舞台は、山奥に立てられたある研究所である。そこは、周囲とはかなり隔たれた環境にあり、唯一の交通路に橋がある。
その橋の爆破予告が、警察に入った。祖父江や林が現場へと駆けつける。そして、予期せぬ幸運なのか、はたまた不幸な偶然なのか、祖父江だけ橋の向こうに渡った時、突如橋が爆破された。
一方、小鳥遊と瀬在丸は、その研究所で開かれるパーティーに招待をされた。運転手として保呂草が、そしてなぜか香具山もついてのドライブで、研究所にやってくる。
やいのやいのいろいろありながら、結局その研究所にいつものメンバーが揃う。
悲鳴を聞きつけて集まった人々によって、第一の死体が発見される。絞殺死体。祖父江は現場保存のために鍵を掛け、その鍵を自ら保管する。
研究所にいるメンバーを集めたり、パトロールをしたりと、なかなか活動的ないつものメンバーだが、予期せぬ事態に窮地に陥る。そして、発見される第二の死体…
というお話。
今回はまず、密室でもない。これは、森博嗣にしては珍しいのではないか、と思う。確かに閉鎖状況における殺人ではあるけれど、密室は出てこない。
どうも、いつものメンバーがうろちょろ(別にそれが悪いと言っているわけではなくて、そのうろちょろの部分が面白いんだけど)して、まあその中で事件に巻き込まれちゃって、まあ解いちゃいましたけど、みたいな感じ。
さくっと読むには全然いいけれど、そこまでお勧めする作品でもないですね。
これは何度も書いている気がするけど、どうもVシリーズは合わないかな…。
それではいつものを。
(前略)
未来は過去を映す鏡だ。
心配する者はいつか後悔するだろう。
自分が生まれ変われるなんて信じている奴にかぎって、ちっとも死なない。
(後略)
(前略)「ああ、思いどおりにならないものね。玉突きというのは、結局のところ、理論と実践のギャップを認識させるためのツールなんだな」
(後略)
(前略)優しさなんて、その辺りに転がっている石ころと同じだ。どこにでもある。いつだって拾える。そんなものが欲しいわけではないのだ。生きていくために必要なものは、もっと別のもの…、もっと危うくて、もっと切ない、もっともっと苦いものだ。一度でも落としてしまったら、もう見つからないものだ。(後略)
(前略)「人が一人死んだくらいで、大切な自分の時間を取られたくない、というのは、わかるなぁ」
(後略)
(前略)「大切だからって、いったい何なのでしょうか?大切なものって、何が大切なのですか?大切に思うことが大切なのかしら?それとも、大切だと教えることが大切なの?私の申しあげていることがわかりますか?」
(後略)
(前略)
どこからも、善は生じない。
善は、人から生まれたもの。その最初の一瞬の状態なのだ。
(後略)
森博嗣「六人の超音波科学者」
六人の超音波科学者講談社ノベルス
六人の超音波科学者講談社文庫