞いたのは、私が転校してからすぐのこと。転校が宿命になっている私は過去をすぐに忘れるようにしているのだけど、今回転校になったこの場所は、かつての故郷。何かしら琴線に触れるものがある。私と関わりがあるはずだという直感がある…。
予想外にいい話でした。この著者の他の作品を読みたくなりましたね。こういう風に思わせることこそ、文芸誌の役割ですよね。
とにかく、読んでてちょっと切なくなりますね。まっすぐな感じが逆に痛々しくて、でもそういう雰囲気がすごくいい感じでした。
舞城王太郎「めくるめく」:小説
僕はアルバイトで魔法少女をしている。いつもは、男子ばっかりを相手にしてる。そりゃそうだ。魔法少女を必要とするのはいつだって男子だ。しかし、今回は女子だって。理由は、事務所のミス。相手の名前から男だと思ったんだって。マジかよ。
でもその女の子はメチャクチャ可愛くて、でも性格は最悪で、っていうかその家族がもう破滅的におかしくて、でいろいろごちゃごちゃあって、なんだか大変。
久々に舞城王太郎の作品を読みました。相変わらず健在という感じです。本作の出来は、僕的にはまあまあという感じですけど、悪くはないですね。西尾維新の「新本格魔法少女りすか」から考えたのかな、とちょっと思ったりしました。
西尾維新「新本格魔法少女りすか」:小説
単行本になってから読むつもりなんで未読
西尾維新「零崎軋識の人間ノック2」:小説
単行本になってから読むつもりなんで未読
上遠野浩平「上遠野浩平のBeyond Grudging Moment」
音楽に関するエッセイ。読んでない。
渡辺浩弐「Hな人」
今回も3話載ってます。どれも結構面白いですね。
西島大介「遊星からの物体SEX」
今回も2話載ってます。まあどうだろ。
佐藤友哉「佐藤友哉の人生・相談」
なんか、無人島に行って来たみたいです。よくわかりませんけど。
清涼院流水×ヤバ井勝士(太田克史)「ヤバ井でSHOW」:?
変な写真(?)を見せる意味不明なコーナーです。
森川嘉一郎「おたくの脱出」:エッセイ?
読んでません。
枕木憂士「もの思う葦」:エッセイ?
読んでません。
太田克史「80年代生まれ以降限定の新人賞ファウスト賞座談会」:一人座談会
ファウスト賞の座談会です。いくつか面白かったというものを取り上げて選評してますが、ファウスト賞受賞作品はないみたいです。
太田克史:編集後記
ウエダハジメ「うりこひめさま」:マンガ
前作の続きなんでしょう。前作の段階でよくわからなくて読んでないのでパス。
toi8「悪魔と天使の季節」:マンガ
この人のマンガは、コミックファウストにもあったけど、絵が好きではないのでパス。
大体こんな感じです。しかしそろそろファウストもおなか一杯な感じがしてきたなぁ。でもまた古本屋で見つけたら買ってしまいそうだけど。
まあ、あの厚さに負けない人か、あるいは好きな作家が載っているという人は、買って読んでください。
個人的には、ファウスト賞が気になりますね。一応83年生まれなんで応募資格は満たしているわけで。でも、まあ無理でしょうね。
太田克史編集長「ファウストvol.6side-B」

ファウストvol.6side-Bノベルス