2012年01月18日

「おれは、だれなんだーーーー!!」

ってやかましいわ清盛!!

・・・大河「平清盛」第2回、何と濃密な45分だった事か。土曜の再放送と続けて観たら、10回分纏めて観たくらい疲れたよ・・・いや悪い意味ではなく、内容がぎっしり詰まっていたという良い意味で。
ただ、どうも1話当たりに詰め込み過ぎて、脚本にある重要なエピソードや台詞が少しずつ削られているらしいのが気掛かり。

で、タイトルの台詞を清盛が道に大の字になって叫ぶシーン。
冒頭から、反抗期真っ盛りの中学生みたいな暑苦しい言動が続いていたので、流石にげんなり、と思ったら、
だれでもよ〜い」という拍子抜けするような声と共に、落とし穴に落ちた高階通憲(たかしなのみちのり)登場。助けてくれた清盛に、通憲は「この穴はまるで乱れた今の世のようだ云々」と一方的に語り出す。
いや、この展開には笑いました。緩急の付け方が上手い。
それと、さっきまで荒れていた清盛が急に大人しくなって、「助けてくれ」「あ、はい」「この穴は乱れた今の世のようだ」「いやこれは俺が掘った穴で・・・」と、妙に生真面目になっている処、「ああ、この子は本当は素直な子なんだな」というのが垣間見えて面白かったです。
人の話を全然聞いていない通憲のキャラも笑える。

後で知ったんですが、この時の清盛、12歳だったんですね。松ケンくん、童顔だけど身体はでかいので、元服の歳だし15歳くらいの設定かと思って観ていた為、「王家の犬でも平家の犬でもない、野良犬として生きてやる!」と威勢良く啖呵を切ったんなら家出くらいすればいいのに、結局親元でぐだぐだしてるだけの情けない奴なのか、とちょっと呆れていました。12歳じゃ流石に家出は無理か。


そんな駄々っ子清盛の元服当日。皆の待つ中、いつものむさ苦しい身なりで現れ、「誰が元服なんかするもんか!」と捨て台詞を吐いて立ち去ろうとする清盛を、ひょいと抱え上げて連れ戻した侍大将・伊藤忠清。なんちゅー格好ええ男じゃ!と思ったら、わー!「坂の上の雲」の広瀬さん(藤本隆宏さん)じゃないかー!!
それまで出て来ていたのが中井貴一さん始め、優しい感じの人ばかりだったので、こういうごつい武士が観たかったんですよ!!出番多いといいな〜。

で、広瀬さん、じゃなくて忠清さんの怪力のお陰で押さえ込まれた清盛くん、加冠役の藤原家成に、貴族が白河法皇の悪政を正さない事について文句を言いますが、「野良犬が吼えても聞こえないから無駄。飼い犬となって、法皇の傍で吼えないと。」と鼻先で笑われてしまいます。

最初、父の忠盛が、放蕩三昧の清盛に何を言われても「好きにせよ」というのはちょっと甘やかし過ぎなのではないか?と思ったのですが、この辺りで「幾ら清盛が大口叩いても未だ子供、何の力もない、所詮は大人の目の届く処で遊ばされているに過ぎない」と、周りの大人たちが遙か上から見下ろしている様子が判って来ました。そうだよねえ12歳だもんね。


しかしだからといって、何でもかんでもやりたいようにやらせる演出は如何なものか。
禁制を犯して出漁した咎で捉まえられた鱸丸(すずきまる)の父・滝次を取り戻す為、白川法皇に直談判しに行った場面では、きちんとした身なりの貴族か武士ならば兎も角、あんな何処の馬の骨とも判らぬ餓鬼1人が目通りを願った処で、門前払いを食らうのが当たり前。それを法皇に取り次ぐ事からしてそもそもありえんだろ。しかも用件も聞かずに。取り次ぎ役が祗園女御だったら不自然じゃなかったのに。
何故か都合良く法皇が「・・・もしやあいつか?」と思ってくれたお陰で、異例の目通りとなったものの、滝次の釈放を訴えるだけならまだしも、法皇は横暴だ、物の怪の如き振る舞いだなどと口走って、無事で済む筈がない。普通なら。

・・・まあ、あの対面シーンは、法皇の凄まじい「物の怪」っぷりを、これ以上ないくらいの迫力で描く事に成功していたので、そこは一番の見処だったのですが。
産みの母が、自分の座っているその場所で法皇に殺された事、更には母親の仇である法皇が実の父である事を、まるで刃で抉るかのように心にねじ込まれ、蒼白になって落涙し、言葉を無くす清盛。
松ケンくん、怒鳴り散らすよりこういう押さえた演技の方が向いてるんじゃないかなあ。「デスノート」の「」役しか観た事ないけど、「L」は凄く魅力的だった。ただあの役は押さえ方が極端過ぎるので、比較対象にするには無理があるとは思うけど・・・。


