September 18, 2006

トランスアメリカ

 トランスジェンダーって単語は知らないけれど“性同一性障害”てのは判るよ。オカマやオナベとも,ゲイやレズとも似ているようで違う。

 「鏡に映った自分は、自分じゃないと幼い頃から違和感を持っていた。違う入れ物に入れられているよう。」
 ある“性同一性障害”を持った女性(戸籍上は男性)を追ったドキュメンタリーで,その人は男性として半生を生き,家庭を築き,子供ももうけていた。にも関わらず,やっぱりまとわりつくその違和感に耐えかねて,性転換を決意した,って内容だったんだけどね。
 既に成人した子供達も,お父さんの意思を尊重し,今はお互い理解し合っている,という締めでその番組は終わったのだが。

 わしはこぉいった人達と同じ症状でも,同じ感覚を持って来た訳でもないんだが,この「自分が自分じゃないような」って気分は,何となく判るんだよ。自らの内側と外側が乖離したような感覚には,特に思春期には散々ぱら襲われていたから。
 だから余計に,こういった題材に興味が人一倍沸くのかもしれない。

 現実の『リボンの騎士』は美しくもロマンティックでもないんだよねたらりらったりったらったらったった〜♪で以下続く
NEXT MORE
 
 そう言えば,今作と同じ“性同一性障害”を扱った『ボーイズ・ドント・クライ』は悲惨だったなぁ。これは実話だったっつぅのと,当時はそんな病気があるなんて一般化してなかったから,ってのもあるけど,切ないとか苦しいより,周りの無知・無理解から生じた暴力に,無性に腹が立ってしょうがなかった。
 脳が男で身体が女とか,胎児の過程で,ホルモンのシャワーが不完全だったため,脳と身体との整合性が上手く取れなかったとか,まぁ諸説あるみたいだけど,今じゃ症例も数多くあり,ある種の病気として認められている。

 ブリーも,かつては男性として生を受けたが,今正に女として生まれ変わらんとしていた訳で。

 でも生物学上はれっきとした男だから,女の人とセックスも出来るし,子供も作れる。男として生きなければ,との迷いがあった若かりし頃の一度の行為で,出来てしまった息子=トビーの存在をいきなり知らされ,しかも,父親として名乗ろうにも,既にココロは女であり,身体も半陰陽のようにどっちともつかない状態。
 ただでさえ,存在を知らなかった息子に負い目があるのに,このシチュエーションでどう自分が父親だと明かせるのか。明かせないよねぇ。普通はねぇ。

 そんな戸惑いを抱えながら,それでも一緒に旅する間に徐々に息子に対して芽生えて行く愛情を,ロードムービー形式で描いて行く。

 でね,この作品の何が画期的かってったら,その女にならんとするブリーを,女優が演じてるッて事。
 ゲイやオカマを男優が演って,面白おかしくする映画は多々あるし,勿論,実在の“性同一性障害”を持つ張本人達を使って,その怪し気な世界を再現しようとする事も出来たハズ。その方がストレートに表現出来るし,簡単だからね。ただ,そうなると前述のドキュメンタリーとなんら変わらない訳で,フィクションで描く理由も希薄になるよね。現実のが余程ドラマティックだもの。
 彼女達は外見は男でも,魂は女。その肝が判っているからの起用になったんだろうと。主演のフェリシティ・ハフマンや監督の思いに頭が下がるよ。

 そんなブリーの迷いも事細かに描かれているが,何よりトビーの心の変移が鮮やか。

 赤の他人と思っていたブリーにお互い嫌々ながらも世話を焼き焼かれ,彼女がトラン
スジェンダーだと知り,差別もあったろうけど,信用しかけていた人間に嘘をつかれたショックからの反発。そして,前述のように実の家族から疎んじられながらも,自分自身を貫こうとする姿そのものに愛おしさを感じ…と,この急激な変化を実に細やかに演じ切った,ケヴィン・ゼガーズは有望株だね。

 他人や世間の認知度の低さもさる事ながら,一番理解がないのがブリーの本当の家族…特に世間体ばかり気にする母親だってのが,皮肉だよね。
 孫がいるって知った途端のあの手の平の返し様…勘当した息子や娘に,孫が出来て帰省した途端,コロッと宗旨替えするじじぃばばぁの姿を見るようだ。自分の息子で失敗したのを,孫で取り戻す,みたいなイヤらしさ。

 他人なら無視も出来るが,血の濃さ故の複雑で厄介な関係。

 興味深かったのは,トビーの義父の家の隣人である黒人のおばさんや,道中で出会うインディオのおじさんのが,分け隔てない優しさや思いやりを持って2人に接していた事。マイノリティであるからこそ,そぉいった立ち振る舞いが自然と出来るのかな,等と。

 テーマがテーマだから重いかな〜と思ってたんだが,意外とあっさりだったな。そんな所も好感が持てる。
 

▽おひとつぽちっと□_ヾ('_' )
人気blogランキングへ
にほんブログ村 映画ブログへ

Posted by ゆえひさ at 23:34│Comments(0)TrackBack(4)

TRACKBACK URL

http://blogs.dion.ne.jp/yuu_dake/tb.cgi/4178660

トラックバック反映にはお時間を頂きますm(_ _)m

□TRACKBACK...Thank you!□
スカートの中に何があるかより もっと大事なこと。     ■監督・脚本 ダンカン・タッカー■キャスト フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ、フィオヌラ・..
『トランスアメリカ』【京の昼寝〜♪】at October 23, 2006 17:21
絵に描いたような理想的な幸せ模様でなくても、人それぞれの生き方と関係性があるんだよね。 複雑で混沌とした楽しくって心温まるロードムービー。女性になる性転換手術をひかえたブリーに息子がいることが発覚。..
『トランスアメリカ』【かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY】at October 23, 2006 19:16
【映画的カリスマ指数】★★★★★  世にも奇妙な親子の、世にも素敵な愛の物語  
トランスアメリカ【カリスマ映画論】at October 29, 2006 02:48
性同一性障害に悩む男性が、昔一度だけ女性と関係を持った時に出来た子供とアメリカ大陸縦断の旅に出るハートフル・コメディ。R-15指定作品。
トランスアメリカ【DVDジャンル別リアルタイム価格情報】at November 17, 2006 11:43