2004年09月11日

キマイラの新しい城(殊能将之)

あぁ、楽しい。なんとも人を食ったような小説だ。見事としか言いようがない。楽しい話だった。
帯にこう書いてある。「この話しを書けるのは殊能将之の他にいない!」まさにその通りだろう。デビュー作から人を食ったような偏狂的な小説を生み出してきた著者ならではの作品だ。
話は一人の社長の異常な状態を知ることから始まる。シメール城という中世ヨーロッパの城を日本に移築し、テーマパークを建設した社長がなんと、そのシメール城で750年前に密室で殺害された城主の亡霊が取り付いてしまう。亡霊は自分の死の謎を解くよう重役の一人に訴え、それに応じて名(迷?)探偵石動戯作が呼ばれる。石動が750年前の状況を再現しようと重役連中などに仮装をさせてコスプレ現場検証をし、それが終わった直後現実に密室殺人事件が起こる。第一発見者の社長は逃亡し、誰なのかわからないが会うことになっていた人物に会うために六本木に向かう・・・
もうしょっぱなからありえない設定、750年前の密室殺人の捜査ももはやおふざけ。でも現実に殺人が起こるや一気に緊張感が高まり、探偵らしくない石動は、まるで探偵らしくないやり方でこの事件に幕を閉じる。
さらに面白いのは亡霊に取り付かれた社長から見た現在の世界の描写だ。服や髪の色、食事の描写などまるで食い違っており、六本木ヒルズの描写など、勘違いにもほどほどしい。それが逆に新鮮で面白い。
きっと一般には受け入れられないだろうなと思う。ミステリー好きにはもう抱腹絶倒ものだけど、普通の小説読みには何だこれ?と一笑に付されかねない。それが残念だけど、まあ楽しめて読めたからよかった。

殊能将之「キマイラの新しい城」


キマイラの新しい城

キマイラの新しい城講談社ノベルス
 

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