2009年08月04日

犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎(コニー・ウィリス)

さて、感想を書くのが実に久しぶりになりました。ほぼ一週間ぶりぐらいでしょうか。長い小説を読んでいたことと、週末花火やら弟の結婚式やらがあってバタバタしていたのとで、なかなか読書が進みませんでした。
さて今日は何の話を書きましょうか。ソニーが出してる電子書籍端末「リーダー」がグーグルブックと提携した、というような話でも書きましょうか。
記事はこちら。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090327/141761/?ST=buzz

電子書籍端末では、amazonが出している「キンドル」が有名でしょうが、あちらで読める書籍は今25万冊ぐらいだそうです(日本の小説はどれぐらい読めるんでしょうか)。ソニーの「リーダー」は今現在では10万冊ほどしか読めないようなんですけど、それが一気に50万冊(僕が前に見た記事だと100万冊になってましたが)に増えるんだそうです。ほとんどが、版権が切れた作品なんでしょうけど、それでも古典作品や学術的な作品なんかがいろいろ読めるようになるんでしょうから、まあすごいものだなと思います。
しかし、amazonの「キンドル」にしても、ソニーの「リーダー」にしても、日本では広まってるんでしょうかね?イマイチ僕には分かりません。前にも書きましたけど、アメリカとかでは電子書籍端末で最新の新刊とかが読めたりするみたいです。でも日本ではまだまだそんなことはないと思うんです。携帯で連載されている作品とか、ネット上で連載されている作品みたいなのはあると思うけど、電子書籍端末でフルで読める新刊作品というのは少なくとも僕は知らないです。
日本でも、書籍の電子化という話はいろんなところでされているようなんですけど、現状をきちんと把握出来ている人がどれぐらいいるんでしょうか?電子書籍に可能性を見出している人はたくさんいるんでしょうけど、ビジネスモデルとしてきちんと成り立っているようなものはほとんどないような気がします。
電子書籍が広まってほしいわけではないんですけど、これからどうなるのかという部分はすごく気になります。紙の本がなくなるとは思っていないけど、電子書籍が台頭するようになってくると、紙の本への影響力はかなりのものだろうという感じもあります。まあ電子化が進むにしても、ゆっくり進んで欲しいなと思います。せめて僕が生きている間くらいは、紙の本が優勢であってほしいなと思います。
そろそろ内容に入ろうと思います。
舞台は2057年。タイムトラベルの技術が確立されているのだけど、過去から現在へ何かを持ってくるのは不可能だと証明されてしまったため、ネットと呼ばれるタイムマシンはもっぱら歴史研究だけに使われている。
主人公の「僕」ことネッド・ヘンリーは、第二次世界大戦中空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂を復活させようとあらゆる無茶を通すレイディ・シュプラネルにこき使われている。任務は、<主教の鳥株>なるものを探し出すこと。それを見つけ出すために過去と現在を行ったり来たりさせられてしまったネッドは、タイムラグと呼ばれる時間旅行者特有の症状にかかりダウンしてしまう。
タイムラグごときで人を使うことを諦めないレイディ・シュプラネルから逃れるために、ダンワージー先生のアイデアで、ネッドはヴィクトリア朝へと飛ばされることになる。とにかくそこでゆっくりと休んできなさい、ということだ。
しかしネッドは同時に、ある重要な使命を帯びていたはずなのだ。しかしタイムラグ特有の症状により、その使命がなんだったのかちゃんと思いだせない。とりあえず使命が何なのか分からないままボートで川下りをすることになるのだけど…。
ヴィクトリア朝に派遣されていたヴェリティと途中で合流し、歴史に齟齬をきたさないようにあらゆる手を打つように努力するんだけど…。
というような話です。
世間的には相当評価の高い作品です。ただ僕としては、まあまあかなという感じでした。
設定は面白いと思うし、ストーリーの展開もうまいと思うんだけど、とにかく長いんですね。正直なところ、こんなに長い必要がある作品なのかというのが僕にはちょっと疑問でした。本書はSFですが、ユーモア小説としての評価も高いみたいです。たぶん僕がそのユーモアの部分をあんまりきちんと理解できていないから、長くて冗長みたいな評価になるんだろうなと思います。
ラストはなるほどという感じでした。そこに至るまでに、伏線だと思わせない形でいろいろ伏線を出しているし、SFでありかつミステリである作品としてなかなかいいオチだなと思います。ただ、そこに行く着くまでのストーリーが長いんだよなぁ。確かに面白くないわけではないんだけど、上品なユーモアって僕にはちょっと分かりにくいんです。だから、SF作品というよりはユーモア作品という感じだと思うんで、そういう小説が好きだという人には合うんじゃないかなと思います。SF的な部分はあんまりなくて、作品のほとんどがヴィクトリア朝を舞台にしたストーリーなんで、SFはちょっと…という人でも別に問題なく読める作品だと思います。
歴史や文学とかが好きな人とか(歴史的な話はいろいろ出てくるし、文学からの引用も多い)、あるいはユーモア小説(って言われてもどういう作品が該当するのか僕にはピンとこないけど)が好きな人とかにはいいんじゃないかなと思います。世間的には相当評価の高い作品なので、気が向いたら読んでみるといいんじゃないかなと思います。
ちなみに本書のタイトルは、ジェローム・K・ジェロームの「ボートの三人男」という小説の副題「犬は勘定に入れません」から取ったみたいです。「ボートの三人男」もちょっと興味あるけど、読むかどうかは分かりません。

コニー・ウィリス「犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」





 

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