で、やはり法皇とのシーンで気になったのが、クライマックスの舞の処。
最初は神妙に舞っていた清盛。途中で塀の上に隠れていた鱸丸が、いつも清盛の持ち歩いている太刀を投げ込むと、手にしていた太刀をそれに持ち替えて型破りの激しい舞を舞い始めるのですが、
(1)まず、あんな処まで太刀を持った鱸丸が忍び込めるなんてどんだけ警備が甘いんじゃ!
(2)舞いながら何度も殺意剥き出しで法皇に太刀を向けている、その時点で母・舞子同様、矢で射殺されてもおかしくないのに、どんだけ警備が甘いんじゃ!!
(3)↑ が百歩譲って「舞いの演出?」と思われたのだとしても、更に舞台から飛び降りて法皇に太刀を突きつけた時点で、射殺されるか少なくとも取り押さえられなきゃおかしいだろ、どんだけ警備が甘いんじゃ!!!
(4)結局、法皇が「如何にも武士らしき舞い」とフォロー?してくれたお陰でお咎め無しになったようだけど、普通はあの場にいた一族郎党纏めてしょっ引かれて尋問の上、極刑に処されても仕方ないだろうに・・・、甘過ぎるだろ色々と!!!!
(ここは「好きにせよ」じゃいかんだろ忠盛!)

・・・しかしこの時の清盛を見つめる法皇の表情に、「物の怪の血を分けた我が子」という、捻れた愛情が湧いたのが一瞬見て取れて、今後どうなる?と期待したのですが、直後にあっさり崩御とは!法皇!駄目でしょ其処でいなくなったら!
「後は宜しく」で済むわけないんだから他にも鳥羽上皇璋子(たまこ)の事(言及する気力が残ってないけど、この2人の絡みも凄かった・・・三上博史さん鬼気迫ってますよ次回以降が恐ろしい)とか!!


・・・・・・もう本当に内容が濃過ぎて、画面から圧力を感じるような回で、今日まで何だか物の怪法皇に生気を持ってかれたようになっていました。
体力気力共に奪われそうなこのドラマ、これから更に愛憎劇やら清盛の暑苦しさやらが一段と酷くなってややこしくなりそうなのに、1年間観続けられるのだろうか?テレビに呪(まじな)いの札でも貼った方がいい気がして来た。


・・・最後に頼朝やっぱり駄目。何だあの育ち過ぎた葱みたいな頼りなさは・・・。ナレーションの下手さも論外。勘弁して欲しい。途中で変更なんてする訳ないから我慢するしかないけど。



・・・以下は土曜に第1回の再放送を観て気付いた事。長くなるので追記、箇条書きの形で。

(1)「王家の犬」について
・冒頭のナレーションで1度だけ「朝廷の番犬、王家の犬」と言っている。「朝廷の番犬」という呼称はこの時だけ。何故その後も使わない?
・その後、台詞では「院」「帝」「王家」が出て来るものの、やはり「王家が何を指すのか曖昧
・最後の方で、平太(清盛)が取りすがって泣いていた犬の亡骸に向かって忠盛が言う台詞 「犬同士の喧嘩に負けて死んだのだろう
← 「共に『権力者の犬』である源氏と平氏の戦い」の暗喩か。

(2)舞子の行動で気になった箇所
・産後すぐ忠盛に斬りかかっているが、幾ら気が立っているからといって無理じゃないか?
・忠盛に心を開くのが早過ぎないか?
・舞子が源氏に捕まった場面、忠盛は何故、舞子1人を河原に残しておいた?一緒に館へ帰るべきでは?源氏の捜索は続いているぞ?
大体、源氏に見つかる以前に、女1人でいたら賊(のみならず普通の男にも)に襲われる恐れを考えるべき。
・災いをもたらすのは舞子ではなく、腹の子の方だった(前回観た時は、舞子が生き霊扱いされていると勘違いしていた)
→ 惨殺された舞子が怨霊化、というのは考えなくてよかったのか、と納得。
・産後すぐ、「捕まって殺されるのなら自分の手で」と赤子を殺そうとする舞子に、忠盛が「死んでも子を守るのが母だろう」と諭した
→ 法皇の前で、子供を忠盛に託し、「子を守る為に死んだ」という事か。

(3)忠盛が平太(清盛)に授ける事になった太刀
・あの太刀は、海賊に襲われていた船の荷の中にあった宋の太刀。
何故日本刀でなくわざわざ宋の太刀を力の象徴のように清盛に渡す?
← 海賊退治直後に忠盛が水辺で振り回していたが、荷主に貰ったのか?
だとすれば海賊退治して民に感謝される「凄い父」の象徴といえるが、あれだけではどさくさ紛れに自分のものにしたみたいじゃないか?
(脚本では、海賊から助けて貰った船主が、太刀を返そうとする忠盛に進呈する場面があったのに、カットされたらしい。駄目だろ省いちゃ)
・地面に太刀を突き刺す場面、わざわざ持って来たのか?
突き刺したまま放置して去ってしまうが、子供が持って帰れず誰かに奪われる(=子供が殺される危険性)は考えなかったのか?
← 館の庭先でやれよ・・・。
Posted by 成瀬 尋古 at 21:27  |Comments(0) | 歴史 , 映画・ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


 
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