November 06, 2004

2046

 流石に平日夜の梯子映画は辛い…(←今起きた)

 と言うことで1本目『2046』。
 宣伝でSFSF言ってるけど,ちっともSFじゃない“っぽい”映像でお茶濁しやがって…(怒)
 『イノセンス』とすっかりダブった映像センスはカンヌ上映の時,困ったんじゃないのか。それとも「オレはお洒落な映像作家だからポンニチのこ汚いアニメ監督の作品なんて眼中にないぜ」だったのか。ウォン・カーウァイ。

 それにしたって。あぁあた。
 2時間強,1人の男の恋愛余太話を延々愚痴まじりで聞かされてごらんなさい。日常の疲れが何倍にもなってくるだろうが。それを大金はたいて作って,見せるために金取ってやってのけちゃってんだよね。
 愚痴は愚痴でいいさ,でも,そこでその男が会心するなり成長,挫折があって何かを会得して初めて物語ってのが成立すんじゃないのかね。
 カーウァイが台本作らない,ってのは北野武と一緒だが,北野武はプロット等,完全頭にまとめて役者に作為的なことをさせないために台本を渡さない,ってのがあるけど,それとは違う気がするね。ニュアンスで撮ってんじゃねぇの?だらだら制作時間ばかりかけたってのも妙に気になる。
 もしこの映像クオリティーだけを売りに撮りたかったならば,せめて時間を半分にして欲しい。男の愚痴を2時間聞く程,わしは気長でも優しくもないぞ。

 主演がトニー・レオンじゃなかったらどうなってたか?前作『花様年華』がなかったらどうだったか?(余談だが,ご覧になってない方は観た方がいい。伏線たっぷりだし『花様年華』は,いい映画である)カーウァイシンパ以外が観て,ホントに良い映画か?
 以下,この映画に惚れてる方は読まない方がいい,『花様年華』ネタバレ含む辛口コメント炸裂。
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 『花様年華』これはホントによい話だった。
 両隣りの部屋に住む,男と女。それぞれの伴侶が互いの不倫相手と知り,悩みを打ち明けるうち,それが愛に変わって…と,昼のソープオペラか?といった展開ではあるけれど,そこにはやはり感情があって,互いに好きあってるけど,それじゃあ自分達の夫や妻と同じじゃないか。しかも,彼等の関係がなかったら,この愛は果たして生まれていたのか?ってジレンマがあったから。
 この関係をず〜っと引きずってんのが,今作の主人公の作家である。劇中でも「以前愛した女性がいた」とか「オレと一緒に行かないか」とか「木の洞へ埋める秘密の話」とか『花様年華』のキーワードが続々登場する。

 何が腹立つったって,このうじうじだらだらした女達との関係の持ち方で,何とかてめぇの自尊心を保っている,エログータラ作家のこの男である。
 過去に忘れられない女がある。それはいい。その喪失感を埋めるために,別の女とじゃれあうのもいい。けど,そこに本当の次の愛を求めたいなら,相手にこぉせえ,あぁせえ,でもオレはオレだから,っつーなめた考え持ち込むんじゃない。
 案の定破局を向かえて,ああやっぱり寂しい,とか言ってんじゃないよ。ダメになるって判っていながら,主導権を保ちたいがために意地を張る。一度痛い目にあって懲りてんなら,孤高を選べよ。それが出来ないなら,変に突っ張るなよ。
 で,その恋愛沙汰を己の住む長期滞在型ホテルの中での出来事(ここにキムタク扮する日本人が絡むが,ここの突っ込みはまた後述)を,自作品にスライドさせる訳だが,いちいち「この主人公はオレだ。」とか言わなくっていいから。判るから,観てたらさ。そのくせ,その劇中劇的小説物語のSFの中で起こるアンドロイドとの恋愛(?)模様に己の美学とか,憧れを投影するでなし。
 「“2046”から出て来た者はいない。」ってその“2046”にいつまでも残ってんのは他ならない,この男自身じゃないのか。『花様年華』の相手の女が,何故「一緒に行かないか」の申し出を断わったかって,その身の切れるような思いを,ついぞこの男は判らんのである。だからいつまで経っても立ち止まるしかないのだ。

