日曜日の朝日新聞は薬ネタが豊富だったので一言。
まず1面、「医療はいま第4部」から。
「ウイルス性の風邪に抗生剤は効かない。でも薬を望む患者には言いづらい」
そうなんです。
風邪は「ウイルス」で起こります。そして風邪の皆さんが飲みたがる「抗生剤」は「菌」を殺す薬です。
混同されやすいですが、「菌」と「ウイルス」は全く違うものです。風邪患者のみなさんが「飲めば風邪が治る」と思い込んでいる「抗生剤」では風邪の原因の「ウイルス」を殺す事はできません。つまり「飲んでも風邪は治らない」のです。そして「風邪のウイルスに効く薬」は残念ながらありません。風邪で体が弱る事によって菌の上気道感染(口からばい菌が入ってノドが痛くなったりする)などがあった時のみ、「抗生剤」は有効です。
でも患者さんが欲しがるから、薬を出さないと満足しないから、という理由で抗生剤はいつも最初から処方されているようです。
風邪の一番の治療法は「寝とく」。それだけです。
いるかいないかも分からない菌を殺す抗生剤を飲みながら忙しく働いても、風邪は絶対に治りませんよ。
ちなみに発熱は、ある程度まではウイルスとの戦いに必要なものなので、解熱剤でむやみに体温を下げても風邪が長引くだけです。
子供が風邪をひいて、何度も受診するお母さん。この中にも考えが間違った人が多い。
「どんだけ薬飲ませても治らないんですよ、どうなってるんですか?」と言いながら、当の本人は待ち時間中薬局内を走り回り、しまいには椅子の上を飛び回る。病院の帰りには母に買い物につれ回される。
「薬飲んだら風邪が治る?」それは完全に間違っています。
今病院で処方される風邪の薬は「風邪の症状を抑える薬」であって、断じて「風邪を治す薬」ではありません。風邪を治せるのは本人の体だけ!さんざん走り回って人ごみの中をつれ回されて、風邪が治るわけないでしょうが。家でじっと寝させときなさい。薬飲まなくても治りますから。あと、腹風邪で受診してる子のお母さん、子供の食欲がないからって言って下痢してる子供にアイス食べさせるのやめなさい。
こっちが「どうなってるんですか?」と問いたいです。
これから冬の季節、病院で薬を貰って家に帰ったら思い出して下さい。「これは風邪を治す薬」じゃないんだということを。そして布団に入ってすぐに寝てください。
風邪薬を非難するわけでも漢方を擁護するわけでもないですが、前々から思っていたことなので書いてみました。あと、31面の「ジェネリック医薬品(後発品)」の記事。
病院の点の付け方は知らないからなんとも言えないけれども、院外処方箋の点数の付け方、こりゃずいぶん良心的な薬局のようですね。
世の中の調剤薬局は儲け主義だからこんなかわいい点の付け方してないですよ。
薬剤師に携帯持たせて24時間対応可にして基本料の水増し、薬歴管理指導料の17点だけで済ます事など絶対になく、してるのかしてないのか分からない「特別指導加算」、薬の説明書きの紙、お薬手帳、の押しつけ。患者さんは薬局にもっと搾り取られてますから!
私が前の会社を辞めたのは、この半分詐欺みたいなやり方が気に入らなかったからです。
この面の左隅の方に載ってた「黙ってられない」とかいうコーナー、ここもひどい。こっちが「黙ってられない」だよ。
山口県、無職のMさん64歳の投書。これは載せちゃいけない投書でしたね。
要約すると「いつもと同じ薬を貰う為に病院にいって処方箋だけ切ってもらうのに再診料を1410円も取られるのは許せない」と。
処方箋は「受診」しないと貰えません。受診なしで処方箋だけもらう行為は、実は違反です。しかし、特に大きい病院はいつも混んでいる事、診察に時間を割かなくても病院にお金が入ってくる事、などの理由で受診なしでの処方箋発行が横行している、そして黙認されてる、というのが事実です。
一応こっそり行われるべき事ですので、朝日新聞、こういう投書は載せない方がいいと思いますよ。しかも新聞はMさん、どうやら実名っぽかったし。
それにしても、このMさんの投書の締めの言葉にはやられました。「一度発行した処方箋は何度も使えるように制度を変えるべきだと思う。」
Mさん、あのねえ、薬っていうのは具合によってたまには変えないといけない訳なんですよ。受診しないでいて、出てる副作用見逃してたらどうすんの?副作用どんどん進んでたら、自分が受診さぼったこと棚に上げて、どうせ病院に文句言うんでしょ?
しかもこの「受診せずに薬だけ貰おうとするタイプ」の患者さんは、薬があんまり変わらない生活習慣病の人に多いのですが、病気のために生活を改めようとかは微塵も思ってなく、変わらず豪遊してる人がものすごく多い。病院では処方箋だけ、薬局にくりゃ「いっつも飲んでる薬だからお前の説明なぞいらん、わしの方がようわかっとんじゃ」、しかも家では飲んでない場合が非常に多い。
「制度を変えるべきだと思う」とか発言する前に、あなたの病気に対する意識を変えるべきだと私は思いますよ、Mさん!
そして薬の記事書くんなら、もうちょっとしっかりしてよ、朝日新聞大阪本社!
ていうか、朝日に限らず新聞の薬の記事やテレビのニュースはいい事も悪い事も、誇張がひどいので話半分くらいで聞いておいた方がいい、といつも思っています。
長々と文句を書いてしまいました。
「たけしの家庭の医学」とか「思いっきりテレビ」とか「あるある大辞典」とか、文句つけたい事はたくさんあるけど、それはまた今度です。
