2005年01月23日

福井晴敏

自分の好きな作家を紹介するカテゴリーを作りました。不定期に更新しようと思います。

というわけで今回は福井晴敏です。

今まで500冊以上の本を読んできました。そのジャンルは多岐に渡り、ミステリーだけでなく、ホラーもサスペンスも冒険も、さらに文学っぽいものや児童文学賞を受賞しているものも読んだりしています。まあ最近はジャンルボーダレスで、ジャンルに分類するなんていう行為は無意味になんですが。

その中で一番よかった作品は、といわれれば、迷わず「終戦のローレライ」を選択します。「よかった作品」の定義は難しいですが、読んだ後どれだけ読んでよかったと思えたか、ぐらいの意味だと思ってください。

かなり長い作品で、読むのに躊躇う人が多い作品かもしれませんが、是非挑戦して欲しいと思います。今月文庫が発売されて、全四巻なんだけど、1・2巻が今月、3・4巻が来月でます。そして三月には映画「ローレライ」が公開されます。

さてそんな福井晴敏ですが、デビューは江戸川乱歩賞です。この賞を受賞してデビューした作家には、西村京太郎・東野圭吾・森村誠一・栗本薫・野沢尚・桐野夏生・真保裕一など大御所が揃う、ミステリー系の新人賞の中でも最も権威のある賞だと言っていいでしょう。

その江戸川乱歩賞を「Twelve Y.O.」で受賞します。ちなみに前年にも「川の深さは」で江戸川乱歩賞に応募しましたが、野沢尚の「破線のマリス」に破れます。このとき、福井の作品を受賞作にすべきかどうかは今でも語り草になっているそうです。ちなみにその応募作は、手を加えて出版されています。

江戸川乱歩賞受賞の翌年、「亡国のイージス」を発表します。この作品で一躍進化したと言ってもいいでしょう。乱歩賞受賞作は「このミス」でも文章的に難があるという評価をされていたし、俺もそんなに面白いとは思わなかったのだけど、この「亡国のイージス」は傑作です。俺の中でのランキングでも5位以内の作品です。

「亡国のイージス」で大藪春彦賞・日本冒険小説協会賞・日本推理作家賞をトリプル受賞し、直木賞候補にもなるという快挙を成し遂げたあと、数年間沈黙します。そして、その沈黙は「終戦のローレライ」で破られます。

「終戦のローレライ」は他を完全に圧倒させ沈黙してしまうほどの傑作です。最高です。これには裏話があって、何とかという監督が「亡国のイージス」を読んで感動し、映画化することを前提として作品を書いてくれ、と打診して福井が書いたのが「終戦のローレライ」だという話があります。

「終戦のローレライ」でも、日本冒険小説協会賞と吉川英字文学新人賞を受賞し、直木賞候補になりました。すごいものです。

異色作は「∀ガンダム」という作品です。無類のガンダム好きだという著者は、ガンダムシリーズの中の「∀ガンダム」の設定を借り、まるで別の作品(というのはどこかに書いてあったことで、俺はガンダムシリーズの方の「∀ガンダム」を知りません)を書き上げました。これも読みましたが、ガンダムを一切まったく知らない俺でも、かなり感動できました。すごいです。筆力が圧倒的で、登場人物が魅力的です。ガンダムが好きな人は(そうでない人も)読んでみてください。

ちなみに俺が持っているのは新書版ですが、文庫はタイトルが違います。幻冬社文庫で「月に繭 地には果実」です。

さて、今年は福井年です。既刊の「終戦のローレライ」「亡国にイージス」は映画化され、さらに「戦国自衛隊」という、かなり昔に映画になった作品を、福井が新たに手を加え脚本を書き上げたものが映画化されます。期待大です。

最新作は「6ステイン」という著者初の短編集で、何故か帯が縦についているという変り種です。この作品も直木賞候補になっていますが、受賞には至りませんでした。

次どんな作品を書くのか、とても気になる作家です。


福井晴敏オフィシャルサイト

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