2004年09月09日

夢・出逢い・魔性(森博嗣)

二冊連続で森作品を読んだ。やはり読みたい作品を優先して読む。だから大分前に買ったのにまだ読んでない作品は多い。
今回は久々にダブルネーム、ではなく、トリプルネームが光ったタイトルだ。
英語副題は「You May Die in My Show」だ。つまり「夢で逢いましょう」も含めて三重に重なっている。以前も、「封印再度」というタイトルに「Who inside」という副題がついていたものがあった。こういうのが好きなのだろう。
Vシリーズの四作目であり、今回も瀬在丸等愉快な仲間たちがわらわら事件に巻き込まれる。
いつもは愛知県那古野市が舞台なのだが、今回は東京が舞台。N放送というテレビ局のクイズ番組に香具山紫子が応募し、小鳥遊と瀬在丸をともに女子大生だといつわって三人で出場することから始まる。テレビ局内で銃による殺人事件が発生し、発砲音の直後にその部屋から出てきたアイドルが小鳥遊と行方をくらます。小鳥遊が香具山たちと合流した後、そのアイドルはストリップ劇場で火事に巻き込まれ病院に運び込まれる。といった内容。
「月は〜」よりも面白かった。稲沢という暗い探偵のキャラが面白かったし、女子大生と偽ってクイズ番組に出るごたごたが楽しい。
森作品は犯人の動機というのがかなり変わっている。それを受け入れることの出来ない人も多いかもしれない。でもそこに人間の複雑さが隠れている。探偵によって勝手に犯人の動機が推察される推理小説が多い中、「結局人の心などわからない」というスタンスを取っている森作品は潔い。
もちろんわからないと突き放すだけではなく、そこに垣間見える複雑さに保呂草や瀬在丸は何らかの思考をし、そして自分のなかで消化(昇華?)していく。その過程で読者はいろいろなことを考える。
今回も動機と呼べるものが一体何なのかはっきりしない。そんなものは存在しないのかもしれない。そこがいいし、与えられた条件を元にそれを想像するのもまた楽しいだろう。

森博嗣「夢・出逢い・魔性」


夢・出逢い・魔性(ノベルス)

夢・出逢い・魔性講談社ノベルス


夢・出逢い・魔性(文庫)

夢・出逢い・魔性―You May Die...講談社文庫
 

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