 これ,前出にもある通り,トニー・レオンだから何とか保ってるんであって。彼の人恋しそうな,捨てられたわんこのような表情があるから多少は母性本能がくすぐられるんであって,これがその辺の男が真似しようもんなら,殴打→唾棄→ゴミ箱行きである。ダンディズムは自己陶酔の曲芸であるとつくづく痛感。
 他にも,キムタク扮する日本人がホテルの主人の娘と会話する際,言葉が全然違うってのは一体なんだ?少なくとも英語で会話しろよ。でないと逆に決めの日本語の台詞が決まらないんじゃねぇの。ロクに英語も喋れないのに,キムタク使う必要があったのかね。日本の観客へのサービスのつもりかね。

 こういううじうじぐずぐずした恋愛模様が大好き,経験してないと生きた心地もないわ,って御仁はさぞ良い映画に感じるのだろう。
 わしは正直,そぉいう面倒臭ぇのは嫌いでね。大体,最後に何も変わらないんであれば,経験値なんてクソではないか。撃墜王か。数撃ちゃ正義か…全く持って疲れる話である。

 ああ,最後に1つ。客室乗務員がアンドロイドなら,長身の美女を連れて,機械の身体を探しにいった方が日本人には受けますよ。

 

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Posted by ゆえひさ at 15:21│Comments(6)TrackBack(11)

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□COMMENT...Thank you!□
こんばんわ、nomaです。
このレビュー、すごい良く判ります!
賛辞していた反面、これは思いましたので。
(拙ブログではただ褒めまくっていますけど…;)
的確なレビューを拝見させていただきましたw
すっきりした気分になりました、ありがとうございました。


Posted by noma at November 06, 2004 21:00
 どうもこんばんは〜

 nomaさんはアジア映画好きでしたっけ。多分,この映画ってカーウァイ監督の世界観(審美眼)にハマればそれこそ延々と続く特急列車に乗れるんですよね。それは観ててホントに思いました。
 ただ,どうしても自分の中ではいやぁ…そりゃ違うベ,君ぃ,と(^^;いうのが拭えなくて。

 こんな稚拙文にもったいないお言葉,有難うございます(_ _)
Posted by ゆえひさ at November 07, 2004 02:32
ども、こんばんは。
辛口批評が気持ち良かったですー。

「花様年華」が気に入ってるだけに今回の「2046」観るべきかどうか迷ってました。
木村拓哉ってのも引っ掛かるし。彼である必要があるとは最初から思えないんですもの。
日本人ウケ狙いなの?と。
こちらのレビューで決心付きました。
様子見ます(笑)
ま、自分の場合、味のある映像だったら良し、なんですけどね。
Posted by しろぼし at November 07, 2004 23:53
 どうもどうも(^-^)/

 これはですねぇ。性格,出ますよ。好き嫌い言う時に性格が(苦笑)。あの〜連ドラとかで,元カレ元カノとか友達と引っついたり別れてみたり…って展開の,あるでしょう。ああいうの好きな人はきっと褒めます(ホントか?)。
 そこまでやるなら刃傷沙汰のどろどろにすればいいのに,何かこ綺麗過ぎて。

 その肝心の映像は…クリストファー・ドイル節健在です。SF映像には向かないってのは判りました,デザイナーのせいかもですが。長岡秀星を田舎臭くした感じ。特に列車内。
Posted by ゆえひさ at November 08, 2004 01:25
出遅れたか(笑)
一番乗りコメントを、このブログにはするつもりで、つい呆然としてた(^^ゞ
あ〜〜〜〜。しかし、そ〜だよねェ。性格出るかもだねェ。

>連ドラとかで,元カレ元カノとか友達と引っついたり別れてみたり…って展開の

というのは、見ててお前ら、早いことキッチリ収まるところに収まらんかい。なんならあたしが交通整理してやろうか?とか思ってしまう性格の女には。。。。。。
向かんな。ゼッタイに(・・;)
Posted by おたべ at November 08, 2004 15:06
 おおおお〜おたべ姐様〜おたべさんのレビューを読んでついつい嬉しくなって,意味不明なSubjectでBBSお目汚ししちゃってすみません。
 今ね,またしみじみ思うのは,もしかしたらと〜っても菩薩な女性だったりした場合は,或いは可哀想に思うのかしら,この男を…って。どうなんざんしょ?

> 早いことキッチリ収まるところに収まらんかい。なんならあたしが交通整理してやろうか?

 (*^^)//" ハクシュハクシュ
 や。お互い止むに止まれぬ事情があって…ってんならヒトハダ脱ぐのもやぶさかでないですけどね。それともちょっと違うっつぅのが(..;)
Posted by ゆえひさ at November 09, 2004 21:04