内容はとある大学の化学工学科を中心に、殺人事件が起こったり、殺人未遂が起こったりして、そして犯人が誰なのかとかわかっていくんだけど、そういうことではなくて、なんというか、
殺人事件とその周辺の風景を「詩」にしたような作品
とでも言えばいいかな。まさに詩のような文章。森氏は「理系の言葉で文学を紡ぐ」という表現がぴったりくる作家だが、この作品はそれが如実に表れている。ストーリーはもちろんあるし、論理的だし、普通に物語として成立させながらも、同時に別の流れ(つまり詩的装飾)を作り出し、いつしかその流れが物語を覆い尽くしてしまう。
物語としては理解出来ない部分は多々あった(これは読者の読解力次第)けど、詩的なものとしてはかなり楽しめた。
そしてリズムがいい。短い文章で区切っていく。こういうリズムが俺は大好きだ。何か突き放したようなクールさと緩い坂道を転がっていくボールのような安定した微加速さが、自分の中の「何か」と妙に相性がいい。
「リズム」があって「詩」がある。まさに「文字による音楽」または「音の無い音楽」と言ってもいいのではないか、という作品です。
それにしても俺の説明はわかりずらいですね。
森博嗣「奥様はネットワーカ」
奥様はネットワーカ
奥様はネットワーカ講談社ノベルス